表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

声劇コント脚本「コイバナ」(女4/一部性別変更可)(※ややシモネタ含)

作者: 熊と塩

登場人物:4人(女4/性別変更可)

 A子―ハキハキした性格。ツッコミ担当。Webデザイナー。彼氏ナシ。

    セリフ量多め。声を張る場面多め。性別変更可


 B美―ぼんやりした性格。のほほん担当。イラストレーター。彼氏アリ。

    セリフ量少なめ。少しシモネタあり。


 C菜―ボケ。ボケ担当。フリーターと言う名のニート。彼氏ナシ。

    セリフ量多め。テンポ求められるセリフ多め。


 給仕―シャキッとした性格。いいとこ持ってく担当。彼氏アリ。

    セリフ量少なめ。オチを言うので大事。性別変更可。


舞台:喫茶店

 ワッフルがイチオシ。コーヒーはマスターの気分で日替わり。

 A子とB美が向かい合って話している。


B美「それでね、いきなりキスを迫ってくるの」


A子「水族館で? うわ、無いわ」


B美「うん。流石に私も嫌だって言ったら彼、すねちゃって」


A子「すねんなよ。そりゃ彼氏が一方的に悪いだろJK」


B美「ね。人目に付かないところならいいけど。トイレとか」


A子「いやいや。それも問題あるから。

   って言うかさ。そんな非常識な男なら別れた方がよくない?」


B美「えー嫌だよ。だって優しいもん。寡黙だし、クールだし」


A子「寡黙でクールな奴がいきなりキス?」


B美「エッチも上手だし」


A子「その話はいらねーよ」


B美「固くて太いし」


A子「やめろ生々しい!」


B美「それに彼のこと大好きだし」


A子「はぁ……まあなー。その一言に尽きちゃうよな。

   相手がどんな奴でもさ、好きになっちゃったモンはしょうがねーわ」


 話が一段落付き、コーヒーを啜ったところでC菜登場。


C菜「カランカラン、いらっしゃいました!」


A子「ああ、うるさいのが来た」


C菜「あっ、なんか居る!」


A子「居るに決まってんだろ。こっちが呼んだんだからさ」


C菜「あっそう。で、憩ってる?」


A子「はい?」


C菜「憩ってるかって。休憩の休じゃない方かって」


A子「あーはいはい。憩ってる憩ってる。憩ってるから座れ」


C菜「はーい。お隣失礼しまーす」


B美「どうぞー」


 C菜がB美の隣に座り、給仕登場。


給仕「いらっしゃいませ。ご注文お伺いしてよろしいですか?」


C菜「えっとねー。コーヒーとシナモンワッフル……は注文せずに、

   お冷やとガムシロップだけください。シロップ二つで」


給仕「コーヒーとシナモンワッフルは無しでお冷やとガムシロップですね。

   かしこまりました」


 給仕、一旦退場。


A子「……あのさぁ。やめてくれない?」


C菜「ん? 何を?」


A子「その、何? ビンボーアピール?

