表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/57

20話

 





 レティシア





 今日、うちは殆ど完成した拠点からクレハに許可を貰ってフロートボードでドライブに出かけたんや。まあ、仕事が無くなってクレハに暇や暇やって言ってたからやけど。そして、今はクレハが何故かテーブルの上で両手を口の前で組んでるんや。


「ダンジョンが見つかったのか…………」


「なぁなぁ、なんで司令ポーズなん?」


「なんとなく?」


 中二病やな!

 あれ、でも14歳のうちらじゃ丁度中二やね!

 なら問題無しやな!


「まあ、遊びは置いておいて、アタシ達の取れる選択肢は3つある」


「3つも有るん?」


「うん。1つは見なかった事にする。これは特に問題無い」


「せやね。でも、儲けはあらへんから却下や」


「だね」


 確か、ダンジョンを発見してギルドに報告するだけで10万~100万くらい貰えるんや。これはかなりデカイで。


「2つめは普通にギルドに報告して報酬を貰う事。これが一番簡単で儲かる」


「デメリットは特にあらへんね」


「そうだね。今のところ、目立つだけでメリットだけだからね。それと、デメリットはあるとしたら妬まれるくらいかな。それでも、アタシ達がピンポイントで襲われる事なんて先ず無いだろうけど」


「それ、フラグっぽいんやけど…………」


「あはははは、そんなまさか…………」


 なんか、凄く不安そうな顔になったで。クレハは心当たりでもあるんかな?


「うちはなさそうやけど、追っ手とか襲撃されそうな事でも有るん?」


「いや、有るとしたら…………どっかの盗賊の宝を横取りして奪ったくらい?」


「充分やと思うで。それで、3つめはなんや?」


「最後のはある意味で1番利益が有って危険でも有る。それは…………」


「それは…………ダンジョンを秘匿してうちらの独占狩場にするんやね」


「非道い!! アタシが言おうと思ってたのに!!」


 悔しそうにしてるクレハはカワエエ。


「こほん。まあ、理解していると思うけどここは現実。つまり、ゲームの様に魔物が勝手に、無限にポップしてくる事は無い。狩り尽くせば終わりって聞いた」


「そやね。でも、それは例外が有るんや。それがダンジョン。放っておけば勝手に魔物が湧き続けてダンジョンから溢れ出してきよる。それを超える速度で狩り続ければ問題あらへんらしいけど」


「説明ありがとう。さて、デメリットはアタシ達に手が負えないダンジョンだった場合、アタシ達は死ぬ事になる。でも、逆に言えば勝てるなら美味しい狩場になる。それに手に負えないと判断すればその時にギルドに知らせれば良い。だから、アタシは3つめを支持する。レティはどう?」


「せやね。軽く潜った感じは充分狩れる範囲やったで」


「潜ったのっ!?」


 クレハの顔が驚愕に歪んだわ。


「そりゃ、潜らないとダンジョンだって判らへんし?」


「いや、危険でしょうが…………でも、この際、良いわ。それで、敵の構成とダンジョンの地形は?」


「魔物の構成はスケルトンが1~3体。ゾンビが1~3体の集団やったで。ダンジョンの地形はオーソドックスな洞窟やね」


「成程…………」


 クレハは考えだしたようやけど、こっちは渡すもん渡しとこうか。


「後、これはお土産や」


 うちが取りだしたのはスケルトンとゾンビから出た魔石と魔力の篭った骨や。


「魔石…………ねえ、弱かった?」


「そやな…………アイツ等は…………」


 クレハの質問に、うちはダンジョンの事を思い出す。






 ――――――――――――――――――――――――――――――






 ドライブに出て、目的やった釣りで大量の魚を手に入れたうちはそのまま自宅の有る方へと戻りつつ、砂浜が終わった先にある大きな崖の反対側に行ってみた。この辺を探検したかったし。すると、海面から突き出た岩がゴロゴロしている所に崖の裂け目みたいな所ができとった。うちは興味本位でその裂け目に入って行く。そしたら、奥の方に古代遺跡みたいな感じの扉が有った。


