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SFC ロマンシングSaGa 2

SFCの定番RPGをやってみた感想文です。

やっと重い腰を上げてロマサガ2をやってみた、という感じです。

今更なので、ロマサガ2をプレイしたことのある人に向けたレビューは書きません。未プレイだけど興味はあるというくらいの人の参考になれば幸いです。

このロマサガ2は一言で言えば『面白い』です。

私はGB 魔界塔士SaGaの発売を小学4年の時に経験したリアルタイムSaGa世代なので、SFCのロマサガシリーズも、それぞれ発売日当日に買ってプレイ済みでした。

しかし、だからこそ数十年経った今までロマサガシリーズにだけは手を出さなかった(再プレイしなかった)という経緯があります。

GB SaGaシリーズが本当に神ゲーだと思っていましたので、SFCのロマンシングSaGa(1)を初めてプレイしたときの衝撃というか失望の程はお分かり頂けるかと思います。

ロマサガ2は『きっと今度こそは』という期待で買ってしまい、ロマサガ3に至ってはあのパッケージですもの、そりゃ買ってしまうでしょ。そんな期待と希望を完膚無きまでに裏切ってくれたのがSFCのロマサガシリーズでした。

SFCのSaGaって、当時あまりにも革新的で子どもには理解されなかったんだと思います。

大人になって、当時の『トラウマ』と、その『何故か?』を克服してみようかと今回ロマサガ2をプレイしてみたのですが、これは悔しいかな面白いです。大人になって、いろいろ理解してからプレイしてみると面白い。

まず、単純にこのゲームの概要を説明するとするならば、始まりは一つの物語。そこからテキトーに世界を廻りつつ7人のボスを倒して、最終的に一人(一つ)のラスボスを倒すというタイプのフリーシナリオRPGなゲーム内容になります。最初のイベントを終えた後は、いつどんな順番で7人いるボスを倒していっても、途中のイベントをやるかやらないかも自由というのが特徴。最短クリアを目指すならイベントも行わずただレベル上げしてボスだけを狙って的確にダンジョンに行って次々とボスだけ倒していくだけのゲームにもなり、逆に、ロム内にあるプログラム(イベント)を一つ残らず全部見なきゃ勿体ないと思うプレイヤーもいるはず。私は後者のタイプです。

そんなゲームなので、子どもの頃にネットも無く攻略本見ないで行き当たりばったりでなんとかクリアしてしまったりしたら、ろくにイベントも無い『痩せた内容』のゲームとしか思えなかったんです。

ただ、このロマサガ2に関しては、ラスボスと7人のボスの強さが固定値で、いずれもバカ強いので、ある程度のイベントをクリアして強力な武器や技を取得したり、それに伴ったレベル(能力値)上げをしないと絶対に勝てないようになっているので、ほぼ全部のイベントを通過しないと最終地点に進めないという点ではある程度一本道に近いRPGになっていると感じました。

SFCのロマンシングSaGaシリーズ3作品は、それぞれシステムが違います。

端的に言えば、ロマサガ(1)は、各地にいる8人の主人公候補から一人を選んで、それぞれの地点からテキトーな道筋でラスボスを目指すという話で、完全にレベル(能力値)依存で、レベルが一定値に到達した時点でどこにいてもボスが出現して、一定レベルになった時点でラスボスが出てきて、そこで最終バトル、勝てば終わりとなります。そのレベルに達するまでに如何に強い武器や仲間を集められるかというのがメインのゲームなので攻略の仕方もロマサガ2とはかなり違います。

ロマサガ2は前述の通り、世代は変われど主人公は一人の物語であり、始まりと終わりは一つ。ラスボスに辿り着くまでの工程が自由というだけのゲームです。

ロマサガ3は主人公候補が多数で、世界とラスボスが一つ。それぞれの主人公にそれぞれのストーリー(道筋)がほぼ決まっていて、最初にどの進行パターン(ゲームシステム含め)を選ぶかが自由というだけなので、各ストーリーも短め。攻略順の違うドラクエ3を10パターンくらい詰め込んだだけのシステムとなっているので、1パターンクリアするだけなら初心者の人には一番取っ付きやすいのが3となります。

ただ、3は全主人公プレイしてみれば良いにしても、1と2は『完全攻略サイト』を3つ4つ重ね見しながらでもない限り、各ソフト内に入っているイベントデータを残さず全て見てそれぞれの作品を余すところなく堪能する事は不可能でしょう。3にしても全主人公キャラで各最初からプレイするほど暇ではないし、どうにもその見余しがもったいないと感じてしまって、これまでSFCのSaGaシリーズは再プレイしてみようと思えないでいました。

半年くらい前にとある知人が引っ越しをする際にゲームソフトを処分すると決心したらしく、大量のゲームソフトを私にくれたのですが、その中にロマサガも1、2、3と3作品揃って入っていました。でも、ロマサガシリーズ好きではなかったのでそのまま放置していたのですが、有名タイトルではあるし、全くやらないのもどうかと思い始めて、とりあえずロマサガシリーズの『概要』だけでも調べ始めたのが今回再プレイしてみたきっかけとなりました。

