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18話

拠点と変な移動アイテムができちゃいます。

 






 レティシアに買い物へ行ってもらっている間に、森の方へ行って木を斬り落とす。いや、これは正確ではない。何故なら撃ち抜くが正しいからだ。そう、俺はステンノ&エウリュアレで木の根元付近に銃弾を叩き込んで穴を空け、倒しているのだ。倒した木は火の魔術(MP10)で乾燥させてアイテムストレージに収納して行く。それをひたすら繰り返す。

 大体40本ぐらいアイテムストレージに仕舞った後は、1本を取り出して皮を剥いで先端を円錐状に整えて行く。その反対側は周りを削って四角い出っ張りを作る。それが出来たら仕舞って、次のを出して行く。

 この作業をしていると、レティシアが帰って来た。どうやら、アイテムストレージに荷物を仕舞っているようだ。


「ただいまや」


「お帰り。寝床の準備が出来たら手伝って」


「うん、わかったで」


 それから、戻って来たレティシアには整えた丸太をその馬鹿力で地面に突き刺して貰っていく。


「んじゃ、この線にそってよろしく」


「任せてや」


 村との間に森から海まで線を引いて目印にする。もちろん、シェアーさんが好きにしていいと言っていた場所の限界位置だ。一部には出入り口用の線が無い部分がある。レティシアは端っこから順番に10メートルもある丸太を軽々と地面に突き刺して固定し、ジャンプして上から打ち込む。そして、4メートルほど地面に突き刺した。後はその丸太の上に乗ったまま突き刺して行く。

 これを見た俺は急いで作業をして行く。


「終わったからそっち手伝うな」


 丸太の方を見ると綺麗に整列していて、ロープでしっかりと縛られている。これなら問題無いだろう。


「よろしく」


 丸太を突き刺す作業が途中で終わり、レティシアがこちらを手伝ってくれる。


「ところで、何で村側にも設置するん?」


「決まってるじゃな。塩とか作るし…………それに…………」


「それに?」


「雪が積もった中に露天風呂とか素敵じゃないかな?」


 綺麗な夜空に大自然の雪景色。湯に浸かりながらお酒やジュースを飲みながら、月見や星見に洒落込むのだ。


「素敵やね!!」


「だよね!」


「ぜひやるべきや!」


「じゃあ、張り切ってプライベートスペースを作ろ~~」


「お~~~~!!」


 それから、200メートル四方を我が家の領域にした。未完成ではあるけれど、3方向の囲いを作る事には成功したし問題は無い。4分の1が自宅に使われているので、残り4分の1が家庭菜園、4分の1がビーチと桟橋(予定)。残りの50メートル四方に露天風呂と訓練スペースにするつもりだ。ちなみに、海の方にも次第に侵食するかも知れない。むろん、40本では足りなかったし追加したよ。

 その日は買って来た魚に塩を振って焼くだけの簡単な物だ。


「えっと、先ずは内蔵を取るんだ。この羽みたいなのの間に穴があるでしょ」


「これやな」


「そう、そこに包丁を入れて骨ごと斬って開いて行くの」


「これってまさか…………」


「気にしちゃ駄目」


「そっ、そうやね」


 レティシアがサンマのような魚、リークをおっかなびっくり捌いて行く。


「力入れすぎないでよ」


「わっ、わかっとる…………」


 リークの腹はさっくりと斬れた。勢い余ったレティシアは自分の指も斬り付けてしまった。


「うっ、うわっ、血がっ!! 血がっ!!」


「大丈夫だって。というか、出てないから」


 冷静にパニックになりかけているレティシアに言う。


「あれ?」


「アンタの防御力をたかが市販の包丁が抜けるはずが無い」


「なら、なんで心配してたん?」


「アタシが心配したのは包丁よ」


「非道っ!!」


 包丁をレティシアから取り上げて確認すると案の定、包丁が欠けていた。金剛力…………金剛の名にふさわしい硬さまでもレティシアに与えている。そう、レティシアはどこかのちびっ子錬金術師が機械鎧を付けてやっていた、『どうした、キメラ野郎? しっかり味わえよ』を素手の皮膚で可能なのだ。


「何が非道い物か。少し線が出来た程度なのと欠けた包丁を見ればどちらの損壊率が多いか一目瞭然よ。さて、この包丁は後でリサイクルするとして、今度は内蔵をボールに入れた水の中で引きちぎって、きっちりと取り除きなさい」


「はい、先生!」


 レティシアが内蔵をちゃんと取ったので、それを三角コーナーもどきに捨てさせる。


「後は塩を塗してこの網の上に乗せて皮に焦げ目が付く程度まで焼けば良いから、後はできるよね?」


「任せてや」


「じゃあ、アタシは作業してるから」


「了解や」


 レティシアに御飯を任せて、俺は工房で鉄を掴む。そして、手を火の魔法で高温にして液体手前まで溶かす。そして、水の魔術で冷やして不純物を出させる。本来なら他にも色々と手法がいるのだろうが、流石は魔術だ。精密操作してしまえば塵芥を浮かばせるように出来るので的確に取り除ける。


