遭遇
こうしてかき氷を楽しんでいた私達。
カズがくれたフルーツソースは微かな酸味のあるすがすがしい香りの物だった。
ほんのり紫がかっているそれを見る範囲ではブルーベリーのようにも見える。
とはいえかき氷にこう言ったシロップをかけると高級な感じがする、そう思いながら味を私は楽しんでいた。
美味しいものが食べられて、魔法の練習もできて最高と私が思っているとそこでカズが、
「そうだ、嶋本さん、ちょっと来て」
そこで私は彼に呼ばれる。
これだけあればいいだろうというかのようなかき氷の山? を作り上げた彼は、すでに変身を解いている。
特殊能力で作り上げたそれをみんなが楽しんでいるので、私達の方には目もくれない。
そう思っているとそこでカズに手を握られて、みんなから離れた所に連れていかれてしまう。
特に他意はないのだと思うけれど、そわそわすると私が思っていると、
「今のうちに魔力がどの程度回復したのか見ておくといいかも」
「確かに! 特殊能力にも魔力が必要だし……回復速度は見ておいた方がいいかな」
そういわれて私は気づく。
その回復速度は事前にしっておいた方がいい。
というわけで“ステータス・オープン”して私は自分の魔力の回復速度を見る。
数字から見ていくと、
「すでに先ほどの一撃……でも弱めだったから……半分くらい回復しているのかな?」
「弱めたのがどの程度か分からないけれど、しばらくこの画面を出したままどれくらい増えたか見ておくといいかもしれない」
「うん……でもみんながいるから」
「僕のステータスという事にしておけばいいよ。離れた場所だと文字はそこまで見えないし」
そういって話しているとそこで、足に何かがすりすりとしてくる。
見るとリーフが私の足に顔をこすりつけていた。
「リーフ、どうしたの? 氷をさっきまで食べていたはずなのに……」
「みぎゃ~」
そこでリーフがそんな風になくのを聞きながら、なつかれているなと思うけれど、こんなになつかれて私は今後、どうしようかとも思う。
いつか私が元の世界に帰るときこの子はどうなるのだろう?
ふと沸いた疑問は、私達の方にロビンが走ってくるので、中断された。
「聞いてくれ。さっきどうせならスプーンが欲しいと思って宿の方に向かったんだ。そうしたらそこで丁度宿に来た従業員の人が、ミオを見ていたじゃないか、ここに来た時に」
「私を見ていた? それがどうかしたの?」
「それで、さっき下の方の村に行ったら、ミオを見たって」
「?????」
「だから、本物の方のミオがこの村にいるみたいなんだ!」
そうロビンが熱弁したところで、何かが走ってくるような音を私達は聞いたのだった。
森をかき分けて何かが阿はしって上がってくる音。
それも一つや二つではない。
地面が振動するようなそれを私は感じた。
「な、なに?」
「……魔物“ローウルフ”。オオカミのような形をした人の身長の二分の一程度の魔物だ。だが集団で行動するとはいえ多すぎる。二十体入るがまださらに増えている。……ほかにも違う魔物も混ざってきているが、なんでこちらに走ってきているんだ?」
「そ、そんな風に冷静に分析していないでどうしよう……単位機関で一気に走り抜けて敵をせん滅なんてできないし、後半以降劇でないといけなくて……あ、このブレスレットを使う時?」
そこで私はこのブレスレットを使う機会が訪れたのかと思ったけれどロビンに、
「それは威力が高いから、もう少し穏便な方法にしてくれ」
「う、でも魔法の練習をしているどころじゃなさそうだし」
「特殊能力で何か変わった使い方は出来ないのか?」
「! 一つ思いついたのがあるけれど……ここの山の下ってしばらくは何もなかったり誰もいなかったりする?」
「そうだな。それで、どうする?」
「それで早くに移動ができれば、移動しながら次々と相手を仕留めたりできる?」
「馬車の上から敵を仕留める程度の事は俺にもできるし……そちらはどうだ?」
ロビンがカズに問いかけるとカズが、