調べてみた結果、ロマサガ1は当時も発狂しそうになったほどの高いエンカウント率は今でも語り草になっているようなのでやめておこうと思い、ロマサガ3は一番取っ付きやすそうとは思ったのですが、はっきり言って『死蝕』とか何百年周期とか言われてもストーリーや目的をイメージして没入する事が出来なそうだったので却下。それらに比べて、ロマサガ2のストーリーは秀逸だと感じたので、ロマサガ2をプレイするに至りました。

ロマサガ2は本編のストーリーより、前日譚の7英雄の話の方が面白いなと思ってしまいました。派生で7英雄のストーリーのRPGがあっても良いと思うくらい。

これだけ知名度のあるゲームなので、今さら私如きが通った道筋の本編のあらすじを書いても面白くないでしょうから、ここでは7英雄のストーリーのあらすじををちょっと書いてみます。

かつて、地上は古代人が支配していました。

古代人は寿命という概念が無いくらい非常に長寿で、一個人(一個体)が延々と生き続けているため、一人の中に膨大な知識や経験が蓄積されていくような生命体でした。

そんな延々と続いていた古代人の歴史の中に魔物と呼ばれるような凶暴な生き物が現れ始めた時期がありました。古代人は膨大な知識を持っていても戦闘タイプの生命体ではなかったため、凶暴な魔物に襲われ命を落とす者が続出するようになります。それまで『死』というものを誰も目の当たりにした事が無かった長寿な古代人たちは死を非常に恐れます。

そこで古代人達は、恒久の過去からの蓄積された知識と経験を基に自らの肉体を強化する融合ヒュージョンの技術を編み出し、どんどん合体して力を倍増していこうと試みました。しかし、もともと弱い古代人が幾ら合体しても魔物の力には及ばず、個体数が減るばかりでした。

そんな中、ワグナスという一人の古代人の男(王族)が、魔物と合体して魔物に対抗出来るくらい強い肉体を手に入れる事に成功、ワグナスはその体を使って古代人を守るため一人で魔物と戦い始めました。そんなワグナスを見た古代人の中に『俺も強い体が欲しい、やり方教えてくれ』っていう者が現れ始めました。ただ、そんな体を欲する目的はみんな結構違っていて、『一緒に魔物と戦いたい』という有志もいれば『ただ強くなりたい』という者、『強くなって自分が支配者になりたい』というような者もいます。そんな者達に対しワグナスは『魔物と融合してしまうと思考の半分は魔物のものになってしまい、意思が弱ければ魔物の思考に支配されて自分の意思は淘汰されてしまうからやめたほうが良い』と皆を諭すのですが、『そんな魔物の意識など恐るるに足らず』という豪傑な者や『どうせ魔物に殺されるなら魔物の一部となっても生き残りたい』という者など、計6人に魔物と融合する術を教えて、魔物と融合させました。こうして誕生した半魔物古代人7人というのが7英雄となります。

7英雄は、みんなそれぞれ思考を半分魔物に乗っ取られて少しプッツンな状態でもとにかく強く、魔物を排除して自分たちの中心の世界を保持したいという意識だけは残っていたため魔物を手当たり次第に叩き切って、とうとう最後には魔物という種族を世界から絶滅させる事に成功します。これには生き残っていた古代人も大喜びで、7人を英雄と呼んで称えていましたが、この7人の中には元々素行が悪い者もいましたし、みんな思考の半分は魔物になっていて、たまにおかしな言動を見せていました。古代人にとって、魔物がいなくなったら今度は魔物より強い頭のおかしい荒くれ者が出てきたら、その連中が最も脅威と感じるでしょう。

やがて古代人達は、そんな負の遺産を残してしまった魔物が発生する可能性がある生態系を有するこの世界を離れ、魔物が発生する可能性が無い恒久に平和な世界に移住しようと考えるようになります。

そんな世界が何処にあるのかと言えば、自分たちが作ったパラレルワールドしかないと考え、古代人達はその膨大な知識によって理想のパラレルワールドを異次元に作り上げ、そこに通じる通路を空間の中に開けました。そんなパラレルワールドが完成した際、古代人達は先ず7英雄たちを呼び寄せ、『まずは貴方様方からどうぞ。なにか怪しい者がいたら一掃出来る力のある貴方達こそ新たな世界への第一人者に相応しい。』と言って、7英雄をその通路穴に入れました。

しかし、それは罠で、7英雄を入れたのは無の空間に繋がる穴。7英雄を無の空間に放り込んだ後、古代人達は本当のパラレルワールドに繋がる穴を通って何の脅威も無い理想のパラレルワールドで永遠に生きていくことになりました。

