自由の救世主 その1
このシナリオは十五夜漬け様の「自由の救世主」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16008121#1)の改変のリプレイです。ネタバレ等含みますのでご注意ください
私の名前は湯川アマルガム、研究員 兼 ヒーローだ。ただ、ヒーローであることはおおっぴらにはしていない。別に公言するようなことでもないからだ。
そんな二足のわらじ生活の中、知人と会う機会があったのだが……。
「最近、何もかもが上手くいかなくてさ……」
そう愚痴をこぼしたのは高校の時の同級生であった朝倉海里だ。相槌を打ちながら聞いた話を要約すると、仕事の手柄は盗られるわ、彼女には振られるわで散々だったらしい。
「はぁーあ。もう会社なんてぶち壊したいなぁ……」
とまで言っていたのは流石に
「思うのは勝手だけど、実際に行動に移すのは止めておきなさい」
とやんわり制止せざるを得なかったが。
そんなこんなで他愛ない話を続けていたのだが、急に彼は顔を青くして
「う”っ、急用ができた。すまないが失礼する。じゃあな」
と言って伝票を持って立ち上がり、そのまま会計を済ませて出て行ってしまった。
手持ち無沙汰になってしまったためショッピングモールをぶらついていると
ドガッシャァァァン!!!
という破砕音と、女性の悲鳴が曲がり角の向こうから聞こえてきた。咄嗟に向かうとヴィランの集団が宝石店を襲っているようだ。
「金を寄越せェ!」「全部だ全部!」「”欲望の悪魔”様に捧げるのだァ!!」「もっとだ、もっともっともっとォ!!」
といった怒号が聞こえてくる。大変賑やかであるが、今のところヒーローはいなさそうだ。
誰も来ないのであれば仕方がない。近くの服屋の試着室に飛び込み、変身ベルトを腰に当て呟く。
「『変身』」
ヒーロースーツに身を包んだ私は急いで襲撃現場へと向かった。騒動の根源には黒いフードを目深に被った人物と操られているとおぼしき一般人達がいた。
「そこまでよ!私が来たからにはもう悪事は働かせないわ!」
私がそう叫ぶと、黒フードは
「ククク……ヒーローが来たか。俺は一旦退くとしよう……お前ら!ここは任せたぞ」
と言ってどこかへ去ってしまった。
さて、これから戦闘だ。私一人に対して敵は三人。皆操られている一般人だ、手加減しなくては。
そう考えながら敵の一人が振るった大型ナイフを躱しつつ自らの武器であるソードガンに氷属性を付与して返す刀で切りつける。深手は負わせたが倒しきれてはいない。
その隙を付いてか残りの二人が見え見えのテレフォンパンチを撃ってきたのを大きく回避する。しかし回避した先では痛手を負わせた敵がナイフを振りかぶっていた。
間に合わない、そう直観した私は咄嗟に「『バリアシステム』!」と叫びバリアを展開したが手傷を負わされてしまった。まだ損傷は軽微だ。その勢いのまま、まずは一人を仕留める。
またも二人が攻撃を仕掛けてくるも、「『追加オプション』」と唱え、ブースターの力を借りて危なげにも回避して一人ずつ止めをさした。
これで戦闘終了だ。大した被害もなく終えられて本当によかった。洗脳された戦闘員もじきに正気に戻るだろう。
さて、ここからは調査の時間だ。