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結局は遭遇できなかったらしい

 クラスメイトである、天池和敬あまいけ かずたかは、大人しい人物だった。

 そこそこ仲がいい男子で、私も話していたりしていた。

 目鼻立ちが整っているものの、大人しくてよく本を読んでいる人物だった。


 確か剣道の授業を取っており、よけるのと気配を消すのが得意だと聞いた気がする。

 同じクラスの菱倉新一郎君とよく組まされて練習していたのを覚えている。

 部活は文芸部といった風に、運動系ではなく文化系の人物だったはずなのだが……。


 そこで和敬、皆からはカズと呼ばれているのだが、彼が、


「でもようやくクラスメイトの一人目に会えて良かったよ。こんな場所だけれど、妙な力場を察知したから入り込んでみたけれど、まさか嶋本さんがいるなんて」

「う、うん、カズ君がいて私達も助かったよ。私、一昨日この世界に来たばかりで……って、カズ君もそうだよね」

「? 違うよ。僕は一週間くらい前かな」

「え?」

「魔力の多さによってこの世界に飛ばされる時間が遅くなるから。だから嶋本さんの方が僕よりも魔力があるはずだけれど……そういった説明は?」

「聞いていないです」


 私はそう答えた。

 というか、もう少し説明をきちんとしてくださいよ、女神様、と私が思っているとそこで、


「でもどうにかクラスメイトである嶋本さんと合流できてよかった。途中、“魔族”と戦っていたら嶋本さんによく似た現地の人と遭遇して共同接戦をひいたりしたけれど、結局その人とは別れて、伝説のフードファイターをやっているらしい別のクラスメイトや、魔法少女戦隊をやっているクラスメイトを探しにさ迷っていてここに来てしまったんだ」


 どうやら私以外のクラスメイトの情報をカズはもっているようだが、結局は遭遇できなかったらしい。

 だが今の話を聞いていると、と思った所でロビンが、


「すまないが、ミオに似たその人物について聞いていいか?」

「構いませんが、どちら様でしょうか」

「俺はロビン、この国の第二王子だ」

「王子、ですか。ロビン、王子……そういえば、ミオに似た現地人の彼女も、ロビンにはあとで謝っておかないととかなんとか言っていたような」

「え?」

「私の婚約者ですごく格好良くて強いのよ、と自慢していたような」

「……」


 実はさりげなく惚気られていたらしい。

 ロビンが顔を赤くして黙った。

 本当にロビンはミオが好きらしい。


 そう思いつつ私はカズに、


「それで、ミオの目的について何か聞いていないかな? 実は私、彼女の身代わりをさせられちゃって」

「? そうなのか」

「うん、公爵令嬢の身代わりで、現在記憶喪失になっていることになっているから」

「……すごい設定だ。周りは納得したのかな?」

「ミオの性格がそのアレだって事である程度は」

「……なるほど」


 その説明だけでカズは理解したようだった。

 実際に出会えば、思い当ってしまうのだろう。

 さて、そこまでの話は良いとして、


「それでカズの能力は何なの? 私は、“重力変換(グラビティ・エンド)”だったけれど」

「僕の能力は“招き猫(パワードスーツ)”だったはず」


 そうカズは答えたのだった。

  

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