クラスメイトだった
危機に陥った私達の前に、突如、猫の着ぐるみを着た何者かが現れた。
どこかのヒーローもののような展開ではあったけれど、その人物の声には聞き覚えがあった。
けれど今はそんなことを考えている場合ではなかった。
実際に、目の前には敵がいて攻撃を私達に仕掛けてきていた。
けれど、その攻撃をどうすれば避けられるかをこの着ぐるみさんは知っているようだった。と、
「あの“魔族”は魔法を使っているか?」
「え? いえ、まだです。今、接触したばかりで」
「分かった。それで、ミオの能力はどんなものだ? それであの“魔族”を攻撃しているのだろう?」
「え、えっと、重力を操る能力です」
「なるほど、それであの一帯の“空間”がこんなことに……分かった、ミオはそのまま、あの怪物を抑えていてくれ。もっと力を強くしてもらえた方が動きを止められる」
「わ、分かりました。他に手伝いは?」
「今後の状況による。敵が魔法などを使ってくる前に、“倒す”」
そう目の前の猫の着ぐるみの人は、“魔族”へと走っていった。
言葉はあれだが見た目が可愛らしいせいか、ギャップを感じる。
そもそも私が思っていた通りの人物であるならば、こんな話し方はしない気がする。
けれど先ほども考えた通り今はそれどころではない。
少しでも彼の手助けになる様に、重力を高く設定し動けないようにする。
体の中から何かが凄い勢いで減りかけているのを感じる。
はねのけようとするその物体に対して力をかけているというのもあるのかもしれない。
あの“魔族”はようやく、形を変形させられない状態にで生きているようだった。
そこで、走っていったその猫の着ぐるみの人がうでを前に突き出し、
「“閃光の杖”」
それがどんな魔法なのかを私は知らないけれど、何かが彼の目の前で膨れあがるのを感じる。
彼のかざした手の前に光の魔法陣が現れて、そこから黄色い光が噴き出す。
その光の強さに私が目を閉じる。
やがて光が消えて、恐る恐る目を開くとまだその“魔族”は存在していたが一回り小さくなっていた。
だがそこで目の前の猫の着ぐるみの人が、魔法を使う。
とりあえずこの攻撃で減らせるからだろう。
何発も売っていくと五発目でようやく、甲高い音が聞こえて、私がかけていた魔法にかかる圧力のようなものが消えた。
倒されたのだろう、と、
「ミオ、もう魔法は解除して大丈夫だ」
「は、はい。……はあ、助かった」
私は茫然としたようにつぶやく。
まだそんなに魔法に慣れていない私は、一息つく。
そこで猫の着ぐるみの人が近づいてきた。
そう言えば先ほどの声は私にとって聞き覚えのあるものだった。
とりあえず見上げているとそこでその猫の着ぐるみを着た人が空高く片手をあげて、
「変身・解除!」
そう告げた。
同時に着ぐるみ部分が消失して、私のみ知った学校の制服と、男性の姿が現れる。
何処からどう見ても私の知り合いだった。
そしてクラスメイトだった。
けれど彼は先ほどの着ぐるみの時とは打って変わった穏やかな口調で、
「久しぶり、嶋本さん」
そう私を名字でよんだのだった。
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