それから数千年の時を経て、7英雄達は自力で無の空間を抜け出して世界に戻ってきます。身も心も半分魔物に侵蝕されてまで助けてやった自分たちを騙して無の空間に閉じ込めた古代人達に復讐するために。

ここがゲームのスタート地点です。

ただ、基本的なストーリー設定として7英雄の敵は古代人であって基本的に人間を標的としていません。最初に戦うクジンシーだけは元々が世界征服を目的としていた7英雄の一人なので相手が古代人であろうと人間であろうとお構いなしに襲っているというだけで、残りの7英雄達の行動はバラバラ。かつて古代人達が通って行った穴を探し廻っているだけの者もいれば、もっと強くなろうと手当たり次第に魔物を捕まえて吸収し続けている者、金儲けに走り麻薬売買の元締めになっている者、性に飢えて異性である男の人間ばかりを洗脳して寄せ集めている者などみんなバラバラですが、いずれも人間そのものにはあまり興味が無く本能のままに行動しているといった感じです。

ここで、このゲームの一つの面白い点として、プレイヤー側から見たこのゲームの目的というか、ゲーム内容が一見すると『A列車で行こう』みたいな進行に終始しているというところにあります。

主人公はアバロンという城の城主で、荒廃してしまったこの地域一帯の再建を目的に物語を進めていきます。時代と共にまた魔物が湧いてきてしまっていますが、魔物は人々の生活に障害を与えている邪魔な存在なだけで、大半のイベントは人同士のいざこざの解決。海賊を制圧して貿易海路を解放したり、鉱山を再興したり、反政府思想の組織を制圧したり、シロアリ退治をして集落を救ったりして従属の領土を広げていき、税収を増やして自城周辺に大学を作ったり研究所を作ったり大きな橋を架けたりして領土の拡大と町を発展させることがプレイヤーから見たゲームの内容となります。そんなゲーム内の世界の中に7英雄が勝手に暴れていて、国の発展に邪魔な存在なので倒すしかないというのがこのゲームの大筋となります。

そのようにゲームそのもの(主人公達)と7英雄とのそもそもの目的がズレているため、ワグナスやノエルといった理性の残ってる7英雄とは、出会った際の会話内の選択肢次第で戦闘を避ける事も出来ます(ノエルは一度戦闘を避けても、最愛の妹であるロックブーケとの戦いは避けられず、ロックブーケを殺してしまうとノエルが復讐に来るのでどっちみち戦う事になります。この辺の話の流れは非常によく練られていると感じます)。

このように、ゲーム内で最長3000年以上もの長い時間経過の中で徐々に領土を増やしていき、時代々の問題を解決していきながら国を発展させていき、時代毎に居座っている7英雄をその時代の皇帝(主人公)が倒し、最後に7英雄の集合体ラスボスを倒して何千年も続いた悪の根源を絶ち切って、やっと世界に安心がもたらされるストーリーって、壮大にも程があるでしょ。ハッキリ言って面白いです。

更に、3000年もの歴史シミュレーションでもあるため、その長い歴史の中で歴代の皇帝(主人公)の中には雑魚のモンスターとの戦闘に負けてあっさり死んでしまう者や選択肢次第で人魚と駆け落ちして消息不明になってしまう者もいますが、その時点で皇帝死んでしまってもゲームオーバーにはならず、次の代の皇帝が主人公となって何事も無かったかのように淡々とストーリーが続いていくというシュールな展開も非常に独創的な仕様であると同時に、次の皇帝候補は制圧した地域の属性や種族も含まれるという無茶な設定もあり、例えば海賊や炭鉱夫、果ては盗賊や獣人属まで候補になるという展開には、皇帝ともあろう者が海賊や炭鉱夫、獣人と子孫を残して皇位を継承させたという設定にも成り得るし、元から城内に仕える戦士や魔法使いとの子孫も次期皇帝候補に選べるというデフォルト設定は、要は皇帝が城内にいる戦士や魔法使いと子孫を残したという設定でもあり、なかなかブラックな設定でもあると感じます。更に人魚との駆け落ちを選択した場合、3回以上人魚との情事を重ねなければ駆け落ちまでは至らないとか、情事の後に『ふー』という超リアルなセリフがあるとか、所々R18な非常に現実的な大人な表現も多々含まれています。

リアルタイムでSFCに熱中していた子どもの頃というか、現代でもUNDER 18の世代ではこのゲームの面白さを全て堪能するのは難しいでしょう。

ただ、ある程度大人になってからプレイしてみるとかなり面白い、大人たちが作った大人向けの本格派RPGだったんだと気付かされるゲームでした。

面白い、そして奥深いゲームでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めてコメントします。 どの記事もとても読みやすくて楽しく拝読しています。 このロマサガ2も「こんなお話だったのか!」と感銘を受けております。(当時子どもだった時分は「なんとなく」七英雄と闘…
[一言] 七英雄の概要のあたりからむちゃくちゃ詳しく愛に溢れた内容になっていたと思います。 楽しませてもらいました。
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