異世界にはそういったものがあるのか?
こうしてしばらく進んでいくも、特に何もなかった。
魔物と言っても時々“掃除”をしているので特に遭遇しない。
これなら余裕と思って油断していた私が、いけなかったのかもしれない。
たまたま一歩前へと進んだ瞬間、カチッと足元で音がした。
嫌な予感がした。
ひゅんっ
風を切る音と共に、矢が一本私の目の前を通り過ぎて、すぐ横の壁に突き刺さる。
今回は一本だけだったが、銀色のその矢じりは鋭く輝いている。
昔からあるものだが、獰猛な殺りく兵器のようだ。
なぜこのような罠が、そう思ってその場から動けずにいるとそこでロビンが私に、
「全く、罠も避けずに踏んで、何をやっているんだ」
「わ、罠って、何でこんな所に」
「それは侵入者に対する措置だろうな。これは可愛いもので魔力がこもっていない。ここから先は罠がありますよ、という警告用だろうな」
「……つまりこれからもっとたくさんの罠があると」
「そうだぞ」
当然のように答えるロビンに、そんな罠があるなんて聞いていない。
そもそも罠があるかどうかなんて、全然私には分からない。
「わ、罠があるってどうしてロビンが分かるの?」
「魔力の動きを見ればおのずと分かる。試しに一歩前に出てみろ。その辺りには罠がないはずだから」
嘆息するようにロビンが私に言う。
だが先ほどの事もあり私は警戒していた。
ロビンは分かるようだが、どう考えてもそこに無いという確証はない。
だから傍にあった少し大きめだが私が握れるくらいの石を拾い上げて、軽く私の前に放り投げる。
その茶色い石は放物線を描きながら私の目の前の地面に転がる。
地面を打つとき乾いた音と共に、カチッと、何かの音がした。
ごおおおおおおっ
その石が転がった少し上のあたりを、よぎるように炎が噴き出す。
それほど長い時間ではなかったが、危うく大惨事である。
私はしばらく動けずにいたが、そこでロビンが、
「罠の場所が魔力も含めて偽装されている。これではどこにあるのかなんて俺は分からない」
「ロビンにも分からないんだ。もう帰ろうよ、無理だわきっと」
「さて、どうにかこの罠を突破するようにしよう。方法としては、石などを投げて、罠を発動させてから移動する、という方法だ」
「罠って一度発動したら終わり?」
「そうだな。そこまで大量に、連続的に供給できる動力源が設置は難しいからな」
「その罠が発動する条件は?」
「大抵踏んだり触ったり、が多いか」
「……熱源探知とか、可視光内に無い、私達がそのまま見ることが出来ない光が出ていて、それがさえぎられると発動するとか」
「……なんという恐ろしい罠を考えるんだ。異世界にはそういったものがあるのか? 何にせよ、そういったものは聞いた事がない」
どうやらそういったものはまだないようだった。
そうなってくると、私達が壁や地面に触れずに移動すればいいというだけの話だ。
つまり、この地面よりいくらか上の場所を歩いていければいい、という事。
ここから遠くを見やると、分かれ道になっている場所がある。
その場所までの道を、“範囲設定”する。
後はその地面からに十センチ上に私達が来るように、天井の方から引っ張り上げる力を想像して、私はその道を指さす。
「“重力変換”」
その言葉と共に、一瞬、地面に転がった小石が宙に小さく浮くも、すぐに凪いだ風が収まる様に地面にコロンと転がったのだった。
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