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積極的になってしまうらしい

 “招き猫(パワードスーツ)”、それがカズの貰った女神様からの特殊能力チートであるらしい。

 先ほどの愛らしい猫の着ぐるみが招き猫であるようだ。

 そういえば胸元に小判のようなものがついていた気がするが、


「“招き猫(パワードスーツ)”っていうんだ。でも変身? すると口調なんかが変わっていたような。私の事も、“嶋本さん”じゃなくて名前呼びになっていたし」

「そうなんだ。どうも変身すると、一人称が僕から俺に変わって、しかも積極的になってしまうらしい。ただ僕自身が少し活動的になって魔法が使えるようになる、くらいの効果で記憶も全部引き継いでいるし本質的な所は変わっていないみたいなんだ」


 と、少し困ったようにカズは笑う。

 何だか本当に先ほどの変身した状態とは雰囲気が違う。

 けれど今の話だと、


「変身する前に襲われると大変なんじゃ」

「そうだね。だから外で野宿する時は変身した状態かな。この状態だと夜でも寒くないし、外でそのまま眠れるしね。敵が近づいてきても周囲に“索敵結界”を生じさせておけば自動で倒せるし。朝、気が付いたら魔物の魔石が大量にそばに転がっていたり、動物の死骸が転がっていたこともあったかな。あ、山賊なんかは縛り上げられた状態で転がっていたかな。山賊は賞金首もいたから、結構いいお金になったな」

「そうなんだ」

「うん、食べ物なんかも購入するにはこの世界の貨幣が必要だしね。そして魔石の類は、一部は売ったけれど、魔物の被害に困っている村の人がいたから、僕自身が当面は生活出来そうだったからあげてしまった」


 どうやらこの世界の村の危機を救っていたらしい。

 異世界に飛ばされて、劇的な生活をしているなと思いながらも私は、


「それでその特殊能力チートだと何ができるの? 索敵能力はあるようだけれど」

「基本的にはそうかな。周りの状況を分析して、認識の拡張。しかも視覚は360度にわたり、可視光領域以外の状況も自動で測定できる。例えば、先ほどの嶋本さんの使った能力が重力に関係する物であるらしいといったものも分かるようにね」

「た、確かに気づかれたわね」

「そういったものをある程度僕の意識で切り替えるとはいえ、自動で周りの状況を分析して僕に送ってくれる機能もついているみたいなんだ。他には、先ほどの自動撃退機能や、僕自身の身体能力の強化、そして必要な魔法を検索し、ターゲットに最適な魔法を選び出したりとか。それらも全部変身状態では行える」


 といった戦闘にはとても便利な能力であるらしい。

 というか私もそっちの能力が良かったなと思っていると、カズはそこで困ったような顔になり、


「ただその魔法の威力はそこまで強い物ではないみたいだ。途中で出会ったミオが言うにはそれほど強くない“魔族”でも苦戦してしまったからね」

「……ちなみに今の“魔族”はどれくらい?」

「出会った範囲では一番“弱い”かな。といっても、今回の“魔族”で三匹目だけれど」


 そう答えるのを聞いて私は、嫌な気持ちになる。

 あれでそんなに強くない方って、そう私が思っているとそこで、ぴしっと何かが崩れる音がしたのだった。


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