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プロローグ
誤字脱字に関しては土日祝日を除きできるだけ早めに修正いたしますので、お気づきの際はご報告いただければ助かります。
世界には表と裏がある。
本音と建前。
結果と過程。
理論と考察。
物理的に分かれる場合もある。
製品と製造。
店頭と工場。
完成品と試作品。
またはこの世界のように、世界の構造そのものが表と裏になっている場合もあるかもしれない。
魔力という土台を広く大きく、強固な基礎の上に積み上げられ、豊かな土壌と資源に恵まれた地上という表の世界。
魔力という土台を狭く小さく、減った分だけ強く濃く魔力を注ぎ込み、強かな存在を直接生み出すことが可能となった迷宮という裏の世界。
表と裏、どちらが優れているというものでは無い。
表と裏があることが世界であり、光があれば影ができるように、両方が存在することがこの世の理。
この物語は、そんな風に表と裏が分かたれた世界で、裏側の世界に生きる者の物語。
魔力という超常現象が存在するこの世界は、あるいは我々が生きる現代の、魔力の存在しない世界の裏側なのかもしれない。