おすすめはしない
どうやらロビンはようやく、ミオとの婚約破棄書を手に入れたようだった。
手には白い丸められた紙が一枚。
地面に落ちたロビンが、それを開いて確認している。
「本物だ、本物だ本物だぁあああ」
踊り狂うくらい喜んでいるロビン。
ただ個人的に私が思うのは、ここまで喜んでいるのを見るに、
「いったい何がどうしてそんな風に、婚約破棄書にサインをすることになったのかな」
「ん? もしかして彼、あのロビンという人はサインさせられたんだ? あの、ミオって人に」
「そうそう。ロビンはここまでミオ命なのに、サインをよくしたなと思……て……」
そこでそれまで喜んでいたロビンが、無表情になり、くるりとこちらの方を向いた。
そのゆっくりとした動きは私にとって不気味なものに見えたが、その動きと同じようにゆっくりと口をロビンが開いた。
「俺が大人げなかっただけだ。つい、ミオの挑発に乗ってしまった。……澪にもっと愛されていると俺は、自分で自分の事を驕っていたんだろうな。だが、こうやって挽回の機会があるから澪は俺の事をまだ好きな部分もあると考えていいわけだ!」
そう途中から早口になりながら告げるロビン。
これは、どうなんだろうなと私は思ったけれど、確かに彼が言う通り身代わりをしているミオの方も、こんな機会を渡すあたりでそうしてくれることを願っているのかもしれない。
とりあえずは目的のものを手に入れた私だが、そこで、
「くぅ~ん」
「あ、そうそう、このミニドラゴンはどうしたらいいのかな。私になついているみたいだけれど」
ミニドラゴンが小さくないてすりすりしてくる。
どうしたのだろうと思っているとロビンが、
「お腹が空いているのかもしれないな。このタイプのドラゴンは果物をよく食べるから用意してもらうといい」
「そういえばこの子、私が飼うの?」
「こういったドラゴンは、小さいとはいえ持ち主がいないと危険だから処分しないといけなくなるから……ミオ、頑張れ」
「! 私が飼うの!?」
「特に生まれたては、親と認めた相手にしか懐かないからその人物が捨てるとなると、食事をとらなくなってそのまま……」
「う、うう……そうね、仕方がないわ。果物を食べさせればいいのね」
「そうだな。ちなみにこのタイプのドラゴンの排泄物は“魔石”になる。それを販売してもお金になる」
「……この世界での生活もあるし、頑張ってもらおうかな……」
まだ異世界人としてこの世界にどれくらいいることになるのかもわからないこの状況では、確かに心強い。
それにこんなつぶらな瞳で見られると……そう私が思っているとそこでカズが、
「とりあえずここはダンジョンだから、危険なことには変わりない。移動しながら話し合いなどをしていこう」
「そうだね。それでどうしよう、どの出口に出る様にしようか。私の今お世話になっている公爵家の出入り口に向かって移動する? それでももっと違う場所がいいかな?」
その問いに答えたのはカズだった。
「僕が入り込んだ出入口はあまりよろしくない山の中だから、おすすめはしない。何匹かカラフルな蛇も見たしね」
その答えを聞いて私は、元来た道を戻ることにしたのだった。
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