レベル18・スケルトン の 戦い は これからだ!
やっぱりだ。
どうにもこの子は真っ直ぐな性格みたいだねぇ。
剣を持ってるほうに寄せて縦に振り下ろしてあげたら、真正面から打ち合わせてきてくれた。
こっちは縦の攻撃、それに打ち合わせれば当然この子も切り上げという縦の攻撃。
ここに体重を乗せていれば、あとはどっちの力が強いかっていう力比べになったんだけどね、そうしたら勝ってたのは間違いなくこの子のほうだったろうね。
でも残念。
「……!?」
おじちゃんの目的は戦うことじゃなくて、逃げることなのよね。
君のパワーを利用して、切り上げの力にのって、ジャンプするだけ、体は骨だけだから軽いしね!
「や、やった?」
ブブー、聖職者のお姉ちゃんハズレ、残念。
やったのはこっちです、狙い通り俺は君たちの頭上を跳び越すくらいの大ジャンプに成功したわけですよ!
「違う! 避けられたんだ!」
おお、豚リーダーわかってる、さすが豚みたいな顔しててもリーダーです。
……あ! こいつよく見たらいつぞやのぼっちゃん貴族じゃねぇか! その節はお世話になりました!
「カカカッ」
あ、声でないんだった。
げ! 豚リーダーの声に反応して魔女っ子ちゃんが詠唱始めてるじゃん! これはヤバイ!
こんなときこそ必殺きんきゅ~りだつ~!
上に跳んだ勢いを利用してそのままちょっと頭を下げて体の中心を後方に向けて……あ、蜘蛛達が炎の壁崩してる、もう持たないなあれ。
とりあえず4%ファーヤッ! おげふぅっ!?
「うおっ!」
「きゃあっ」
「くっ」
「んっ……」
わお、きゃあだってきゃあ。
今時ほんとにあんなこと言う子おんねやね、絶滅危惧種だと思ってたよ。
ってか魔女っ子ちゃんなんか文字だけで見ると色っぽい言い方だね、エロいよ。
とにかくっ、秘技キンキューダッシュツのおかげでお爺ちゃんっ子達から距離もとれたことだし!
ちょっとは休ませれ! 一息つかせれ! というわけで逃げる!
サラバダーダバダバ!
「あ、くそ! 待て!」
俺より後ろ見んかい!
「待つのはお前だ!
後ろをよく見ろ!」
さすが豚君! リーダーに目覚めた君に死角は無かった!
別にシビれも憧れもしないけど!
後は任せたー!
――――――――――
……まいたかな?
……まいたよね。
よし、よし、うん、もう大丈夫だろう。
いやー、しかし都合よく扉のある部屋があって助かったわー。
しかも中にモンスターいないし、この部屋でちょっと休憩していこう。
きっとここはダンジョンが作った休憩場所に違いない、さすがダンジョンさん、休憩場所を作って冒険者をより奥に行きやすくして、逃げられなくしてから食っちまおうって魂胆ですね、さすがです。
今のうちにちょっとおさらあらい、違ったおさらいをしておこう。
ちなみに漢字で書くと「お皿洗い」と「お浚い(お復習)」、または陶芸家の卵に対して「お皿荒いよ!こんなもんで売れると思ってんの!?」と書くらしい。
最後のはなんか違うけど似たようなもんだね。
とりあえず、新たにわかったことは3つ!
1.魔法っぽいもん使える!
これはヤッターですよ、ヤッター。
擬似的なもんだろうし効率悪い気がせんでもないけど、使えると使えないの間の壁はでかい。
ってか使えなかったら俺多分蜘蛛の餌食になってたはず。
色々使い方ありそうだし要練習ってことで。
2.緊急回避は思ったより使える!
