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プロローグ
ーー潮の匂いがする。
何年ぶりの海だろうか。
日差しが、強い。
海が眩しい。
鳥は、ずっと向こうを飛んでいる。
私は、海に来ていた。
平成最後の夏に、人生の折り合いをつけるために。
心の中を、整理するために。
なぜ海か。
それは、わからない。
後々分かるかもしれないし、分からないかもしれない。
自分にわからないことを、伝えることはできないのだから。
水は少し、冷たい。
綺麗な形の貝殻が落ちている。
拾って、太陽に透かすと、波の模様が浮き出てきた。
私はそれを、綺麗だと、そう思ったのだ。
これは、平成最後の夏。
自殺する為に、人生を終わらせるために。
自分の歩んだ道を、立ち止まって振り返る。
そんな、なんでもないような、ただの、日記。
私は、今日、私を終わらせます。
拝啓、平成最後の夏に。