   何だよお冷やとガムシロップって。砂糖水じゃねーか」


C菜「砂糖水じゃねーよ。ガムシロップ水だよ」


B美「たしかにお砂糖じゃないもんね」


C菜「ねー」


A子「いや同じだから。言い換えたって全く違わないから。

   あのな。お前がお金持ってないのはお前がニートだからで、

   私らにまで恥をかかせる理由にはならないからな?」


C菜「ニートじゃねーよ。フリーターだよ」


A子「大差ねーよ」


C菜「じゃあフリーターと言う名のニートだよ」


A子「ニートじゃねーか」


C菜「あっホントだ。ホントだね?」


B美「ホントだねー」


A子「バカかお前ら」


 給仕、颯爽と再登場。


給仕「お待たせ致しました。お冷やとガムシロップでございます。

   それから、こちらクリームでございます」


C菜「え? 頼んでませんけど」


給仕「当店からのサービスでございます」


C菜「わぁ、ありがとうございます」


A子「いやまあ全部サービスだけどね」


 給仕、再退場。


B美「いい人だねー気が利いて」


A子「でも砂糖水にクリームって……ポーションミルクって……。

   試してないけどたぶん不味いヤツじゃないか」


C菜「バカモノ! ひとの親切は有り難く頂戴するものであるぞ!」


B美「そうだよ。それでこそのニートなんだよ? ねー」


C菜「ねー」


A子「『ねー』じゃねーよ。恥じらえよ」


C菜「で、何の話してたの? 何談? 怪談?」


A子「するかよ。二月の真っ昼間だぞ」


C菜「猥談?」


A子「しねーよ。なんかそういう流れになったけどせき止めたわ」


B美「そのぉ、私の恋愛相談?」


C菜「あーコイバナね。了解了解……。

   ……彼氏居ない奴にコイバナぁ?」


A子「うるせーな。お前だって居ないだろ」


C菜「居る訳無いだろ! こちとらニートぞ!」


A子「なんでキレてんだよ! しかもなんでちょっと偉そうなんだよ」


B美「やめて! 私のために喧嘩しないで!

   例え私だけが彼氏持ちでもみんなとはズッ友だから!」


A子「今サラッとムカツクこと言ったなお前も!」


C菜「一旦落ち着こう!」


 三人、深呼吸。


C菜「……で、コイバナって言うと、あの彼氏?」


B美「そうそう。その彼氏」


A子「え? 面識あるの?」


C菜「一回だけな。お母さんとジャスコで買い物してたらばったり」


B美「そう、ジャスコでデートしてたらばったり」


A子「ジャスコでデートに関しては何も言わないけど。

   どんな感じの人よ?」


C菜「どんな感じって言われてもなー。

   しいて言うなら伊達巻きに似てる」


A子「は? 伊達眼鏡?」


C菜「ううん。伊達巻き」


A子「独眼竜政宗? レッツパーリィ?」


C菜「だから伊達巻きだって。

   似てるよねー? 伊達巻きに」


B美「たしかにちょっと似てるかも。伊達巻き」


A子「いや想像付かんわ。どんなだよ、伊達巻き似って」


C菜「でもまぁそんな感じなんよ。こればっかりは仕方無い」


B美「そればっかりはねー」


A子「顔見知り二人で納得してるならいいけどさ、伊達巻きでも。

   ただここから先ずっと伊達巻きで想像するからな?」


C菜「いいんじゃない?

   そんで、彼がどうしたって?」


B美「うーん。別にどうしたって訳じゃないんだけど、

   ちょっと強引なところがあって困るなーって」


C菜「オラオラ系かー」


A子「オラオラ系伊達巻きな」


C菜「あたしも経験無い事は無いけど、オラオラ系は分かんないな。

   うーん、弱ったな……あっ、いい事思い付いた。店員さーん!」


 給仕、すかさず登場。


給仕「お呼びでしょうか?」


C菜「ちょっとそっちに座って」


給仕「はぁ」


A子「ちょちょちょ! 何言ってんのお前」


C菜「いいからいいから。さ、どうぞどうぞ」


給仕「はぁ」


 給仕、A子の隣に腰掛ける。


C菜「ねぇ店員さんは彼氏持ち?」


A子「何聞いてんだお前」


給仕「ございますが」


A子「何普通に答えてんだあんたも。しかも品物みたいに」


C菜「やったぜ! こういう話はやっぱ彼氏持ちが居ないと進まないよ」


A子「いや、だからって赤の他人捕まえるのは……。

   いいんですか店員さんも」


給仕「はぁ。まあ他にお客様もいらっしゃいませんし、

   お客様のご歓談のタネがわたくし如きに務まるのであれば」


B美「わぁ、接客業の鑑だー」


A子「ちょっと言い過ぎだと思うけど」


C菜「じゃあさじゃあさ店員さん。彼氏さんとはどこで知り合ったの?」


給仕「知り合ったのはこちらの店で」


C菜「えー! じゃあ相手はお客さん?」


給仕「いえ、人手が足りない時に働いてもらっている……」


B美「職場恋愛だー! 憧れちゃうなぁ」


C菜「なになに? ちょっとずつ恋愛を温めていった感じ?

