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婚約者が別の女と結婚するってうるさいんだけど

作者: マキマキ

何も考えずに書きました。

設定がおかしくても、スルーしてください。

貴族とか知りません。この話の貴族はファンタジーなので史実と比べてはいけません。

それでもよろしければどうぞ。

最近学校の様子がおかしいらしい。もっと限定的に言うのであれば、婚約者の様子がおかしいらしい。

学校というのは私が今通っている学校のことではなく、私の婚約者が通っており、数か月前までは私も通っていた学校のことだ。


学友たちが定期的に連絡を送ってくれているので、遠く異国の地にいるわりには、学校の情報は入ってくる。その中には、婚約者については不自然なほど書かれてはいないが、学校に忍ばせている影から入ってくる情報によれば、婚約者が一人の女の子に夢中らしい。しかもその女の子は、庶民の子らしい。ああ

、頭が痛い。しかもその子も婚約者にお熱らしい。

さすがに、彼とは旧知の仲かつ婚約者なので、実家に知られるとまずいその行為が広まらないように工作はしてあげた。私にまで類が及ぶのは御免こうむる。


婚約者とは、家同士が決めたもので、私と彼の間にはロマンスは存在しない。彼も、家同士のことだから仕方がないと知っているはずだ。


知っているはずなのに、この手紙はなんだ。


一通の手紙が私のもとに送られてきた。婚約を破棄したいと。

途中で馬鹿らしくなってななめ読みしかしていないから、正確に何が書いてあるのかは知らないが、簡単に言うとこんなところだろう。


今までかばってきてあげたけど、これはねぇ、ちょっといただけないよ。

丁度こちらは折よく長期休暇だ。実家に帰るついでに学校によって見極めるのもいいかもしれない。






思いつけば即行動と、さっそく国に帰り、実家と彼の実家に寄った後、すぐに学校に向かう。今回の長期休暇は、あちらの国の宗教的な理由での休みなので、こちらの学校はいつも通りやっている。留学はしていても、籍はこちらにあるので、顔を出すくらいは普通に許される。

「フランチェスカ様、ごきげんよう」

「お帰りになられましたの?」

「まあ、お久しぶりです」

口々に挨拶をしてくれる学友たち。しかし、そのあと、何やら言いにくそうに、もしくは言いたそうに私の法をじっと見つめてくる。

「向こうは長期休暇中なのですわ。それを利用いたしまして、こちらに皆様に会いに来ただけなんですの。ところで、レオンハルト様は今どちらに?」

婚約者の名前を出すと、更に気まずそうにお互いに顔を見合わせる。

「大丈夫ですわ。大体の事情は察しておりますから。それでどちらに」

それでもまだ、しばらく逡巡したのちに、一人がやっと教えてくれる。

「おそらく、サロンにいらっしゃるかと」

「ありがとうございます。それでは、ごきげんよう」

サロンは特別な生徒だけが持つことを許された、生徒個人の社交の部屋で、そこに友人を招いてお茶をしたり、お話をする学校内での社交場である。サロンの主というだけで、学校内では一目置かれる存在なのだ。自慢ではないが私もサロンを与えられていた。今は留学のため一時閉鎖しているが。



礼儀にはかなっていないが、ノックをせずに入る。

目の前に見えるのは、一人の美少女とそれにひっつく婚約者であった。頭が痛い。それが婚約者のいる男がする行為か。美少女も学校にいれば、彼に婚約者がいることぐらいわかるだろう。つつしめよ。

この美少女、もともと上流階級育ちではなく、最近どこかの貴族の愛人の子で、本妻がなくなったために、本家で引き取れるようになり、上流階級の仲間入りを果たしたらしい。そんなこにうつつを抜かすなんて、百年の恋もさめるわ。そもそも、恋してないけども。

「ごきげんよう」

一向に気づく気配がないので、仕方なしに話しかける。

その声にはっとしたように一気に二人がこっちを向く。驚きから最初に回復したのは、婚約者様の方であった。

「フランか。いきなり入ってくるとは無礼な。一体何の用だ?」

一応、婚約者なのでそこまで目くじらを立てるほどのことではないと思うのだが。イチャイチャを邪魔されたことに腹を立ててるのか。もし、そうであるならば、かなりの末期症状であると言ってよかろう。

「馴れ馴れしく呼ばないでくださいませ。無礼はお詫び申し上げますわ。先ぶれを出しますと逃げてしまうような気がしましたので。ずいぶんと勝手なことをなさっているようで、わたくしお話をしにまいり・・・」

