五話目
……家は、燃えていなかった。
「ふぅ、……はぁ~、良かった。」
そうしてもう一度確認しようと顔をあげ家を見ると、燃えていたのは隣の隣。燃え移る事なさそうな鎮火寸前のようだ。……にしても寿命が縮む思いだ。本当。というか火の元はなんだったんだろう?放火とかなら不安だけど、等考えながら相変わらずの利己的な思考に浸っていた。ぼうぼうと燃える家を見ながら。
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その日の夜。まあ言うてだけど9時位、チャイムが鳴った。確認して見ると隣の家の人みたいだ。言うて引っ越しの時と回覧板(まあ地域の事には参加はしないけど)位しか会わないが。そして何だこんな時間に、と何かあったかな?と思って開けると、前に会った隣の家の人と、あの少女がいた。
「…………」
無言でこちらを見つめられても、こちらも驚いている、何も言葉が出てこない。もう二度と会わないと思っていたし、今日に冷たい言葉で拒絶したこともある。
「こんばんは、申し訳ないねこんな時間に。」
「…………いや、それは大丈夫です。ところで、その人は?」
「……この子、今日燃えた家の子なのよ。おばさんの隣の子だったから仲良くてね。で、」
「いや、いい。おばさん。行こ。」
「……貴女、これからどうするつもりなの?」
「……」
「…………結局どうするんですか?何もないなら夜ですし閉じさせてもらいますが。」
「いい。帰る」
「ご、ごめんなさい。こんな夜に尋ねて来て結局何もせず。」
「……いいですよ、それでは、また。」
そして、数ヶ月がたった。
僕は普通に今まで通り過ごしていた。朝起きて、学校行って、サボって、今日も屋上へと来ていた。……そうしていると、屋上の扉が開いた。僕は(珍しいね。人気の少ない場所なのにな。)等と考えながら一応誰かか確認しようと後ろを向き、顔を確認した。その人は一人で女子だった。心の中で、あぶれ者かな?等勝手な予想を建て、また屋上の下を見る。そう薄い反応をされた女子は、
「予想はついていたけど、やっぱり他者に関心が無いのね。まああってもあの程度の関わりなら忘れても当然とも言えるけど。」
と返した。そして僕は数秒思考を停止させ、もう一度その女子の姿を確認した。そして記憶を掘り出し、数ヶ月前に話した死にたがっていた女子を思い出した。
「……………ああ、そういや話したね。というか、その口振りからして僕がこの人気の少ない場所に来た理由?」
そう推理を述べながらたずねると、
「ええ、そうよ。私がこの人気の無い……いや、まずほとんどの人が知らないこの場所に来た理由は貴方よ。」
「……特に、僕と貴女にはそんな話す用事や理由。そもそもこの場所で数ヶ月前に会っただけのはずだけど。まさか先生とかからの頼み事とか?無いとは思うけど。」
「まさか、成績こそ良くても授業態度、不真面目で先生からの好感度最悪の貴方に何でわざわざ頼み事しないといけないのよ。そうじゃなくて、私は、話をしに来たのよ、貴方と。私自身の用事で。」
そうして僕は数ヶ月前を振り返ってみる。……しばらく考えてみても、思い当たるものはない。
「…………思い付かないでしょうし、そもそも知らない。知るよしも無いのでしょうが、理由を話すわ。」
真剣そうにこちらを見つめる彼女は、良く観察すると怒っているようでもあった。
「………………ふぅ、よし、…………まず、数ヶ月前に貴方に構おうとしてきた女の子がいたじゃない?ほら、屋上から飛び降り、いや、本気で飛び降りようとはしていないのでしょうけど。その子に関しての話をしに来たのよ。」
「……いたね、それで、ここで彼女が出てくる理由は?」
「…………私は、彼女の親友よ。貴方の話は彼女から聞いているわ。」
「…………」
驚きはするけど、というかあの人にはまあ罪悪感も多少はあったが知らない人に嫌がってつきまとうのはどうかと思うし、ああでも言わないと離れないだろうから特に後悔は無い。で、
「その子についての話って?」
「その前に、まずはこの事を言っておくけど、私は貴方の過去に何があったかを軽くだけど聞いているわ。」
…………は?