表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

母が残した最後のビデオレター

作者: 酒仙寺


『ん……?これちゃんとついてる?まっいっか。

私は今、病院にいるよ。元気してる?私は見ての通り元気だよ!!というかお母さまに聞いたよ!?私が倒れてから何にも口をしてないんだってね?そんなのダメ!!!ちゃんと食べないと帰ってからお父さんの大好きなカレーライス作ってあげないんだからね!!』




(ノイズ音)



『それとそうだ!マキくん!五歳の誕生日おめでとう!!新しいお母さんとどう?上手くやっていけてる?いやぁー、お父さん頼りないからなー!心配なんだよね!!!まぁ、それでもお母さんはちゃんと見てるから頑張って大きくなりなさいよ!!これはお母さんからのお願いだ!!』



ーーーーーーーーーーーーーーーー


『よっ!!マキくん、十三歳の誕生日おめでとう!!もう中学生かぁ!!早いものだね?身長どんくらいになったのかな?140ぐらい??もしかしてお母さんをこして150とか60行っちゃった?まぁ、そっちのお母さんの身長はわからないけどね!』


(ノイズ音)


『ていうかお父さん!どんな人選んだのかなぁ?私と同じで落ち着きある人?なに?落ち着きないっ?だまらっしゃい!!んじゃ、とりあえずお母さんからのお願いだ!!ちゃんと新しいお母さんとお父さんを支えてあげてね?……んじゃ!!』



ーーーーーーーーーーーーーー


『やっハロー!!マキくん!!!十六歳の誕生日おめでとう!!!早くも高校生か!!!いやぁー、思い出すなぁ……実はねお父さんと出会ったのこの時でこの頃から私にゾッコンなのよ!!ゾッコン!んで告白の時のセリフ……じゃなくて話が逸れる所だった。どう高校生?まさか悪さなんかしてないよ?ウチの可愛いマキくんは非行に走るわけないか!!ってんぁっ!!』


(カメラが倒れ、画面が変なところを写す)


『誰かぁー!誰か直してください!!私直せません!!……誰も来ない……まっこのままでいいかんじゃ、マキくん!私からのお願い!困ってる人がいたら助ける事!!いいね!……ってお医者さん!!それ切って直してください!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


『うぇーい!マキくん〜?二十一歳の誕生日おめでとう!!もうお母さんと同い年だねぇ?お父さんに似て男前になっちゃった?やだー!私ったら自分の息子に破廉恥な事聞こうとしてるぅ!!』


(しばらくのノイズ音)


『はぁ……はぁ……ふぅ……おっとごめんね。こんな見苦しい所見せて?実はこれ撮ってるの余命一週間宣告された時なんだよね……だから私急いでこれを急いでコソコソ撮ってたの。多分、お父さんにもバレてなかったと思う……』


(ノイズ音)


『なんで……!?なんで私がこんな目に合わなきゃいけないのよ……!!私悪い事してないのよ!?私は!!普通の人生送って幸せに暮らしたかっただけなのに……たった一つの幸せすら許してくれないの!!』


(ノイズ音)


「ごめん……最近精神的におかしくなってきてるの……ちょっと吐いて落ち着いた……よし!こんなママだけど最後の望み聞いてるかしら?実はね二つあるの!一つは…………幸せになりなさい。そして運命の人に出会ってその人を幸せにしなさい……それが一つ!!もう一つはお父さん!!もし私の事でうだうだ言って今のお母さんに迷惑かけてるなら……いっそ私の事なんて忘れてしまいなさい!!そうじゃなきゃ幸せになんないんでしょ?そんなの……私が許さないわ……!私を理由にしないで勝手に幸せになりなさい!!どうせ、もしかしたら天国で会うのかも知れないんだし、その時まで私は待ってるわ。もちろん!ゆっくり来る事!んじゃ!これを最後にしてビデオを全部終わり!!大事に取っとくもよし!いらないからと捨ててもよし!……いや、それは私悲しいかも……とりあえず!じゃぁね!お医者さんが待ってるから』


ーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだよ……これ?」

「マキ……」

「こんなの……!」

「マキ、下を向くな。あの世でお母さんが悲しむか馬鹿にしてる……無理やりでも笑って前を向け」


「……うん……頑張ろう」


ーーーーーーーーーー


「とりあえずお墓参り行くか!」

「了解!……あっお母さんも行こうね!」


『あー私、緊張します!』

「あはは、友達感覚で会いにいけばいいだよ!そんな緊張しないで!』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