これはもう意外というかなんというか……
空中で行動が起こせるってのは強いなぁ、実際これが無かったら何回か死んでるんじゃないだろうか。
ざっくりとした感覚でしか使ってないから最適な魔力量で使えれば実はすごい技になったりして、憧れの二段ジャンプも夢じゃないかもしれない。
最適な魔力量を見つけましょう、これも要練習。
3.なんか剣と盾が黒くなった。
さて、これが一番の問題なわけですが。
……元に戻んないなぁ、黒く染まっちゃったままだなぁ、いやなんかカッコイイからいいんだけどさ。
どう考えても防御のために魔力込めたのが原因だよなぁ、もしかしかして脆くなっちゃったのかな、魔力と相性悪かったのかな。
でも盾はともかくとして剣は大量に魔力込めたつもりは無いんだよなぁ。
いや魔力の保管庫としていっつも込めてはいるけど、今回みたいに強化したことは無いしなぁ……ってあぁっ!?
バカじゃん、俺バカじゃん!?
なんで今まで気づかなかったのかなー!
すごい自然にやってたけどそうだよね、剣も盾も俺の体の一部みたいにくっついて離れないんだよね!
つまりこれって俺の体の一部じゃん! 間接強化の要領で強化できるに決まってるじゃん!
っていうかこれ大分前に思いついてなかったっけ、ゴタゴタしすぎて忘れてたよ。
ってことは、この腰巻みたいなのとか靴とかも強化すると黒くなんのかな、どうせなら統一感だしたいしやってみるべ。
むんむんむ~ん、強化強化~、強くな~れ、硬くな~れ、黒くな~れ~……
うん、なったわ。
腰当はなんか形もちょっと変わったし、角がとれて丸くなったよ、物理的に。
騎士団の人がつけてた鎧に似てるような気がしなくも無い。
靴とか布みたいな質感だったのにシワが伸びて黒い革靴くらいの感じになったわ。
防御力+1! みたいなね! 気分はまるでサラリーマン! みたいなね! サラリーマンってなんだ!?
あれ、ってことはもしかして黒くなったのって硬くなってんのかな? そしたら盾とか剣とかもちょっとは硬くなったんかな。
なってくれてたら嬉しいな~、嬉しいわ~、そしたら大分楽だわ~。
……いや、確かめるまでもなくなってるよな、なってなかったらあの蜘蛛の攻撃とか受け流せたりしないもん。
よく考えてみたら最初の蜘蛛を倒した時と後半の蜘蛛を攻撃してたときで、剣の切れ味が全然違ったような気がしないでもないかもしれない。
もしかして俺の成長に合わせて武器も成長するんかな?
まあ考えてみれば俺の体の一部みたいなもんなんだから成長しても全くおかしくはないわけだし、腰当にいたっては形状まで変化してるし。
成長するならいーよなー、スーパースケルトンになっても装備は貧弱なんて嫌だしなー。
どうせならババーンと派手でかっこいいのがいいな、うん。
まあコツは掴んだわけだし、今後はこれもできるだけ展開していこう、最適な使い方とか効率的な運用もそのうち練習する方向で。
骨だけにコツを掴んだ……プッ。
……
…………
………………
ところで、さっきから後ろでなんかフゴフゴ聞こえるのは何なんですかね、なんか前にもこんなことがあって怖いんですけど。
まあ正直に言えば、ダンジョンの中で扉がある時点でなんか変だなーとは思ってたんですよ。
でもほらなんていうんだっけ、穴があったら入りたいみたいな? そこに通路があれば行くよね普通。
……やめよう、わかってる、現実逃避はやめよう。
ここはボス部屋なんですね、そうなんですね。
フゴフゴ言ってるのはボスなんですね、そうですよね。
くそう、こうなったらもうとことんやったるしかないじゃないか。
死にたくない、死にたくないでござる!
俺の戦いはまだこれからだっ!
……そういえば、あの助けたお姫様はどうなったんだろ。
もし外に出られるようになったら、一回見に行ってみたいな。
なーんでか知らんけど気になるよねぇ、あの子。
ま、とにもかくにもまずはこのボスを倒すとこからですかねぇ。
はあ、スーパースケルトンへの道はまだまだ長いなぁ……




