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レベル7・スケルトン は 逃げ出した!

 合体! 超骨戦士スケルトン!

 シャキーン!


 よし、やっとくっついた。

 あぶねー、まさか体がバラバラになるとは思わなかった。

 そしてまさかバラバラになっても頭に全部の骨が戻ってくるとは思わなかった。

 スケルトンって実は凄いのかね? 再生できるなんて思わなかったよ。 いや死ぬことは無いだろうなとは思ってたけど、勝手に集まってくるとは思わなかった、自分で探して拾わなくていいのは楽でいいけど。

 なんたって人間の骨って大小含めて200個くらいあるからね、確か。 どれがどこの骨なのかとかさっぱりわかんないし。


 それはともかく。


 バラバラはやっちまっただなぁ。

 まあ原因なんて分かり切ってるんですけどね、魔力込め過ぎ、間違い無い。

 そもそも体を構成する型枠に魔力を使ってるんだから、それを強化するのにさらに魔力を使ったら足りなくなるに決まってるよ。

 それを全力全開でやろうとしたんだからバラバラにもなりますわな〜。


 よし、じゃあさっき使った魔力を100と仮定して、次は半分の50くらいでやってみよう。


 レッツトライ!


 オゥ! ベリグーッド!

 見事にバラバーラ!

 立っていられなーい!


 ……ふ、復活急げー! 今冒険者が来たら死ぬぞー!

 多分冒険者と戦ったスケルトンは倒された瞬間に魔力を奪われてるんだよ、だから再生できないんだよ、俺の魔力なんて他のスケルトンと変わんないよ、死んじゃう死んじゃう!


(※スケルトンが再生中です、しばらくお待ちください)


 友情合体! 超時空骨合神スケルトン!

 ババーン!


 よし、再生完了。

 誰も来なくてよかったー……

 冒険者どころかモンスターも来なかったよ、みんな寝てるんかな?


 とりあえずー、続きだ続き。

 50でダメかー、さらに半分の25でいってみるかー、そもそも体を維持すんのにどんくらい使ってんねやろ?

 自分のことって以外とわからんもんやなー。



――――――――――



 うむ、完璧だ。

 結果をまとめよう。

 体を維持する分の魔力を除いて身体強化に使える魔力はズバリ!

 半分(50)の半分(25)の半分(12.5)の半分(6.25)の半分(3.125)くらいだった!

 つまり約3%! デーン!


 ……少なっ! めっちゃ少なっ!

 あ、ちなみに残りの97%は体の維持に全部使ってました、これは保有魔力の少なさを嘆くべきかスケルトンの魔力をバリバリ無駄使いしてる構造を嘆くべきか……


 まあ使った魔力は即座に回復できるっていう発見は儲け物だったな、身体強化に使ったその場でダンジョン内の空気とか壁とかからもっさり吸収できるし、使いすぎて魔力切れって心配は無いのはありがたい。

 まあきっとダンジョン内限定の話なんだろうな、冒険者の記憶だと外はまた違うみたいだし。


 残念で仕方が無いのはやっぱり肉が無いってことだよなぁ。

 自分骨ですし、骨って中身結構スカスカですし、物があるところにしか魔力って貯められないから、骨しか無い自分だと保有できる魔力の絶対量がスカスカですし、骨だけにスカルスカルですし、なんちゃって。

 魔力を吸収できるけど、それを貯めておく貯蔵庫が無いんじゃなぁ、無限に吸収できても身体強化に使える魔力量は変わんないからなぁ、やっぱ肉あるのはいいよなぁ……


 あ、せっかくベスト魔力量発見したんだし、この量でどんくらい強化されたんか調べてみんとな〜。

 どりゃ、さっそくエイサッサーとぉ。



――――――――――



 うむ、中々である。

 中々の効果であるぞよ。


 多分、多分だがパワーが5%くらいあがった気がする、多分、うんほんと多分だけど。

 はっきり言えば全然効果がわからん。

 効果でてんのかなこれ。

 ちゃんとぼやーんと光ってるし、発動はしてると思うんだけどなぁ。

 一点集中とかしても全然変わんないし、やっぱりスケルトンの余剰魔力程度の量じゃ効果出ないのか……

 はあ〜、ゾンビさんが羨ましいッス、スケルトン基準でも人間基準でも超がつくほど不細工だけど、腐ってるけど、どうせならゾンビよりゴブリンだけど。



――――――――――



 む?


