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丸め込まれた私

 こうして、嫌がる私を無理やり影武者に仕立て上げたような彼女、ミオ・ブラウン。

 私は旅に出るから、明日メイドが起こしに来たら事情を話しておいて、と言われてしまった。

 え? いえ、え?


 訳も分からずにいる私の目の前で、ファンタジー世界っぽい動きやすそうなズボンとシャツと飾り模様のついた胸当てや弓を持った彼女は、長い黒髪を一つに縛ってポニーテールにして窓から外に出て行った。

 ちなみにここは三階で、途中途中に縛った目のあるロープをベランダに括り付けてそれで地面に降りていく。

 さらに付け加えるならそれを使って先ほど私はこの部屋に上ることを強要された。


 すごく怖かったです。

 そして現在、訳も分からず衣食住という言葉で丸め込まれた私は、今更ながらあまりな展開な気がしてきていた。


「む、無理だよ。どう考えても私、そもそもあの人と性格が違いすぎるよ! 勉強だって魔法なんて知らないし! 文字だって読めるか分からないし! 言語はどうにか通じているようだけれど、どうするの? ねえ、どうしよう、どうしよう!」


 しかしそう叫んだところで彼女が戻ってくることも無く、胃痛にさいなまれながら私は気づけば朝まで悩んでいた。

 そしてこんこんと扉を叩く音が聞こえて、


「ミオ様、朝で……」

「きたぁあああああ」


 部屋のドアを開いたメイドに向かって私は叫び、慌ててミオのおいていった書置きを持ち、事情を説明したのだった。








 はじめは、娘のミオが錯乱したかとご両親は思ったらしいが、


「あの子がそんな性格じゃない事は、十分私達が知っていますものね」


 嘆息するようにミオの母親が言う。

 そして私の事情についても分かってくれたらしい。

 異世界人の話もすでに伝わっていたのでその辺りは理解してくれた、のだが。


「やはり学歴に傷がつくのは困るから、学園に通ってもらえないだろうか」


 と私は両親に頼まれてしまった。

 衣食住、そして娘が戻ってきたら礼金を支払うと言われて、行く当てのない私は頷くしかなかった。

 ただ問題は、


「私、会話は出来るみたいなのですがこの世界の文字が読めるかどうか」

「では丁度、新作の恋愛小説があるから見てみなさい」


 そういってミオの母は私に本を渡してきました。

 この文字が読めなかったらと思ったけれど、表題の文字自体は読めないのに、意味が分かる。

 振り仮名を振っているわけでもなく、意味を理解してしまう。


 ナニコレ、そう私は思いながら奇妙な感覚にとりつかれつつ中身を読んでいくと、


「よ、読める。これは……久しぶりに再会して恋に落ちる恋人たちのお話」

「正解よ。これなら大丈夫そうね」

「……はい」

「では、娘と同じ名前のミオ。よろしくお願いします」


 そう、ミオの母親に言われて現在制服に着替えて私は、学園に向かっていた。

 教室の部屋などは、事前に見取り図のようなものを見せてもらい確認したが、


「座席はどうしよう」


 そこだけは分からなかったが、後でそれとなくほかの人に聞くしかなさそうだ。

 そう思って古い物の、お値段のかかっていそうな建築物であるこの学園に入り、階段を上がっていくとそこで、金髪碧眼の美少年がいた。

 彼は私と目が合うと微笑み、


「ミオ、おはよう」

「お、おはようございます」

「……婚約破棄を投げつけさせて大喜びで奪っていった相手に、よく普通に挨拶が返せるな」


 そう、美少年が私に告げたのでした。


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