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ご都合主義の、下僕になる

 何とか勝利した私。

 特殊能力チートが無かったらどうなっていたのだろうと私は思った。

 やはり、ご都合主義は必要ね、と思った。


 ひねくれ展開はあまりよくない、とメタたっぽい事を思いながらようやく安堵した。

 そこで深く深呼吸する。


「か、勝てた……」


 呟いて私はようやく実感した。

 どうやっても勝てるわけがない、どうしよう、魔法なんて知らないしと思ったけれど、いざとなったら何とかなるものだ。

 だからと言ってこれからもこのような戦闘をしたいというわけではない。


「これからは全力でこういった“戦闘”を回避しよう」


 たまたまこんな力を持っていたり、気絶させる術を知っていたので何とかなったが、次はどうなるだろう?

 魔法の勉強と私自身の特殊能力チートを調べておいた方が良いかもしれない。

 次もまた挑戦せざる負えない状況になった時、同じ手が使えるとも限らない。


 というかここまで身代わりが過酷なものだと思わなかった。


「うん、やっぱり私には無理そう」


 直談判しよう、そう私が決意するとそこで、取り巻きの二人に開放されて目を覚ましたレイナが、


「く、また私は負けてしまったのね」

「そのようです、レイナ様」

「やはり頭を打ったとしても、ミオはミオだったという事ね。しかも新たな変な魔法を使うし……でも、これで新たな目標が出来ましたわ」


 レイナの声が楽しそうになる。

 私は瞬時にその、今後起こるであろう迫りくる“危機”に気付いた。

 だから先手を打つことにした。


「あの、“決闘”を受けたらこちらの意見も聞いていただけるんですよね? 一方的に押し付けてきたわけですし」

「……そうね、確かに公平じゃないわね。それでそちらは何を要求してくるつもり?」

「私とは今後“決闘”を要求しないでほしいのです」

「それは無理な相談ね。そもそもあなたは……」

「でも、貴方にいつでもかかってらっしゃいといったのは、私が頭を打つ前の私ですよね? 今の私ではない」

「……でも貴方は貴方だわ。私のライバル、ミオ」

「では、私の記憶が戻るまで、“決闘”はやめていただけませんか」

 

 私はそう返すことにした。

 頭を打って記憶が無くなったという、どこぞの漫画のような? 展開を口にした。

 そんなに都合よく記憶が消えてたまるかと思っていた私だが、今度からご都合主義の下僕になることに決めた。


 素晴らしい、ご都合主義!

 それで押すしかない、そう思いながら私はレイナの様子を見るとレイナが、


「ま、まさかそんな事になっているなんて、気づかなかったわ」

「へ、え、あ、はい」


 レイナが目を見開いてそういう。

 あ、あれ? ひょっとして結構チョロ……いやいやいや、まさか……そう私が思っているとそこで、


「まさかライバルの貴方がそこまでひどい状態になっているなんて知りませんでしたわ。それなのにいきなり“決闘”を申し込んだりして……どうしましょう。怖がらせてしまいましたよね」

「は、はい」

「その償いはその内させて頂きますわ。私としたことが……」


 そう言ってレイナは取り巻きを連れて恥ずかしそうに去っていった。

 それを見ながら私は気づく。つまり、


「あのレイナって人はいい人?」

「意地っ張りな部分と、煽り耐性があまりなくてミオに散々挑発されていたからな……普通はあんな感じの人望の厚い人物だ。生徒会長もやっているし結構皆に慕われていたりする」


 私の呟きにいつの間にかやって来たロビンがそう付け加えたのだった。


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