 あれに見えるは冒険者達ではないか。

 こんな低層階で四人パーティー組んでるなんてどんだけ慎重やねん。

 むしろ真ん中の青年? スケルトン基準でも人間基準でもゾンビレベルで不細工な豚みたいなヤツ以外は明らかに強さが違うっぽい。

 とりあえず隠れよう、豚君は勝てそうだけど装備品がエライ魔力放っとる、ありゃヤバイわ。

 ……忘れて帰ったりしないかな、超離れて尾行しよう。カタカタ鳴らないように関節部分を集中的に強化すれば大丈夫だよね。

 ……苦労して調べた身体強化の結果が消音程度の効果か、あれ、なんか涙が……出ないけど。


 こそーっと、コソコソっと。

 結構いけるな、全然音出ない。

 音が出てないからまるで素早く動いてるような錯覚さえしてくるわ、これならもうちょっと近づいても大丈夫かな?

 抜き足差し足忍び足、と。


 やや、あれに見えるはスケルトン!

 冒険者を追っかけて最初から戦闘が観れるとか快挙だわー、自分を褒めたいわー、よし踊……やっぱやめとこ。


 時にスケルトンとは言ったが、正確にはスケルトン「達」だね。

 何体だ? ひーふーみーよー、四体。

 あ、ちょうど豚君達と同じ人数だ、合コンできちゃう。


 まずは一対一からと、お手本みたいだね、戦闘的にも合コン的にも。

 でも自己紹介を省くのはどうかと思うよ、やっぱり「私スケルトン!」「あ、私もスケルトンって言うの」「えー、同じ名前なんだー」みたいな小ネタを挟むのって大事だよ。

 まあみんなスケルトンですけど。


 あれ? なんだろうあのレベル違う人ら。

 ぼやーんとしてるやつが装備品まで覆ってる、っていうか装備品から出てる感じがする。

 こないだのおじいちゃんっ子は体だけだった気がするんだが、はて?


「消えろ雑魚が、『スラッシュウェーブ』!」


 ……わーぉ、厨二病だ。

 違う、そこじゃない。

 飛ぶ斬撃とか初めて見たわー、スケルトン君に耐えられるわけ無いわー、明らかにオーバーキルだわー。

 感覚的に、剣に魔力を込めて斬撃と一緒に解放したって感じ?

 装備品に魔力って貯められるんだ、凄いな冒険者。

 なんて考えてる間にみんな終わってるよ、合コン終わってるよ、冒険者側があっさりすっぱり終わらせちゃったよ。

 ごめん嘘、豚君だけまだ頑張ってる。

 お持ち帰りしようとしてるんかな? めっちゃ必死、超必死、でも力みすぎてて全部空振りしてる。 あれ、これ戦闘の話だよね?


 周りの人らはなんで助けないんやろ?

 まああんだけ強そうな装備してたらスケルトン程度じゃ傷をつけるのも難しそうだけどさ、首とか目とか急所に当たっちゃったら結構痛いよ? 下手すれば死んじゃうよ? 死ななければ回復魔法とか魔法薬でなんとかなるけど、痛いのはどうしようもないよ? 大丈夫かな。


 ……うーむ、見てらんないなぁ、どんだけヘボいんだあの豚君は。

 ああ違う、そこはもっとこう……あ! 危ない! ふ〜、冷や冷やするなぁ。

 あ、バカそこで踏み込んだら……あーあ、胴に当てられちゃった、防具が悪かったら切られてたよ。

 そこはこっちだって、あぁもう気になってしょうがな……あれ、なんか見られてない?

