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千代と八千代と  作者: 梅宮トム
6/12

6・アメとムチに似て非なるもの

目が覚める。

ああ…怖い夢を見た、なにアレ?鬼だよ、鬼。

半端ねぇ…仮に俺が異世界なんか行ってもあんなもん対応出来ないよ。

しかし、夢にしてはイヤにリアルだったなぁ。


そこでふと気づく

ん?知らない天井だ。

一目見れば築年数がかなり経っているであろう天井、身体を起こしてみるとズキッと痛む。

なんか身体のいたるところに擦り傷がある。

手をかるく握ってみる。

にぎにぎ…

うん、ちょっと力入れずらいけど折れてはない…よね?

足も動かしてみる。

ぱたぱた…

これなら歩くのは平気そうだな。

最後に身体をゆっくり捻ってみる。

少し痛いなぁ。これ打撲?

大丈夫、これなら全然大丈夫…だよね?よね?


そんな感じで身体の無事を確認しつつ、うっすらと先ほどの夢を思い出す。


ゾクッ…


身体か急に身震いをする。

もしかして現実?じゃあここは死後の世界…なーんちゃって…


もしかして黒い龍をかたどった炎とかだせたりして…

「はぁぁぁぁ、邪王炎殺黒○波ぁぁあ!!」


「ふむ、そこまで元気なら問題なさそうじゃな。」

うしろを見るとそこには見覚えのある顔


お、鬼や!…鬼がおる!

その瞬間、俺は恥ずかしさと恐怖で[はわわ]状態になる。

自分で言うのもなんだけどこんなに萌えない[はわわ]はなかなか見れないと思う。


「はわ…はわわわわ…」


「落ち着け、ボウズ。わしじゃよ」

いや、知らねぇーし!

俺の知り合いにこんな厳ついじいさんなんかいないわ!!


「おじぃ、それじゃわからない。」

「ふむ。そうじゃったかこいつは失敬した。」

てへぺろをする鬼もとい厳ついじいさん。


あれ?厳ついじいさんが可愛くみえる。

これが枯れ線の気持ちってやつか、よく見りゃ愛嬌があるじゃない。

うんうん、第一印象は恐怖しか沸かなかったけどやっぱ偏見の目で見ちゃいけないよな。

ラブアンドピース、人類みな兄弟ってやつだ。

ヘイ!ブラザー!調子はどうだい?…とは実際、言えないけど…


「いやいや、わしの孫から若いもんが腫らした目で海の方向を聞いてた。なんて言うもんだからてっきりのう。」


「間に合って良かった」

コクコクと頷く少年、こいつなんか見覚えがある。

あっ、もしかして駅で声かけた奴か。

そういや鈍行電車に揺られてここまで来たときに、昔を思い出して少し泣いたっけ。

もちろん、良い思い出たけどな!

「えっと…ありがとうございます?」

とりあえず礼を言っとく。

だって俺のこと心配してくれたしな!日本人として当然の気配りだ。


「海が…汚れる…」

「そうじゃな、ここら辺で死なれて鮫が寄ってきても困るしのぉ。」

って、おぉぉいぃぃぃ!俺のこと心配したわけじゃないのかよ!!

なんだよもう!お礼言って損したわ!


…アホくさ、もう帰ろう。

「じゃあ、俺帰りますね。なんか迷惑かけちゃってすいません。」

そそくさとその場を去ろうとする。


「ほぅ、帰る?こんな夜中に?」

「電車…もうない」

「バスもないのう」

えっ?マジで?

部屋を見渡して見ると壁に掛かった時計を発見する。


丁度23時になりボーン、ボーンと音を立てる時計。


「あのぉ、ここら辺で泊まれるトコって…」

2人とも顔を見合わせ、うーん…と上を見上げる。

「「ない」のう…」

オ、オワタ…今日どうするかなぁ…

別に今無職だし、急いで帰らなくてもいいけど…


「ふむ…ここで会ったのも何かの縁じゃ。良かったら泊まって…」


「あ…ありがとうございますぅぅ!」

くい気味に返事をする。即断即決!それが出来る男ってもんだろ?なぁ?


さすがの厳ついじいさんもこの勢いには飲まれたようで

「…お、おう」

と受け答えた。

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