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千代と八千代と  作者: 梅宮トム
7/12

7・飲めや歌えや語ったれや

「ワハハハ!ボウズ!いける口か!」

「いやいや、おじぃさんには負けますよぉ」

夕食から変貌した飲み会は最高潮

どんちゃん騒ぎで実に楽しい。

いや、2人だけどね。


「……」

少しウトウトとしてる少年をしり目に矢継ぎ早に飲み合いお互いのコップを更なるお酒で満たしていく。


「おじぃ、僕寝るね」

あくびをした少年はそのまま部屋を出て行く。


「なんじゃ、もう寝るのか」

シュンとするじいさん。あらやだ可愛い…


「まあ、良いじゃないッスか!とりあえず飲みましょ!」

そう言って、じいさんコップにまた酒についでいく。


それから30分くらいたっただろうか?

じいさんの身の上話で盛り上がった。

ヤンチャしてるやつら相手1人で無双したとか、若い頃は自分の倍くらいあるカジキをモリでひと突きしただの、初めて手に入れた船の話とか。

じいさんの話は凡人の俺には考えられない刺激に満ちた話だったので聞いてて全然飽きない。

話を聞いてる限り、どうやらじいさんはこの漁業という業界ではかなり有名らしい。

[老いて益々盛ん]ってやつだな、そんな言葉がじいさんにしっくりきた。

大物のオーラっていうの?なんか大いに人生を楽しんでる感じがして少し羨ましかったりした。


「ところでボウズはどうしてここに来たのじゃ?」

そういえば、じいさんの話ばっかで俺のこと話してなかったな。


「別に面白い話でもないですよ?」

「そんなの関係ないわい、ワシがボウズに興味があるだけじゃ。」

と片眉をつりあげニヤッと笑う。

きゃ!カッコいいー!俺が女の子だったら一発でノックアウトだったトコですよ!

心のどこかで枯れ線の趣向に寛容になっていくのがわかる。


別に隠すようなことではないけど、かなり心の距離感ってやつが縮まった気がするし…

まあ、良いか。


そうして俺は自分の話をした。

とは言ってもここ最近の出来事だけだけど。

高校を卒業してから就活をしたこと。

なかなか採用されず、1年間居心地が悪かったこと。

ようやく受かった会社が突然の倒産。

それからというもの会社に行くフリをして公園に行き、野良猫にバカに…ってこれはいいか。

なんやかんやあってそんな傷心を癒やすためにたまたま旅行雑誌で紹介されてたココを目にし、今に至るということ。

あれ?話してくウチにだんだん涙目になってきた…

「ふむぅ……」

じいさんは腕を組み片手を長いヒゲにあて、わしゃわしゃする。

「あ…すいません、せっかくの酒がまずくなっちゃいますよねぇ…ハハ」

やっべぇ、思いのほか暗くなってしまった…

あー…どうしよ、どうしよ……

本日2回目の全然萌えない[はわわ]状態に陥る。

「ボウズ、お主はあれだ。……豆腐めんたるというやつじゃな」

じいさんや、どこでそんな言葉を…


「よし、決めたぞ!その豆腐めんたるをわしが叩き直してやろう!ボウズ、ワシの船に乗れ!」


「へぁっ?」

それはあまりに突然な採用、バカみたいな声が思わず出る。


人との繋がりって思わぬところでご縁があるのですよね。

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