表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/74

察しというような顔

 ミオの婚約者はロビンという王子様だったらしい。

 しかし婚約破棄を投げさせる挑発って何をやったんだろうと思わなくはない。

 そう思っているとそこで目の前のロビンが、


「それでお前の名前はなんて言う? 本名の方だ」

嶋本美緒しまもとみおです。ミオの方が名前になっています」

「この姿で名前まで同じなのか……それはだと最高の身代わりだな、ミオには」


 そう言ってロビンは深々とため息をつき、


「とりあえずは約束通りできる限りサポートはする。この学園やこの地域については詳しくないだろうし。俺の事を知らなかったから、この地方の人間じゃないだろうから出身地を教えてもらえると助かる」

「あ、えっと、その……実は私、この世界の人間ではないのです」

「……」

「異世界からこちらに来た人間でして、その……」

「……まさか女神様がこちらに呼んだ人間の一人、か? だが勇者関連は別の王家が担当するはずだから……対、“魔族”用の人材? そんなすごい人間に身代わりを……さすが、俺のミオだな」


 なにやら一人感慨深く頷いているロビン。

 だが私としては、


「“魔族”って何ですか、私、戦わないといけないのですか?」

「いや、随分人数を読んだらしいからそうとは限らないが、もしもの時のための、という話らしい。そのために特殊能力チートを与えたとかなんとか」

特殊能力チート、そういえばまだ私も確認していないかも」


 何しろいきなり謎の女性に脅されて身代わりさせられてここに連れてこられたのだ。

 しかも昨晩一睡もしていない。

 そんな状況だったので確認していなかった。

 そこでロビンが私に、


「ここでは魔法の演習もあるから、すぐに魔法を使えるようになるとは思えないからその特殊能力チートで使える魔法で誤魔化しておいた方が良いかもしれない。異世界だから魔法の形態が違うだろうしな」


 というロビンの話を聞きながら私達の世界には、魔法なんて存在しないと思った。 

 でも話がややこしくなりそうなので黙り、私は考える。

 そもそも魔法のあるこの世界で、この世界に来たばかりで魔法の知らない私がどうやって誤魔化すのだろうと思う。


 そもそも特殊能力チートといったって、どんな能力なのか。

 水を出せるといったものなら魔法っぽいけれど、空間転移とかそういったものだったら……そう私が悩んでいるとロビンに、


「早く特殊能力チートを確認するんだ。それで俺の対応が変わるから」

「は、はい……えっと、“ステータス・オープン”」


 私はそう言って自分の能力を出してみる。

 そこにはいろいろな数値が描かれているが、最後の特殊能力チートの部分には、


「“重力変換(グラビティ・エンド)”」


 そう書かれていたのだった。







 そして私はロビンに連れられて教室に。

 なぜかざわめきが上がるがそこでロビンがみんなに、


「彼女はミオだ。そういう事にしておいてくれ」

「……あ」


 察しというような顔になって生暖かい視線が私に降り注がれる。

 あのミオという人物は一体どんな人物だったのかが私にはとても気になったのだった。



評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