「補正をしての攻撃でその程度は余裕だ」
「とのことだ。それで、どうする気だ?」
ロビンに私は聞かれて、ちょっと黙ってから私は、
「うまく制御しないといけないけれど、氷の玉の上に載って転がすのってどうかなって」
「……カズ、いざとなったら俺達を抱えて退避も同時に可能か?」
「その程度なら」
「そしてちょうど近くに細い獣道があって、したの方にまで降りれそうな場所があるから……そこを通して、移動するのか?」
そういわれて私は頷く。
移動しながらの攻撃と、巻き込みながらどんどん塊を大きくして言って踏みつぶすのはどうかなと思ったのだ。
球状にして落ちていけばいいかといったような簡単なイメージだったのだ。
でも試しにやってみていいらしい。
そこでロビンが振り向き、
「全員宿の方に戻るんだ! 魔物がこちらに来る。俺達は、それらを仕留めてくる。いいな、これは命令だ! 今すぐここから退避!」
ロビンがそう告げると、みんながその場から逃走した。
そして私に特殊能力を使う用に言う。
だから氷が一つ必要だと私が言うとカズが氷を一つ削り出してくれる。
私の身長二倍程度の直径の塊だ。
それに私は特殊能力を使って 、その一番上の部分に乗ってみる。
この氷の表面全体に、中心部に引かれるように特殊能力を使う。
そして軽く足で体重をかける。
この時も特殊能力を使って氷を踏みつける。
ぐらりと氷が揺れた。
そしてそれは緩やかに動き出して、面白がったロビンとカズが私のそばで一緒に氷を転がして、
「ひわわわわわわわあ」
その速度は急激に上がっていく。
早い速度で短期間で移動、という事も考えていたけれど、この動きは……。
悲鳴しか私は上げられない。
途中先ほどの魔物のようなものがいくつも見えたが、こちらに気づいた瞬間にはカズとロビンが倒していっている。
今回はロビンも真面目に戦っているらしい。
とはいうものの私はこの特殊能力での制御に精一杯であったけれど。
でも、見ていてふと思う。
確かにこちらの方に向かって行ったり、途中踏みつぶしてしまったものもあるが……この魔物たちはやけに焦って移動しているように見える。
それこそ何かから逃げ出すように、急いでその場から逃走しようとしている……そんな印象を受ける。
そう思っているとそこで、
「みぎぃいいい」
「リーフ! というか、空を飛べたの!?」
そこで空を飛びながら追いかけてきたリーフを私は目撃した。
するとロビンが、
「あの種類のドラゴンは空が飛べるぞ」
「……読み落としていたよ。というか今まで飛んだところ見たこと無いよ」
「空を飛ぶと疲れるからな」
といったロビンの冷静な声を聞きながら私は、さらに移動する。
その間にも二人によって魔物の攻撃が続けられている。
おそらくは、私たちの宿舎の方に向かっている魔物のほとんどを倒しきっただろう。
だが、私の予想通り土や枯れ木などが大量にくっついてさらに大きな塊になった氷はその勢いを増していた。
斜面だから当然といえば当然だけれど、気づくと平原にまで達してそして。
「こ、このままだと森に突っ込んじゃう」
「速度を緩めるようにっは出来ないのか?」
「地面に特殊能力を使って……わぁああああ」
そこで力の加減を間違ったらしく、一気に動きが止まったせいで、乗っていた私が前のめりになる。
カズが私に手を伸ばしていき手首をつかんで抱き上げるのを感じた。
助かった、と思うと同時に、ロビンの方にまで手を伸ばして、空高く飛び上がる。
その時目の前にフードをかぶった人影があったが、私としてはその人に当たらなくて良かったと安堵する。
そして、地面に着地したところで私は……。
「あれ……私?」
「なんであなたがここにいるの? 身代わりはどうなったの?」
その話を聞いて私は、この目の前にいる人物が、この世界に来たばかりに遭遇した“ミオ本人”だとようやく気付いたのだった。
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