レベル2・スケルトン が レベルアップ した!
……なんぞ?
ワシはなんばしよっとね?
アカンわー、こらアカンわー。
何がアカンかはまんずわがんねーげっちょも、アカンこっちゃで。
……一番アカンのはわてのキャラが定まらんこってすたい。
よし、状況確認から行くべ。
問題です、ウチは何でしょう?
ピンポーン! スケルトンです!
はい正解! 座布団一枚!
あ、自分スケルトンなんすね。
マジっすかー、パないっすわー、スケルトンマジパねぇっす。
頭は骨、首は見えないけど多分骨、胴体骨、肩から手まで全部骨、足も骨、うん間違いない、スケルトンだ。
最近の若者がよく言う「透けている」って意味のスケルトンと違ってマジもんのスケルトンだわ。
最近の若者って誰だ、俺生命体と接触したことねぇよ。
次は持ち物確認だな、遭難した時は大事なことです。
ワタクシは遭難しておられるのでございましょうかね、謎ですわ。
やっておいて損はアーリマセンことよ、おほほ。
右手……右ってどっちだ?
ご飯の時にお箸を持つほうだよな、ご飯って何だろう?
わからん時はわかる事から確認でアール!
わからんモノはわからんのでアール!
我輩は凄いのでアール!
右手に持ってるのは剣ですね、これはなんとなくわかる、間違いない。
あ、右ってこっちか。
右の反対は左でやんす、知ってるでやんす。
ってことで左手に持ってるのは木の板でやんす、何故に木の板?
あ、これ盾か、盾のつもりなのか。
防御力なさそー……
腰、腰当て、どうやってくっついてんだこれ?
間違いなく浮いてんぞ、ベルトなんの意味あんだコラ。
ちょっと責任者出てこい、適当にも程があんぞコラ、わかってんのかコラ、おいコラ、おいちょっとコラ、コラ!
最後、靴。
革製の靴、以上。
特徴無し、補足事項特に無し、以上。
サー!
持ち物は以上であります、サー!
どんだけ持ち物少ないねん!?
ほぼ裸一貫じゃないですかヤダー。
ところで、剣になんか赤い液体付いてんねんけどこれなんやろか?
赤い液体ゆーたら普通は血ですなー、血液ですなー、吸血鬼さんがチューチューするアレですなー。
血ってうまいんかな? ちょい舐めてみよー……あ、舌が無い。
っていうか肉が無い、当然味覚を感じる器官も無い、意味が無ーい!
フッフーゥ! 僕ちゃん頭いーっ! 舐める前に気づいちゃうとかマジ天才じゃね!? 僕ちゃん天才だから僕ちゃんを讃える踊りをやっちゃおう、天才の僕ちゃんがそう思ったんだから間違ってはいないはず!
(※スケルトンが踊っています、少々お待ちください)
さて、何か途轍もなく恥ずかしい事をしていた気がするでゴザルが、気にしたら負けでゴザル。
何に負けたとか気にしてはいけないでゴザルよ。
血を出すのは肉がある生命体の特権でありんすなぁ、ワッチには肉がありやしまへんからワッチのもんではありまへんなぁ。
あ、この話し方は疲れる、やめよう。
アタシ知ってるの! 赤い血は人間のなの! アタシは何でも知ってるんだから!
何だこのキャラ、どっから出て来た。
とりあえず人間人間、どっかにいないかな〜……あ、今踏んでるこれがそうですか、これが人間ですかそうですか。
死んでますね、ええそりゃもう見事なくらいに死んでます。
具体的に言うと頭が(※自主規制)していて(※自主規制)が(※自主規制)しています、腹も(※自主規制)が(※自主規制)られているし、これで死んでないほうが不思議ですな。
まあ同じ状況になっても死なないヤツとかいるけどね、ゾンビとか。
あいつらはいいよなー、腐っても肉があるからなー、臭いが凄いけど肉があるのはいいよなー、なんてったって……なんでだろう? なんか肉があるのはいいことだってのはわかるんだけど、なんで肉があるほうがいいのかはわかんないな。 まあいいか、とりあえず肉はあったほうがいい。
……この人ゾンビになったりしないよね?
ダンジョンの中で死んだらダンジョンが食べちゃうもんね? ね? ね?
あ、ここダンジョンの中だったんだ。
じゃあ放置かな、放置でいいのかな? いいよね別に、俺に関係無いよね。
だってどう見てもこの人の傷跡は剣じゃないし、牙とか爪だし、しかもかなりデカイタイプの。
いや剣でむりやり(※自主規制)したような後はあるけどね? これをやったの多分俺だよね? 記憶は無いけどね?
多分意識がなかった時代にやらかしたんだろうな〜、時代っていうほど長く生きて無いけど。
あ、俺スケルトンじゃん、もう死んでるじゃん、生きてないじゃん。
多分、俺の存在は時間で数えられる程度しか経って無いハズ。
スケルトンてダンジョン内だとかなーり下位の強さだよな、確か。
スライム、コボルト、スケルトンみたいな順位だったはず。
ゾンビは以外と強いハズ、何たってあいつら肉あるし、腐ってるけど。
ゴブリン? 君らゴブリン舐めたらアカンよ? アッカーンだよ? あいつら強いからね? 肉持ってるし、腐ってない肉持ってるし、頭いいし、道具使うし?
まあゴブリン倒せて一人前の冒険者からしたらゴブリン以下なんてみんな似たようなもんだろうけどね。
……落ち着こう俺。
よし、落ち着こう。
さっきから思考が飛びまくりだ、事実だけをしっかり確認しよう。
【学習能力が発動しました、INTが少し上昇します】
改めて状況確認から。
俺は何だ?
スケルトン、それは間違いない。
骨の色は白で装備は剣、盾、腰当て、靴。
ダンジョンの低層に出現する最下級スケルトンと見て間違いないだろう。
【学習能力が発動しました、INTが少し上昇します】
次、何故に思考が存在する?
自然にやってたけどこれはおかしい。
最下級スケルトンに意識とか思考とか存在しない、するはずがない。
ダンジョン内で死んだ人間は全てダンジョンが喰らい尽くし、残った搾りカスの再利用がダンジョン内低階層の雑魚モンスターとして生み出される。
外のモンスターならともかく、搾りカスでしか無いダンジョン内のモンスターに思考能力なんてあるわけが無い。
人間に襲いかかるのは死体が欲しいダンジョンに植え付けられた本能的なものでしかない、そこに意思は無いし、だからこそダンジョン内の雑魚モンスターは肉体の個体差が多少あるにも関わらず、みんな同じような動きしかしない。
つまり曲がりなりにも自分の意思で思考し、挙句無意味に踊りまでしてしまう自分はおかしい。
【学習能力が発動しました、INTが少し上昇します】
原因はなんだ?
十中八九この冒険者だろう。
恐らくは瀕死であったこの冒険者を私が殺した、そして冒険者から魔力を取り込んだ……というより奪い取ったのだろう。
この世の万物が魔力から構成されている以上、相手から魔力を奪うということはそれが構成していた何かしらを奪うということに他ならない。
私の場合はそれが知恵や知識、もしくは魂といった類のものであったのだろう。
実際に私がやったであろう傷跡は頭に集中しているし、死んだ瞬間に接触していた部分を奪ったのかもしれん。
まあ仮説の域を出ない話だが……
【学習能力が発動しました、INTが少し上昇します】
確認は以上、まとめてみよう。
私は運良く冒険者を殺せたおかげで己の意思を手に入れたスケルトン、ということか。
であるならば、私は今後どうするべきであるか……