レベル9・スケルトン は 誘拐犯 に 遭遇した!
さて、ダンジョンを練り歩くことほにゃらら日、何日たったかとかよーわからん、だってダンジョンの中だもん。
時計も無ければ日差しもない、日数の感覚なんて生まれたことがありません、寝ないし。冒険者の記憶でそういうもんがあるってことだけはわかるけど。
それはともかく、ワタクシそんな中で不思議な光景に出会っとります。
ダンジョンに来るのは冒険者だけとは限らないけど、普通は冒険者しか来ない。入り口付近なら見送りとかで来る人もいるかもしれんけど、ここ入り口じゃないし。そういやこのダンジョンって入り口どこにあるんだろう?結構彷徨ってるけど出入り口どころか別のフロアに行く階段的なものとか転送装置とか見たこと無いな。
我輩の修行が足らんのでござろうか。
うむ、思考が飛んでいる、状況確認は大事でござる。
んで、なんだっけ?
そう、普通は冒険者しか来ないんですよ、冒険者しか。
でも俺の視界にはどう見てもただの一般人が映っております。
その辺の町娘? ああ、でも服は質素だけどそこそこ綺麗だし質も悪くない感じ、村の偉い人の娘とかかね? あ、言い忘れましたが女性です、それなりに可愛い。人間基準だから俺の好みじゃないけど。
まあまず髪の毛が金髪って時点で無いよね、おっぱいとかどんだけ無駄につけとんねんって話ですよ、身長もちっさいし……ちっさいのは子供だからか? なんか顔も子供みたいな顔立ちだしなぁ。いやしかし子供だったら尚更あんな脂肪の塊はいらんだろうに、邪魔なだけやんか、身体能力的にもスケルトン基準の見た目的にも。
まあそんなお子ちゃまがおるわけですよ。
ほんですぐそばにいかっついごっつい「あたし悪役なの!」って言ってる感じの顔したおっさんが二人もいるんですよ、護衛とかかな?
護衛にしては娘さんがやたら怯えてるよーな、娘さんを睨んでるよーな、娘さんに欲情してるよーな……
これだから人間の男はいやぁねぇ、女だったらなんでもいいのかしら、もっとこうスケルトン的にストーン、スーッ、べコーンみたいな女性を選びなさいよ、そんな無駄に脂肪の塊ばっかりぶら下げてるしかも子供に欲情するなんて節操が無さ過ぎるわ、だから嫌なのよ。
まあ人間の男なんてそんなもんだろうけどさ、とりあえずこの人ら何してんねやってとこが大事な気がする。
考えてみよう。
1.家出とその護衛
……家出程度の理由でダンジョンに来ないよ、来るとしたら冒険者やってるレベルの人らだよ、こないだの豚君みたいな貴族でも無い限り護衛雇ってまで来るとこじゃないよ。
却下だ却下、これはない。
2.駆け落ち中の恋人同士
いや男二人もおるがな、公認の二股とか貴族じゃないとやらんわ、貴族でも一夫多妻だわ、多夫一妻とか聞いたことないわ。
大体そんな理由でダンジョン来んな。
3.冒険者と奴隷
奴隷は魔法のかかった首輪をつけなあかんらしい、別に無理矢理外すことが出来ないもんでも無いらしいけど、まあ普通の奴隷には無理。
お嬢さんはまあ普通っぽい、冒険者の魔法使いみたいな感覚は特にしない、ザ・普通。でも首輪はしてない、多分普通も普通の村娘、これも無いな。性奴隷とかおるかもしれんけど、ダンジョンで盛んなや。
4.誘拐犯と被害者
うん、これが一番ありえる。
ダンジョンって便利だしね、逃げ道いっぱいあるし、追っかけられてもモンスターの横槍とか入りやすいし、迂闊に犯人を殺しちゃったりしたら被害者を守る人間がいなくなってモンスターに食われちゃうしね。
しかもダンジョン内で被害者を殺しちゃえば死体は残らない! 血痕も残らない! 完全犯罪の成立です!
おっきい荷物持ってモンスターに奪われたことにしちゃえば不自然に見えることも無いしね、例え中身が人間だったとしても。
……あれ、これ正解じゃね?
ひゃっふーう、僕ちゃん流石です、人を見かけただけでどんな状況か分かっちゃうなんて流石です!
とりあえず踊ってみよう、ひゃっふーう!
「おらぁっ!」
危なっ!?
「カカカッ」
あっぶねー! 思わず声出ちゃったよ!
いきなり何しやがるこのスットコドッコイが! 人が気分良く踊ってるのを邪魔しおってからに!
「なんだこのスケルトンは!
急に考えたふりしたり思いついたようなふりしたり急に踊り出してみたり! 挙句に俺の剣を避けるとか! 本当にスケルトンかコイツは!?」
あ、バレてたんですかそーですか、流石に踊ったのは不味かったか、次からは周りに気をつけて踊ろう、踊るのをやめようとは思わないが。
あとあなた「俺の剣を避けるとは!」なんてカッコ良く言ってますけど結構遅いですよ?
いつぞやのおじいちゃんっ子の冒険者のほうが多分速いですよ、身体強化もしてないスケルトンをなめきった攻撃でしたし、スケルトンならともかく7%も関節強化に使って成人男性並の身体能力を得たスーパースケルトン(予定)の僕ちゃんには当たりませんよ。
まあ相手も身体強化してきたらわからんけどなー……
どうでもいいがいい剣持ってるねおじさん。
って近い!? いい剣だって分かる部分がはっきり見えるくらい近い!? 唸れ俺の関節! 避けれ! 頼むから避けれ!
「カカッ」
避けたー! ギリッギリで避けたー!
ブリッジの如く上半身を思いっきり後ろに倒して避けたー! びっくりするくらい安定感がある自分の体に驚いたよ、さすが関節強化。
あ、おじさんの剣にちっちゃい魔石が付いてる、切れ味とか重さとか衝撃が強くなるとかそういう追加効果が付くサイズかな。見た目以上の性能があると思った方がいいと冒険者の記憶が言っております。
いーなー、あれいーなー。
くれないかな? ダメか、ダメですよね。
「ハハッ、なに遊んでんだよお前は」
悪役Bさんが何やらほざいております、でも手伝わない、みたいなね。仲悪いんかな。
「うるっせぇ!
こうなりゃ奥の手だ!」
え、なにそれこわい。
やめて私まだスーパースケルトンじゃないの、スーパースケルトン(予定)なの、つまりまだ普通のスケルトンなの、そういう必殺技的なことされたら死んじゃう、死んでるけど死んじゃう。
何が来ても逃げられるように準備をしとこう。
「ふん!」
身体強化キター!
身体強化してまで放つ技とは、これは正に必ず殺す技、つまり必殺技に違いない!
いや、もしかしたら必殺技を超える必殺技、つまり超必殺技かもしれない!
まずい、これはまずいぞ、何度も言うが俺は多田野透蹴流豚なんだ、やっぱここは戦略的撤退の方向で!
なんか身体強化に使ってる魔力量が意外に少ないし、きっと必殺技に使う魔力がめっちゃ多いんだ!
「はっはぁー! これが俺の奥の手、身体強化だ!
この状態になった俺は熊だろうが殴り殺せるんだぜ!」
……ん?
「おいおい、スケルトン程度にそこまで本気になんのかよ」
……え?
「ぶっ殺してやらぁ!」
……えーっと、うん、あれ?
奥の手ってつまり、そゆこと?
あっれー……?
もしかしてこの誘拐犯の人らって、めっちゃ弱い?