「待ってください。あなたがレオン様の婚約者ですか?」

最後までいう前にさえぎられた。今度話したのは美少女だ。

「そうですけれど、貴女は?」

「わたし、マリアベルって言います。あの、レオン様を縛らないであげてください」

何言ってんの?この子。別に私はしばってなどいない。愛人を持つことも許すつもりだったし、覚悟があるなら、婚約を破棄しても全然かまわない。

「おっしゃっている意味がよくわかりませんのですが」

「家の都合で結婚するなんて間違っています。レオン様も、そしてあなたもかわいそうです」

脳みそお花畑すぎない、この女。そして、なんで感動したようにこの子をみつめてんの。

そんな理屈で私たちは動いていないのを忘れたのかな。人のお金で生きている私たちには権利よりも先に義務が生じるという初歩的なことを忘れてしまったのかな。

「と、いうわけだ。フラン、いやフランチェスカ。手紙にも書いたように俺との婚約を破棄してくれ。当事者二人が白紙に戻すと言えば、納得するだろう。俺には、ほかに愛する人ができた」

甘ったるい目で、マリアベル嬢を見つめる。そして、ポッと顔を染める彼女。今なら砂糖が吐けるよ。

「あら、お断りですわ。勘違いなさらないでくださいね。あなたみたいな脳みそがはちみつになってしまったような男こちらからお断りしたいのはやまやまですけれど、わたくしは、ミード家の人間として、きちんと務めは果たしますわ。ご自分で、説得なさってください。家が了承いたしましたら、喜んで手を放して差し上げます」

「そんなこと言って、オレに未練があるんだろう。大お前は何を言っても表情を変えない、面白くない女だ。オレはなんと言われようともお前との婚約を破棄し、本当に愛する女と結婚する」

「それが答えですか。わかりました。わたくしから、ローグ家にお伝えしておきますわ。レオンハルト様は家をお捨てになると。大変優秀な弟様がいらっしゃるのでさほど問題ないですわね」

「どういうことだ?」

「説明しないとお分かりになりません?あなたは我を通すのでしょう。それならば、家に迷惑をかけない方法でなさるべきですわ。あなたのお父様からわたくし頼まれましたの。どうしようもないと分かれば、これを渡してくれと。あ、こちらです」

そういってから、託された手紙を渡す。読んでいるうちに顔色がどんどん変わっていく。その手紙は絶縁状なわけで、普通の神経を持っていたら、顔色は変わるわな。

「言い訳も何も聞きませんわ。わたくし最後のチャンスをあげましたのよ。この話し合いの場であなたを見極めて。愛にでもなんでも生きてくださいな。ただし、わたくしと関係のないところで。もう少しましな受け答えをすれば望みはあったのに。マリアベル様。よかったですわね、これで彼はあなたのものです。彼がロード家の人間でなければわたくしたち結婚する意味もありませんもの」

うるさい人間が固まっているうちに一礼をして、サロンを後にする。

まあ、絶縁状というのは本当だけど、嘘だ。この後、おそらく実家に真意を問いに帰るであろう。そこからは、彼の両親の裁量だ。このまま帰らず、愛に生きると決めると、私が言ったことが実行されるだけだ。

これで彼がまだ理解しないようであれば、貴族として生きていくのはやめるべきだ。

マリアベル嬢も身の程を知ればいいのに。いくら貴族の血を引いていたからと言って、育ちは隠せない。そんな彼女にひかれた婚約者に対し、学友たちが距離を置いたのに気付かなかったのだろうか。

見下してはいない、ただ、越えられない壁があるのだ。


私たちの婚約は破棄されるであろう。格上との結婚ならまだしも、家同士は同等だ。あちらが私にひいてはうちの家に泥を塗ったのだ。婚約を破棄したうえで、あちらに貸しが一つできたことを考えると、彼女の登場はそう悪いものではなかったのかもしれない。



一つ面倒事が片付いた。

ああ、何を着て行こうか。愛しい彼に会うために。

婚約が無事に破棄されるだろうことを一緒に祝おう。



言い訳させてください。

こんなことがなければ、主人公はちゃんと婚約者と結婚しました。

彼女の思い人とはひそかに関係を続けたでしょうけど、醜聞にならないようにちゃんとするはずです。影を使って。影は、彼女の家というより、彼女自身に忠誠を誓っている有能な集団のことです。大体なんでもできるんじゃないですかね。

主人公の心の中の声が庶民なのは、しょっちゅう大衆食堂とか男装して酒場とか賭博場に入り浸ってるからです。そっちの方が正直居心地がいい。家族も黙認というよりも、いっしょに出かけるような人たちですから、止める人がいない。しいて言うならば執事さんとか?

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