   それともファーストインプレッションでピンと来た?」


給仕「前者でしょうか。第一印象はただの人手としか」


A子「うわ冷たっ」


B美「じゃあ今の印象は?」


給仕「ええ、まあ、人手ですね」


A子「冷酷! なんで付き合ってんのそれ?」


給仕「彼の押しの強さに負けたと言いますか、粘り勝ちされたと申しますか」


B美「店員さんの彼氏もオラオラ系?」


給仕「オラオラ系と言えばオラオラ系でしょうか」


C菜「来たぜ! 適任者来たぜ! ならさ店員さん。

   オラオラ系の彼とはどうすれば上手く付き合っていけるかな?

   そこのところが聞きたいんだ」


B美「うん。聞きたい聞きたい」


給仕「そうですね……わたくしと彼との場合ではありますが、

   本当は甘えたがりでべったりしたいタイプの相手ですので、

   無理に引き剥がそうとしてはいけませんね」


C菜「ほう」


B美「あっ、私の彼もそういうところあるかも」


A子「伊達巻きだけどね」


給仕「ですから、ある程度は為されるがまま受け入れる事です。

   しかしこちらの気分が乗らない時は、上手くいなすのが肝心ですね」


B美「いなす、かー。ちょっと難しいかも」


給仕「恋愛に限った話では御座いませんが、

   関係の継続とは馴れていく事でしょう。付き合いを続けていけば、

   自ずとお互いの対処法が分かってくるものです」


B美「それでもダメなら諦めるしか無いって事?」


給仕「そういうものだと思いますよ。

   ……ああ、はい店長。ただいま」


 給仕、席を立ち厨房へ向かう。


給仕「店長、トイレを使ったら石鹸で手を洗ってくださいよ!」


 三人、給仕を見送ってから。


C菜「意外としゃべるな、あの人」


A子「そうな。

   で、役に立った?」


B美「うん。今はまだ我慢の時だって分かった。

   我慢しきれなかったら、別れようかなって思う」


C菜「そうしな。ウミウシにも似てるし」


A子「いや、お前失礼にも程があるぞ!

   何だよ、伊達巻きとウミウシに似てるってどんな男だよ。

   間を取ったら、それはもうたぶんナマコだぞ」


B美「え?」


C菜「ん?」


A子「は? だからさ、伊達巻き+ウミウシ÷2は、

   イコールほぼナマコだろって」


B美「うん?」


C菜「うん、そうだけど?」


A子「あ? まあそうだろ?」


C菜「んん? 何言ってんのあんた。

   だからそうなんだって」


A子「はぁ?」


C菜「ナマコだもん。ねー」


B美「ねー」


A子「は……はい?」


C菜「だから! この子の彼氏はナマコだって言ってんだろうが!」


 A子、しばし呆然。


A子「へ、へぁ? ちょ、ちょちょ、ちょっと待って。

   えーっと、伊達巻きとウミウシに似てて、ナマコ……にも似てる」


B美「惜しい」


C菜「はっきり言ってんでしょ。この子の彼氏はナマコなの。

   リピート・アフタ・ミー。この子の彼氏はナマコ」


A子「……この子の彼氏はナマコ」


C菜「ザッツライ!」


B美「よくできました」


A子「え、えぇー……。

   な、何ぃ? えっ、じゃあナマコと水族館に行ったの?」


B美「うん。だから彼、テンション上がっちゃって」


A子「で、ナマコにキスを迫られて……」


B美「その場は断ったけど、お家でしたの」


C菜「こいつゥ☆」


B美「キャー☆」


A子「ま、待ってぇ……ナマコとキスしてぇ……

   ナマコとぉ……エッ……ええぇー……

   だってそれ、男とかじゃないじゃん。雌雄無いじゃん……

   海洋生物じゃん……」


C菜「失礼だろ! さんざん人の事言っておいて!」


B美「そうよ! ナマコとエッチして何が悪いのよ!」


 A子、自分の肩を抱く。


A子「嫌だぁ……怖い。この世界怖いィ……!」


C菜「一旦落ち着こう!」


B美「すーはー」


A子「落ち着けるか!」


 給仕、華麗に登場。


給仕「失礼致します。

   大変お待たせしました。ヒトデ盛り合わせサラダのお客様?」


A子「あ……はい」


 おわり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 熊と塩さん、ずいぶんとご無沙汰でしたね。 ドタバタした感じのコメディ、面白かったです。 それにしても、ジャスコって……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