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千代と八千代と  作者: 梅宮トム
2/12

2・日常から非日常

高校を卒業してから2年たった。

俺はまだ親のすねをかじってる。

1年くらい就活をしてた。

近年、不景気から脱出し就職氷河期は過ぎたただのなんだのニュースで言ってたし余裕で就職できるなんて思ってたけどなかなか甘くなかった。

何社受けただろうか?

よく覚えてない。

各会社の経営理念の部分だけをすり替えた履歴書を何枚…何十枚と作り、目についた会社に手当たり次第送りつけ

インターネットでよく見るようなテンプレの面接の受け答えをしたが

『キミは目が死んでる。』『別に弊社じゃなくても良いよね?』『本当にキミはうちに入りたいのか?』etc.

いや、しらねぇーよ!

俺はそこそこの給料もらえればそれで良いし、出世なんか別にしなくて良い。

会社を改革するなんぞ他の奴に任せとけばいいんだ。

ただただ毎日決められた仕事をやって定時で上がってその後たまーに自分へのご褒美として酒でも飲んで


ーああ…今日も一日良くやった俺…ー

なんて感じて良いのだ。


あの1年間ホント親の目が痛かった…

まあ、就職出来ないのもムリはない。

自分で言うのもなんだか俺が人事担当で俺みたいな奴が来ても採用なんかしない。

成績、運動ともに普通くらいで目立った特徴も野心、あまつさえやる気もないときたもんだ。

文句も言わないし使い勝手は良いだろうが、いかんせん頼りない。

あっ…自分で言ってて悲しくなってきた。

かと言って性格を変えるような努力はしないが…


とまあ、紆余曲折あって今の会社に1年はいるわけだが


ーうむ…居心地は悪くないー


周りから頼られるワケでもないし、頼ることもあまりない。

たまに先輩や上司に飲みに誘われて

『彼女いねぇのか?』とか『タクローも仕事覚えてきたなぁ』『俺の嫁が…鬼でな』『これでも昔はワルだったんだぜ』

みたいにとりとめも無い世間話や仕事の愚痴。

素晴らしく普通で良い。


別にずっとこの会社に勤めたいワケではないがすぐ辞めたいとも思わないし、概ね順風満帆と言っても良い。

あの日が来るまでは…




◇◆◇

『…みんなすまない、我が社は倒産した。』


「へっ?」

ざわつく社内、俺も状況が飲み込めない。

ただ1つわかったことがある。

どうやら職を失ってしまったみたいだ。


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