彼の事情にて
こうして私の能力を一通り確認した所で授業は終わった。
長かった身代わりの学園生活一日目、それが終了したのだ。
後は帰るだけである。
「よかった、どうにか一日目が何とかなった」
「……微妙に何とかなっていない気がするがよかったな。しかも今日は金曜日だしな」
「その言い回しだと明日はお休みになるとか?」
「そうだ、週休二日だからな」
「とりあえずは何とかなったので、これからもこの学園や世界についてよろしくお願いします」
「ああ、気になったら聞いてくれ。出来る限りはフォローする」
ロビンがそう答えるのを聞きながら、でもロビンは私の能力が見たいがために黙っていたりしたんだよねとも思った。
何でもかんでも他人に頼りきりなのは問題がありそうなので、自分に出来る範囲で情報を収集しよう、そう私が思っているとそこでロビンが、
「日曜日あたりに、ここの近くの町を案内しようか? 異世界についてはそれほど詳しくない、だろう?」
「うん、案内してもらえると嬉しいかな……いや、ロビンがそう言うからには何か裏があるはず」
「……何故警戒する」
「だって私の能力が知りたいから、“決闘”を受けないといけない状況になったし」
そう、全てはそういったロビンの気持ちのせいでこのような状況に陥った面もあるのだ。
だからそう聞くとロビンは、
「確かにミオとのデート気分が味わえるかなと思ったのもあるが、それ以上に異世界人だから、というのもいあるな」
「? どういうこと?」
「“魔族”は俺達の世界で危険な存在だ。だからそういったものと渡り合えるような強い力を持つ異世界人がいたなら、案内することで、その異世界人がいざという時に“戦いやすくなる”とも考えられる。だからそれほど手間でないなら案内したりといったことは、するだろうな」
「そうなんだ……」
「まあ、異世界人はこの世界に来ると自分が異世界人であることを警戒して隠すことも多いけれどな」
ロビンがそう付け加える。
確かに未知の世界に来たなら、警戒して自分の素性を話さなかったりするだろう。
でもそういった異世界なら、オーバーテクノロジーを使って無双、みたいなことが出来た方が楽しかったかもしれないと思う。
スマホはつながらないし。
これさえつながればうまくいけば他の人とも連絡が取れるのに、とも思う。
知識だって調べればある程度出てくるし。
微妙にハードモードだなと私は思っているとそこでロビンが、
「じゃあ日曜日に、屋敷に迎えに行く」
「分かった。でも土曜日じゃなくていいの?」
「……ミオとのデートコースの下見も兼ねているから、というか予行練習も兼ねているから!」
ロビンが目を輝かせながら私にそう言う。
ロビンは凄くあの私が身代わりをさせられている“悪役令嬢”が大好きであるようだ。
それが婚約破棄を投げつけさせたとか……状況がさっぱり分からない。
だが男女のこじれた恋愛にはあまり関わらない方がいいだろう……私は今の自分の事で精一杯だし、そう思いながらロビンと別れて家に帰る。
迎えの馬車が来ていたのでそれに乗り屋敷へ。
なんだかんだ言って学園生活一日目はどうにかなって土曜日になったのだが……暇なはずの土曜日は、ロビンの訪問によって打ち砕かれたのだった。
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