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わらべの詩(仮題)

月と海のおはなし

作者: 浮き雲

海のある町で育ったせいか、いわゆる古老の方々から、海の亡者や宝船の話など、ずいぶん、海にまつわるお話を聞かされました。

大がかりではないのですが、精霊舟を流す習慣もありまして、罰が当たるから浜に打ち上げられた舟には触れてはいけないとか、お盆には亡くなった方が海から帰ってくるけれど、その中に亡者が紛れていて足を掴まれ海の底へと引き込まれるから海に入ってはいけないとか、いろんなことを聞かされて真面目に信じていました。

そういう言い伝えのようなことを詩にまとめてみました。もちろん、まったくのフィクションも含んでいます。



黄金に煙る月の夜は


遠き昔に難破した 船が波間に浮かびきて


欲の亡者を金の香で 誘い集めて水底へ


とらえて、連れてゆくそうな




白く輝く月の夜は


砕けた波が、白銀の 花びらとなり舞いおりて


過ぎにし、時の狭間から 愛しきひとを連れてくる


(いかだ)となりてゆくそうな




赤く熟した月の夜は


ひかり滴る波間にも 妖しきものの浮かびきて


暗き海へと憧れた 罪なき人のいのちさへ


奪って消えてゆくそうな




淡く煙った月の夜は


暗い浜辺に、ひそやかに 哀しき人の集い来て


胸に潜めた苦しさを 言霊に変え、この(もや)に 


流して、消してゆくそうな





海から流れてくる宝船は、貧しい土地に暮らす人のための舟なので、独り占めしようとするお金持ちがいたりすると、金銀財宝で釣られて、海の底に引きずり込まれるのだそうです。少なくとも、これは本当に聞いた話です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 深い紺青のバックグランドがとても素敵ですね。 [一言] 底知れない海には、本当に考えられそう。怖そうで、それでいて神秘的で、さらーっと背筋が寒くなるような、幻想的でとても美しい詩ですね。
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