熱源が小さい
何かにひびが入る音がした。
パリパリと何かが剥がれ落ちる音がする。
一瞬今の戦闘で、この洞窟内が崩壊しているのではと私は思ったがそんな事はなかった。
ぴしっと音が聞こえると共に、赤いトカゲの皮膚のようなものがある。
それは先ほどの石化して封じられたドラゴンの像のような物から聞こえて、見えているようだった。
この巨大なドラゴンが今ここでよみがえろうとしているのか。
再びの戦闘、そう私が思っていると傍でカズが、
「もう一度戦闘になりそうなのか? 今の所敵意は感じないけれど」
どうやら数は敵意を感じたりするらしい。
だから変身しようか迷っているようだ。
そして私はロビンの方を見ると彼も首を振り、
「俺も特に何も感じない。このドラゴンに戦闘する意思は無そうだ」
「そうなんだ、戦闘にならないといいけれど、ドラゴンは強いの?」
とりあえず私は聞いておく。
空想上の世界のドラゴンは強い物と相場が決まっており、以前の話では強そうに聞こえたが、この世界のドラゴンは強いのだろうか?
そう私は思いながらロビンに、
「この世界のドラゴンてどれくらい強いの? “魔族”よりも?」
「ちょっとした“魔族”より強いと言われている。先ほどの“魔族”が弱い物であれば、それよりは下手をすると強いかもしれない」
「そ、そうなんだ。でも封印していたんだよね? それがどうして今……」
「ある程度弱体化すると、危害を加えないと判断されて魔法の効果が無くなる、という物もあった気がする」
「時間を止めるようにして保存しているんじゃないの?」
「……実は、魔力の強い魔法生物に対してはこの魔法、そこまで効果がないんじゃないかという話もあって」
「実はこの石化の魔法、あまり例がない?」
「……そんなに古いものではないし、ドラゴンはそんなにいないし、長期観測にもなるし……サンプルが少ないんだ。だから情報が少ない」
そういった話をしている間も音は止まらない。
新たな怪物の恐怖に私が凍り付いているとそこで、
「だが熱源を探知してみるとそれほど大きくは無いようだな」
「うわっ!」
「どうした? ミオ」
気づけばすぐそばで変身していたカズがそう分析した。
参考にはなるのだけれど、いつの間にか変身されているとそれはそれで……と思うと同時に今の話が私は気になった。
「熱源が小さいの? という事はこのドラゴン小さいの?」
「そうであるらしい。……ちなみにドラゴンには種類があって、ある一定の時間立つと再び幼児状態に戻り、初めて見た相手や人間を“親”だと思うらしい」
「……」
「つまり凶悪なドラゴンをペットに出来るという事だな。そういった人達が少数ながらこの世界にいて、“ドラゴンライダー”と呼ばれてそのドラゴンの背にのったりできるようになっているらしい」
「カズ、詳しいね」
「その村を一時、諸事情で訪れたからな。だからそんなには知らない」
数の話を聞きながら、それだと良いなと思う。
だって戦闘するのは怖いし危険だし。
そう私が思っていると、
ギャー
変な鳴き声と共に小さなオレンジ色の怪獣のようなものが、剥がれ落ちた場所から現れた。
私の膝くらいしか身長がなく、つぶらな瞳が可愛い。
そのミニドラゴンが、もう一度鳴いてから私の傍までやってきて、
ギャー
と鳴いている。と、
「どうやらミオは、自分の主人か、母親としてそのドラゴンに認められたようだな」
「え?」
そこで更に、ミニドラゴンはギャーと鳴いたのだった。
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