自由の救世主 その2
このシナリオは十五夜漬け様の「自由の救世主」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16008121#1)の改変のリプレイです。ネタバレ等含みますのでご注意ください。
変身を解いて、さぁ調査だ……と思ったところでチャットアプリに着信が来る。送り主は朝倉で、内容は「さっき近くでヴィランが出たって聞いたぞ。大丈夫だったか?怪我はないか?」とのことだ。
やけに耳が早いしタイミングもドンピシャリ、襲われた事が前提かのような文面とまるで数え役満だが確定はしていない。「大丈夫だった。心配してくれてありがとう」と返事をして改めて調査に取りかかる。
まずは、先程シバいた戦闘員たちが意識を取り戻したため話を聞いてみると、
・黒フードは「欲望の悪魔」と名乗っていた。
・黒フードが目の前に現れたら急に金品を奪いたくなった。
・お互い見ず知らずであり、実質黒フードの単独犯。
といったことが分かった。
現場に黒フードに繋がる証拠が落ちてないか探して見るものの何も見つからず、SNSで動向を探ってみるもこちらも手応えなし。
八方塞がりなため、今日のところは調査を終えることにした。
次の日。
そういえば朝倉は「会社をぶっ壊したい。」と言っていたことを思い出す。彼の働いているオフィスビルへ向かってみると、ビルの前では朝倉が蹲っており、
「どいつもこいつも俺から離れていく……もううんざりだ……。
何も!誰も!手放すもんか!すべて、俺のものだ!!」
と叫ぶやいなや黒フードを着けた怪人に変貌してしまった。慌てて私も(物陰で)変身して立ち向かう。
さらにどこからかシヴァクゾーンの戦闘員たちも現れてきた。
怪人込みの多対一は不味いので先ずは全体攻撃といこう。そんなことを考え、ここが切り時だろうとHFを発動する。
「『エクステンション』」
そう唱えると手に持ったソードガンの刀身が大きく伸び、敵の一団を一刀両断する。しかしやはりというべきか黒フードだけは何てことなさそうに立っていた。
ソードガンを振り切った姿勢の私に黒フードは拳を構えて殴りかかってくる。その殴打を武器を盾としていなし、お返しとばかりに切りつける。
手応えあった。そう思ったのも束の間、怪人は黒フードを脱ぎ捨て、その正体を現した。海賊を醜悪にしたようなフォルムからは黒いオーラが立ち上っており、第二形態を想起させる。そこまで考えを走らせたところで怪人の声が聞こえた。
「『エクステンション』!!『ライジングサァぁン』!!」
不味い不味い不味い不味い!!
即座にバリアシステムを発動するも、バリアを破られて重いパンチを貰ってしまいそのまま吹き飛ばされる。
アーマーには罅が入り、肉体にも少なくないダメージを感じる。なんとか立ち上がれるのも奇跡と思えるほどだ。
これは奥の手を使うべき時だろう。
「ブレイク……『グレイトサクセス』!」
安全性をかなぐり捨てて装備の力を引き出しているのをひしひしと感じる。これで決める。拳を構えている怪人に肉薄し、気迫を込めて技を放つ。
「『スーパーアタック』、ぜぇぇぇい!!!」
剣の軌跡からは光が迸り怪人を両断する。残心を解くと怪人は爆発四散し、後には何も倒れ伏した朝倉だけが残っていた。
さて、後始末だが私はもう疲れた。十分に仕事はしたと思うので他のヒーローに任せて私は帰るとしよう。