「はっ? なんやねん、これ…………なんでダンジョンって書いてあるんねん!!」


 その扉を見た時、うちは突っ込んでもうた。その扉にはおいでませ、ダンジョンへと書かれていた。


「これは行ってみるべきやな」


 扉を開くと、そこから漂ってくるのは腐ったような、嫌~な臭いや。でも、ここは調査の為に我慢して入ってみる。暗のでランタンを点けてや。


「これがホンマのダンジョンやったら楽しみやな~~~」


 うちは戦闘用の服装で中に入って行く。最初のマップは普通の石畳で舗装されとった。そして、入って足を床につけた瞬間。床が無くなってうちは落ちた。


「ひゃわっ!?」


 落下していると、直ぐに下が見えたんや。そこには大量の杭が置かれとった。そう、うちはその杭を貫いたんや。貫かれたや無くて、貫いたんや。


「痛いな~~もう。でも、所詮は鉄製やね」


 ちょっと衝撃を受けただけで、うちの身体にはなんとも無かった。むしろ、足が埋まっとるので取り出すんが面倒や。


「そういや、クレハが鉄をいっぱい欲しいって言ってたな~~」


 うちはニヤリと笑いながら嬉々として、周りにある鉄製の杭を破壊して鉄屑スクラップに変えてはアイテムストレージに放り込んで行った。それが終わったら、両サイドの壁を交互に蹴って脱出や。


「よっ、ほっ、とぅ!」


 簡単に穴から抜け出して、そのまま進んで行く。すると、石畳は無くなって、むき出しの土が出来て来た。そのまま歩いていると、急に足元でズボッという音がして足首を掴まれる感覚がした。下を見ると地面の中から骸骨の手が出て来ていて、うちの足首をがっしりと掴んどった。


「うわっ!?」


 うちは驚いて足を振り上げると、地面の中からどういう原理かわからんけど、地面を透過してスケルトンが出て…………いや、正しく無いね。うちに吹っ飛ばされて天井に激突してバラバラになってもうた。後にはバラバラになった骨だけやらから、スケルトンの心臓やった魔石を回収した。


「ホラー系のダンジョンかいな…………もうちょっと、奥へ行ってみよか…………」


 そのまま奥へ進んで行くと、次は普通にゾンビが4体くらい前方から歩いてきよった。そして、前方で止まったから、こっちから突っ込むと…………今度は足にバキンッという音がして、見るとトラバサミが発動していて…………トラバサミの刃が全部折れとった。


「「「…………」」」


「えっと、取りあえず死んでな? って、もう死んどるか。だったら、こっちやな。成仏してな」


 トラバサミをもろともせずに近づいて蹴りを放つと、トラバサミに付いていた鎖が引きちぎれて、そのままゾンビの胴体に命中しおる。すると、ゾンビが吹き飛んだんや。そして、壁に激突したんやけど、動かなくなって、しだいに人の形が崩れて土になりおった。


「まあ、なんや…………この鎖も使えそうやね」


 うちの攻撃はトラバサミに付いている引きちぎった鎖もゾンビに攻撃してくれとった。それからは無双やね。ゾンビ共の攻撃なんて効かへんし、簡単やった。そして、粗方殺した後に帰宅してクレハに報告したんや。ネタで驚いたフリしつつ。






 ――――――――――――――――――――――――――――――






 そして、今に至るという事やね。


「じゃあ、3で行くか~でも、聞いた限りの構造だと面白い事ができそうだな」


「面白い事?」


「うん。冬場、動けなくなったら暇になるじゃん。だから、遊び場にしようかなって」


「でも、外にでるんは辛いで?」


「うん。そっちまで渡り廊下を作って室内にすればいいじゃないか。崖の所はレティシアがブチ抜いてアタシが溶かして固定すれば大丈夫だと思うし」


 成程。確かに娯楽になりそうやね。暇な時間も有効活用やね。


「んじゃ、それで行こか。でも、この頃作ってばかりやね」


「いいじゃんか。冬になれば殺し放題だし。扉が有るなら安全だろう。一応、保険の意味も込めて渡り廊下に繋がる道は障壁を展開しておくから大丈夫だと思うしね」


「それもそうやね。安心は大事や」


 それから、うちらは次の拡張工事に入ったんや。クレハちゃんが図面を引いた通りに。全ては冬の娯楽の為にや!









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