戦え!これが我らのAge of Heroes その1
こちらはマージナルヒーローズシナリオ集『マージナルストーリーズ』収録のシナリオのリプレイの微改変です。
ネタバレ等ご注意下さい。
ある日の帰り道、住宅街の真ん中でオロオロしている男の子を目にした。どうしたのか聞いてみると、最近この辺りに引っ越して土地勘が無いため迷子になってしまったのだとか。
彼の家の近くだという公園まで送り届けがてら自己紹介をする。
「私は湯川アマルガム、ここだけの話だけどヒーローをしているわ。皆には内緒よ」
「僕は西野浩一郎です。お姉さんはヒーローなんですね、すごいなぁ」
といった当たり障りない話をして無事送り届けたのだった。
そんなやり取りのあった数日後、街のゲームセンターから暗い顔をして出てくる西野君を見かけた。
「どうしたの?暗い顔してるわよ?」
と声をかけるも、西野君は
「そう……ですか?大丈夫ですよ……。用事があるので、さようなら……」
とそそくさと帰ってしまった。本人がそう言うのだから深入りできる筈もなく、私は見送る事しかできなかった。
場所は変わってHAの研究所。同僚の葉加瀬彩から呼び出された。
「急に呼び出して申し訳ないね、アマルガム。実はここ最近チバシティで謎の昏倒事件が起きているんだ。被害者の法則性は無く、てんでバラバラ。今のところ何の手掛かりもありゃしないのさ」
「それはまた異常ね」
「そこで、この事件の解決をお願いしたい。宜しく頼むよ」
「わかったわ、何か情報を掴んだら連絡するわね」
そんなやり取りをして数十分後。HA本部からの要請があり、ヴィランが現れたというスクランブル交差点にいた。騒ぎの中心には馬の頭に鎧の身体をしたヴィランがいるのが見える。今回協力する2人のヒーローが既に戦っているようだ。
1人はガスマスクが特徴的なヒーロー”ゴースディック”。もう1人は忍者のように身軽なヒーロー”レイズ”だ。遅れを取り戻すべくヴィランを袈裟斬りにすると、呆気なく霧散していった。2人が戦ってくれていたお陰だろう。感謝を述べようとする。
その直後、今しがた倒したヴィランがその場に再び現れる。しかも2体に増えて、だ。ヴィランの自慢気な声が響く。
「ふふふ……私は何度でも蘇る……」
それに対し
「実験のし甲斐があるねェ!」とゴースディック。
「その度に倒すだけよ!」と私。
「…………」と無言のレイズ。
三者三様の反応と共に2回戦が始まった。
私が前方のヴィランに、ゴースディックが後方のヴィランに斬撃を浴びせると、
「また会おう……」
と言って塵となって消えてしまった。あまりにも手応えがなさすぎる。
その後、場所をHAに移してゴースディック達と情報を交換する。
「そういえばァ以前も同じ見た目、同じ弱さのヴィランと戦ったねェ」
「……『西野真央』という娘がピンポイントで襲われていたのも救出した」
「西野?そういえば知り合いに同じ名字の子がいたわね。最近会ったときは雰囲気が暗くなっていたけど……」
そんな感じで情報交換をして、なにやら繋がりが見えそうな見えなさそうな所で解散となった。