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“常識”であるらしい

 歩きながら今更ながら私は自分がまきこまれたと気付いた。

 しかも屋敷の下にダンジョンがあるという異世界。

 これから魔物との戦闘も待っている……かもしれない。


 この公爵家の人間が時々駆除をしていると言っているが、そういった魔物がいるのは確実なので戦闘になるのは確実そうだ。

 しかもダンジョン。

 何処にあるのかも分からない始末。


「一応帰り道が分かるように印はつけるんだよね」

「もちろん。でないと救助を待つことになるからな。そして多分、それほど深くはないダンジョンではあると思うから、すぐに見つけられるだろう」

「どうして浅いと思うの?」

「もともと公爵家の秘密の入り口と外をつなぐものだから、逆に深くて広くても管理しきれないからな」

「なるほど」


 確かに寝ていたら地下から魔物が大量に沸いてきてと言ったら怖すぎる。

 それも未知のダンジョンの上に家を建てるとか、恐ろしすぎる。

 だから浅くて管理のある程度できるダンジョンの上に屋敷を、という事になるのだろう。


 そうなっっ得した私だが次に気になるのは、


「……そういえば魔物ってどうやってできるの?」


 ここのダンジョンでは駆除しても現れると言っていた気がする。

 するとロビンが、


「外ともつながっているから外から紛れ込む場合もあるし、ダンジョン内の魔力から自動生成される場合もあるな。ダンジョン内に集まった魔力が、ダンジョン内の成分によってそれぞれの形態の魔物になるらしい」

「そうなんだ。でも私、まだ魔法初心者なのですが」


 そう言い返すとロビンが沈黙した。

 そして聡い私は即座に、


「こ、こんな足手まといな私は一緒にダンジョンに行っても足手まといなだけなのだと思います」

「どうして足手まといを二回言った」

「大事な事なので!」


 そう言い切った私にロビンは、じっと私を見てから、


「本当に姿と名前は同じなのに性格が違うんだな」

「……はい、というわけで引き返したいのですが」

「異世界人で妙な特殊能力チートを持っているから問題ないだろう? 今のうちに戦闘慣れしておくのもいいだろうし」

「戦闘慣れって、なんで……」

「異世界人にそう言った力があるのは、“魔族”といった脅威への対抗の意味もあるから。もっとも今度は人数が多いからどの程度役割があるかは分からないが」

「お、多いのならほかの人にお任せ?」

「……だがその力は使えるようにしておいた方がいいと思う。というわけで一緒に行くぞ」


 ロビンがそう私に言って私の手首をつかむ。

 これでは逃げられない。

 だから諦めて、今回は、


「私もできる範囲で頑張るけれど、そもそも戦った事も無いから出来る事は限られているよ」

「それでいい」


 答えるロビンにさらに私は続ける。


「あとは私が、ロビンの魔法を見てこれからの戦闘の参考にさせてもらおうと思う」

「確かに実践を見せるのは良いな。説明するよりは見せてから実践させた方が分かりやすいし、使い方も覚えやすいだろう。よし、これから幾つか魔物相手に魔法を使う事になるから、そこで覚えてくれ」

「……一回の戦闘で見て覚えろと?」

「覚えられなかったら、特殊能力チートで何とかすればいい。その特殊能力チートを上手く即座に使えるようになるのも大切だからな」

「うう……はい」


 戦闘するにしろ、しないにしろ、いずれここを出ていくのなら自分の身を守れる程度に能力は使えた方がいい。

 巻き込まれた形ではあるが、その訓練は良さそうだ。

 だが、とそこで私は思った。


「ロビン、他にお友達や仲間はいないの? こういうのって人が多い方がいいんじゃない?」

「……ミオが別人と入れ替わっているといった話が、そこら中で知られる事になりかねないがいいのか?」


 そう言えば入れ替わっていることは“秘密”になっていた。

 あのクラスメイトの、察し、という暗黙の了解などで、つい知られていても大丈夫な気になっていたがそうだった。

 そうなってくるとお手伝いはお願いできない。


「ここ、そこまで危険じゃないんだよね?」

「おそらくは。俺の屋敷の地下にもあるし」


 どうやらこういったダンジョンが、貴族の屋敷の下にあるのは“常識”であるらしい。

 異世界って変な所だなと思いながら私は、さらに奥へと進んでいったのだった。


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