 後ろになんかいるんかな、いないな。

 俺ですか?

 あ、俺ですか、そうですか。


 ……見つかったーーー!!!

 アカン、逃げよう。


「なんだあの変なスケルトンは……

 とりあえずっとくか?」


 イヤー! 今の「やっとくか」はマズイほうのやっとくかだ!

 お仲間さんちょっと頷かないでくださいよ自分タダのスケルトンですよ敵意とか無いですよ観戦してただけですよあわよくば武器とか落としていかないかなーなんて思ってたりすることはなかったりもしなくもないかもしれないけどギャーなんか飛んできた!?


「カカカッ」


「なにっ!?」


 あ、あぶねー、思わず声出ちゃったよ。

 鼻先……あ、鼻無いや、とりあえず目の前をエライ勢いで通過してったわ。

 関節とはいえ身体強化してなかったらバッサリいってたね、バッサリいってたね!大事なことだからもう一回言っておくけどバッサリいってたよ!


「おい、坊ちゃんの前で何を遊んでいるんだ」


「い、いや俺は当てる気でやったんだが……

 おかしいな」


「おかしいのはあんたの頭の中でしょ、私がやるわ」


 あ、坊ちゃんなんて呼ばれちゃう人なんだあの豚君。

 貴族かなんかかな? いるよねー、装備だけ金の力で寄せ集めて実力が伴ってない人。

 装備品ってのは使い手の能力と目的があってその目的に沿った性能であるべきであって、その目的は個人単位で違うから半分オーダーメイドみたいな作り方をしなくちゃならないから金額が高くなるんだよね、だから高いイコール強いっていう図式はわからなくもないけど、強いイコール自分に合ってるってわけでは無いのさ、つまり高い装備品で固めたところで強くなれるかっていうと別にそんなわけは無いわけで、要するに豚君は装備を使ってるんじゃなくて装備に使われているってことだね、ププー!


「消えなさい! 『ファイヤーボール』!」


 とかなんとか考えてたら魔法の詠唱終わっちゃったよ! 詠唱してたことすら気づかなかったよ! 何やってんだよ!?

 ヤバイこれヤバイ死ぬ、だからオーバーキルだっつってんだろうがこのボケども! スケルトン相手にどんだけマジなんじゃハゲー!


 身体強化! 関節から全身に回してたら間に合わん! とにかく集中して強化! そんで後ろ斜め右上方向にバックステップ! 妙に細かい方向に飛ぶとか言わない!

 とぉりゃー!


「なっ!?」


 避けたー! ギリッギリで避けたー! なんとか間に合ったー! 死ぬかと思ったー!

 ってか関節強化ってなぜか全体強化より動き早くね?


【学習能力が発動しました、AGIが少し上昇します】

【学習能力が発動しました、DEXが少し上昇します】


「避け……た?」


 あれ、なんですか冒険者さん達、めっちゃ怖い目でこっち見てますけどなんかありました?

 やだなぁ自分タダのスケルトンですよ、ちょっと意識持ってるだけでその辺のスケルトンと大差無いですって。


「お前ら! ボサッと突っ立ってるんじゃない! 僕がケガでもしたらどうするつもりだっ!」


 しめたっ! 豚君ナイス!

 三人が豚君を見てる間にダッシュで逃走だ!

 せ、戦略的撤退なんだからね! 敵前逃亡なんかじゃ無いんだからね! 敵前逃亡逃亡って戦わずして逃げるみたいな意味だっけ? じゃあこの場合一応は戦ってるからタダの逃亡になるんかな?

 よし、逃げてから考えよう、スタコラサッサ〜っとぉ。


「あ、おい待て……なんだあの速さ」


 後ろで冒険者がなんか言ってる気がするが、んなこと気にして戻ってられるかーい!

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