戦え!これが我らのAge of Heroes その3
こちらはマージナルヒーローズシナリオ集『マージナルストーリーズ』収録のシナリオのリプレイの微改変です。
ネタバレ等ご注意下さい。
小学校の校庭の片隅に西野君はいた。耳を澄ますと会話が聞こえる。
「コウイチロウよ、力を手に入れるのだ。力さえあれば親の言うことも無視できる、トモダチだって力があれば作れる。」
「……力があれば、友達が、できるの……?」
「駄目よ西野君!耳を貸してはいけないわ!!」
そう言うと西野君は怯えた表情をこちらへ向ける。
「……ぼ、僕を虐めに来たの……!?」
「「「違う(わ)!!」」」
「うるさい!もう放っておいてよ……僕にはナイトグレイブしかいない、信じられないんだ……」
そんな西野君に対し我々は言葉をかける。
「……友達はいなくても大丈夫。生きていける」
「勉強だけが友達だったけど、とても良いものよ!」
「ワタシの実k……ワタシと友達にならないかイ?」
ゴースディックの言葉に西野君は心打たれたのか、
「僕と友達になってくれるの……?僕は、友達が欲しかった……だけなんだ……」
と呟き、その場へと崩れ落ちる。その手からこぼれたカードから突如黒い霧が吹き出し、ナイトグレイブが姿を成す。
「おのれ、あと一歩で完全体になれたものを……よくも邪魔してくれたな!まずはお前達を始末し、その後にコウイチロウの心をネガティブな感情で押し潰してくれるわ!」
そう言ってポーンナインを呼び出し、我々に襲いかかってくる。
「今までの私と思うな。本体を具現化させたゆえ、今までとは比べ物にならないほど強いぞ!」
ナイトグレイブはグレイブを大きく振るい烈風を起こす。
「『エクステンション』、『ライジングサン』!!吹き荒れよ風の刃!」
「……『ナイトメアムーン』」
そうレイズが呟くと周囲がふっと暗くなる。これで見失ってくれるかと思ったが、ナイトグレイブはそれでもある程度こちらに狙いを定めて撃ってくる。
「……ゴースディック、私の後ろへ。『煌めく庇護』『異界バリヤー』」
「oh、ありがとネ」
向こうはレイズが身を挺して庇うようだ。こちらも回避に集中しなくては。
「『追加オプション』!」
こちらはブーストで何とか回避できた。向こうはどうだろうかと目を向けると、
「油断したなヒーロー共!『スクランブルアタック』!」
のナイトグレイブの声と共に風が勢いを増す。しかしレイズはボロボロながら凌ぎきったようだ。
次はこちらの番だ。ゴースディックと息を合わせて剣を振るう。
「『メレーオーラ』『フルフォース』『グレイトサクセス』!!」
「『ベルトリンク』『フルフォース』『グレイトサクセス』だよォ!!」
大技直後の隙を突いて一気にダメージを叩き込む。ナイトグレイブの装甲に罅が入り、黒い霧が吹き出す。
ナイトグレイブはより手痛い攻撃を与えた私に身体を向け、
「貴様ァ!!よくも鎧を砕いてくれたな!我が真の力を受けてみよ!『グレイトサクセス』『スマッシュアタック』!!!」
私は剣を振り切った姿勢のまま動けない。『バリアシステム』を発動しながらこの身でグレイブを受ける。
大ダメージ、だがまだ装甲は生きている。体勢を立て直し、後ろを見ると、レイズがポーンナインを一手に引き受けてくれている。助かる。
再びナイトグレイブが私にグレイブで斬りつけてくる。またも『追加オプション』でかわそうとすると
「二度は食わん!『ナイトメアムーン』!!」
暗闇に覆われ前後不覚に陥る。これも喰らうしかないと諦めて『バリアシステム』を使用する。損傷軽微、まだいける。
これでトドメとばかりにもう一度ゴースディックとタイミングを合わせる。
「『リブートコマンド』『グレイトサクセス』『フルフォース』『ベルトリンク』だねェ!!」
「私も『リブートコマンド』『グレイトサクセス』『メレーオーラ』『フルフォース』『スーパーアタック』よ!!」
二人の斬撃でナイトグレイブの身体は真っ二つになる。
「ぐっ……私が、失敗など……っ」
そういってナイトグレイブは消滅していく。
「ヒーロー、ありがとう……」
その一言と共に気絶した西野君を背負い、我々は校庭を後にした。
事件も一件落着した一週間後、昏睡者が全員快復したと聞いて上機嫌な中、河川敷を歩いていると西野君が駆け寄ってくる。
「こんにちは、お姉さん!僕、野球チームに入って友達がたくさんできたんです!」
「あら、よかったじゃない!」
「そうそう、皆で『エイジオブヒーローズ』で遊ぶんだけど、僕、ゴースディックさんのカードで遊んでるんだ!全部全部ヒーローさん達のお陰だよ──ありがとう!」
そういって西野君は駆け出していく。
黒幕は未だ潰えていないが、束の間の平和を楽しもうと思うのだった。
これにてシナリオ終了です。
次回もご期待下さい。
☆を付けていただけると幸いです。