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CRY STAR  作者: 遺影
序章 
2/8

第2話 : 変化、そして形容

天からの"恵み"の解明に挑む研究員達、だがしかし…

《ネコの意識》


私が意図を探り終えるのを待たず、忽然と光は失われた。先程まで研究員の目に光をやきつけていたのにも関わらず。

何故発光を止めた?この隕石の内部に蓄積されたエネルギーが切れた?日照時間の関係?それとも…


"意図を伝える必要がたった今無くなった"?


先程までとは違い、再度人間に無慈悲な光が襲いかかる。打って変わって意思など全く感じない、均一な閃光。研究員は思わず足から倒れ、目を持って生まれてきた事を後悔したかのようにのたうち回る。


だが私は違う。普段から姿形を隠す衣服を着ているが、顔を隠しているマスクはただの反射フェイスシールドではない。この研究所の設立者は研究員の要望をたった一つだけ叶える契約をしているのだ、それ程までに組織の価値と私達研究員への期待は大きい。ネコは設立者へのオーダーとして、内部と外部の情報量を操る特殊なスーツを頼んだ。それは光・音・振動等、スーツの中身を確認できる手段は全くと言って無い。またこのスーツは唯一の機能としてオートパイロットが用意されている。中身に人が存在しているのか、いないのか。はたまた生きているのかさえも"外部"の人間に知る方法は存在しない。

それが私のニックネーム、ネコの命名の由来であり長年奇妙な設問として知られている、シュレディンガーの猫である。


そしてその情報操作は、外部から内部へも自由に可能である。


隕石は姿を変える、先程まで凹凸が激しくゴツゴツとした岩のような形状であったが、段々と丸みを帯びるようになっている。光も次第に弱まり…


なにか、人型?背丈は私と同じくらいで────


──────!?


先程まで何の変哲もなかった見た目の隕石は今はもう誰の記憶にも無くなってしまった、私の姿になっていた。唯一異なる点は髪色が私はブロンドだが、まるで変質した隕石は真っ白であるという点だけ。


というのはどうでも良い、正直隕石だろうがなんだろうがこの際構わないが私とまるきり同じ姿で裸になるのは、今までに体験したことがなかった周知を体験させてくれる。だからといって慌てる私では無い、ここで焦って服を着せたりしてしまうと私の性別や年齢、なんならこの隕石のこの容姿が私だとバレかねない。国との契約上、私の個人情報はもはや国家機密となんら変わりは無い。おっ───っと。周りの研究員の目が慣れてきたみたいだな。非常にまずい、というか何故私なんだ。もっと他に研究員いるだろ。近くに沢山いるだろ。私は壁に体重をかけ様子を伺っていただけだぞ?信じていない神にすがりそうになる、頼むからはやく服を着せてくれ。私に服を着せてくれ。誰か気の利く研究員はいないのか。


研究員A「これは…一体?…」

研究員B「先程の隕石は…もしやこの人型が…?」

研究員C「おいおい、こりゃあおったまげた。ほんのさっきまで退屈な仕事だと思ってたがここまでの事が起きるとはな…」

研究員A「まずは初期データとして身長体重…」


ネコ「ちょっと待てええええええええええええええ」


────ネコは女性であった。

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