ベビーシッターから赤ちゃんに。
「君、今日もよろしくね」
仕事先のお姉さんにいつも通りの挨拶をされながら
仕事を続けていた。
俺は大学生の22歳だ。
一人暮らしをするために仕事としてベビーシッターをやっている。
この仕事にも結構慣れて今では10件以上の仕事を受けている。
「よしよし、いい子だね」
今日は、3件も仕事が入っていて、少し大変だが
やりがいがある仕事だからいつまでも続けていられる
俺も早く結婚して可愛い子供が欲しい。
自慢じゃないがこれでも毎年1人には告白される。
でも、付き合っても長くて3ヶ月で1番短かったのだと
2週間しか付き合っていない。
どうしてなのかはわからないが、多分合わなかったのだろう。
「ああ、早くいい子があらわれてくれないかなぁ」
そんな独り言を言いながら今日の仕事を終えた。
(あれ?ここは何処だ?)
昨日仕事を終えてフカフカのベッドに倒れ込むようにして寝転んだのまでは覚えているが。
どうして俺は今だだっ広い草原の上で寝ているのだろう?
しかも、体がうまく動かせない。
仕事の数が多かったとはいえまだ、20代前半だ。
こんなにうまく動かせないことなんか無いはずだ。
俺が頑張って体を動かそうとしていると。
近くから何かが近づく音が聞こえた。
(すいません、うまく体が動かせないんです。
少し助けてもらってもいいですか?)
「オギャー、オギャー」
あれ?俺、今喋った筈だよね?なんで赤ん坊の鳴く声
が聞こえるんだ。
俺は唯一動かせる、目で周囲を見渡すが赤ん坊はいない。周りにいるのは目が赤いイノシシのようなやつだ。
しかも、なんか変なオーラを纏っている。紫色というか黒色というか。まぁやばそうなオーラだ。
冷静に考えていたけどこれ、やばくないか?
目が赤く変なオーラを纏っているイノシシ、あぁ長い
とにかく危険そうなイノシシ5匹が段々と俺に近づいてくる。
(いや、マジでやばい。誰か助けてください)
「オギャー、オギャー」
イノシシ達はどんどん近づいてくる。そしてすぐ隣までやってきた。1匹のイノシシが俺の顔を舐めようとした時。
「はぁーー!!」
なんか強そうな男の人がイノシシ5匹を切った。
あぁ助かった。ごっつい鉄の鎧を着て、重たそうな剣を持った男の人だ。年齢は40代後半かな?仕事先の旦那さんぐらいだな。でも、かなりかっこいい。
でも、強そうな男の人よ、イノシシの血で世界が赤くなったよ。顔に血がついてしまったじゃ無いか。
文句を言いたいが、助けて貰ったんだ感謝の言葉を伝えよう。流石俺、感情のコントロールなんておてのものさ。
(ありがとうございます、体がうまく動かせず、襲われそうになっていたところを助けていただいて。)
「オギャー、オギャー」
「ここにいたのですか。よくぞご無事で。お前ら!
見つけたぞ、すぐに帰る支度をしろ!」
あれ?なんか会話ができてない、言葉は理解できるから言語が違うってわけじゃないと思うけど。
っていうか俺こんな人知らないのになんで敬語使われてんの?
俺の疑問を他所に、強そうな男の人が近づいてきて
俺を持ち上げようとする。
(あのー、俺男ですけど20代ですけど。
お姫様抱っこはすっげー恥ずいんですけど。)
「オギャー、オギャー」
って、さっきからうるせーな。何処にいんだよ赤ん坊は!
「魔物に囲まれて怖かったでしょう。もう大丈夫です。」
そう言って強そうな男の人は俺を持ち上げた。
あれ?俺なんかちっちゃくないか?
さっきまで寝てた地面を見るとちょうど人の形が血によってできていた。
そう、そのサイズはまるで生まれて1年もしないぐらいの赤ん坊の大きさだった。
(あぁ、異世界転生だこれ)
そう言って俺は気を失った。
俺が再び目を覚ました時は、あの強そうな男の人には抱っこされていなかった。なんかよくわからないほど豪華なベッドに寝ていた。そう、赤ちゃんになってしまった俺がだ。
それはもう広い。赤ちゃんの俺がこれだけ豪華な部屋にいるのだ。きっと俺はかなりいい家の子どもに転生したのだろう。
「旦那様、奥様、ルシエルさまが目をお覚ましになりました。」
お、なんかメイドさんっぽい人がいた。
あのメイドさんの言ってることを考えると俺の名前はルシエルらしい。ラノベが大好きな俺としては凄いカッコいい名前で嬉しい。前世がはむすけって名前だった俺。今やっと救われた気がする。
そんなことを思っていたら綺麗な女の人とこれまたダンディーなおじ様が入ってきた。
「ルシエル、大丈夫?。無事?。どこか怪我はない?。
体調は?。食欲は?。おっぱいはいらない?。」
「ミレーヌ。ルシエルはまだ赤ちゃんだ。お前の言っている言葉はわからないぞ。心配しているなら優しく抱っこをしてあげた方がいいぞ。」
「そうね、心配しすぎて、おかしくなってしまっていたわ。でも、ルシエルが誘拐されるなんて。心配するのは当然です。」
「あぁ、私も油断していた。あいつらが手を出してくるなんて。ただ、あいつらがルシエルを誘拐した証拠は揃っている。流石に言い逃れはできないだろう。実行犯も逮捕して、自害できないように拘束をしている。」
「よかった。ルシエルがもう二度と酷い目に遭わないようにしないと。」
なんか話している。取り敢えず俺の両親らしい2人の話の内容を纏めると。
俺は王国の二大家門である公爵家ヴァーミリオン家
に七つある分家の一つアーカディア家の長男
ルシエル・フォン・アーカディアとして生まれ変わったらしい。そして俺は何者かに誘拐されたが、見事事件は解決したそうだ。
あぁ、俺の第二の人生。
超!名前カッコイイ。最高だ!
はじめまして。由衣です。
初めての作品です。稚拙な文章で誤字も多くあるかもしれません。その時はどんどん報告をください。そして、感想も批判もくださると、作品制作に活かせるのでいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。