「さあ、しなれしなれ」


 しなりをどんどん強くしていく。そして、出来た鋼を細い棒状に素手で形成して行く。粘土遊びみたいな物だ。


「よしっと」


 出来た棒を軽く振り回して、しなりと強度を見ていく。問題無いので他の鉄でまた鋼を作って今度は小さな輪っかを沢山作って、先程の棒に付けて行く。


「後は、コイルとかだな」


 もう直ぐ完成する。俺がいま作っているのは釣竿だ。さっさとコイルと糸も作って完成させる。全て鋼で出来た品だ。釣り針は強度を重視した。


「ご飯できたで!」


 皮を巻いている時に呼ばれたので、グリップ部分を完成させてからリビングに行く。

 リビングのテーブルには焼き魚が2匹ずつと、適当に切られたレタス、トマトが置いてある。この2つも違う名前が有るみたいだが、面倒なのでそのまま言う事にした。


「切り方は適当だけど、まあ良しとするか」


「厳しいな~」


「これくらい簡単だろう。というか、旅の間はどうしてたんだ?」


「買い食いか、取って洗って焼いてそのまま食べてたで」


 男の料理だ。そう、真の男の料理である!

 旧時代ではあるが。いや、今は普通かも?


「調味料もろくに無いからあんまり作れないけど、塩はいくらでも作れるから、気にせず使って」


「了解や」


 ご飯を食べ終えたらお風呂を沸かしてあげる。


「アタシは塩を作っておくから、レティシアは先に入ってて」


「いや、居候なんやし手伝って。それに一緒に入りたいし」


「いや、それは…………」


「うちは別に見られてもええから、髪だけ洗ってくれへん? 実は力が強すぎてかなり悲惨な事になるねん…………」


 虚ろな目をして震えだすレティシア。もしかして、髪の毛を洗ってる途中でブチィッといいっちまったのか?


「お願いやっ、別におさわりしてもええから!」


「わかった。わかったから…………」


「ほんまか!」


「仕方ないから洗ってやる。ほら、さっさと塩を作ってお風呂に入るよ」


「うん!」


 それから、レティシアが壺を用意して、俺が塩を作成して壺に入れて行く。取りあえず、大きい壺を21個満タンにしてやった。1個は自宅用で、他は売る用だ。暗くなってきているのでさっさと終わらせる。

 全部終わったので、2人でお風呂に入る。だが、やっぱり脱衣所で戸惑っている。


「ほら、早くっ!」


「ちょっ!」


 無理矢理脱がされてスッポンポンにされた。その後、裸になっているレティシアに引きずられて風呂場へ移動。


「じゃ、洗いっこや」


「ああ、もうっ! わかった!!」


 覚悟を決めて身体を洗ってやる。もちろん、頭だけだ。でも、逆にこっちは全身を洗われてしまった。



 お風呂を出ると完全に日が沈んで真っ暗になっている。なので、火の魔術で簡単な明かりを用意する。それをランプに入れてレティシアに渡す。顔をまともに見られないので、そっぽを剥きながら渡す。


「あっ、これもあげる。一応、マットと布団。余ってるから仕方無くだからな! 勘違いするなよ」


「おっ、柔らかい…………ありがとうやっ!!」


「うっ、うん…………」


「あと、ツンデレ可愛いで。じゃ、お休み」


 くそっ、男なのにツンデレキモイとか言われて、この恥ずかしさを流そうと思ったのにこの身体じゃそれすら効かないだと…………むしろ、逆にダメージをこちらが負ってしまった。


「くそっ、こうなればこの気持ちをアイテム作りにぶつけてやるっ!!」


 工房に移動して、ランプを机に置いて作業を始める。

 先ずやる事はビックラビットから手に入れた多数の魔石を火の魔法で溶かしてドロドロにする。そして、それを固めて行く。そして、赤色の魔力結晶ができた。もちろん、クトゥグアに使うような高純度では無いが、今から作るのは有ったら面白そうな玩具なので問題無い。

 魔力結晶を元にして、回路を掘った円形の板を魔力結晶に重ねて行く。最終的に半径5cmくらいで、厚さ2cmくらいの物ができた。これを木製と鋼製の2つずつ。計4つを作る。

 そして、次に鋼製と木製の長細い1m50cmぐらいの平らな板を作る。その板の前と後部分をくり貫いて先程のコアユニットが填るようにする。後は板の裏側と表側に術式回路を刻んでいく。最後にコアユニットを固定する大きめのひらべったい円形のカバーを作ってコアユニットに裏と表から被せて作ったボルトで固定する。


「できた…………さて、どうなるかな…………」


 鋼製の板を床に置いて、コアユニットの有る場所に足を置く。そして、魔力を流して行く。


「うわっ!?」


 すると、予定通りに板は宙に浮いた。そう、刻んだのはクトゥグアにも使われている浮遊術式だ。

 空中でバランスを取っていると、MPがどんどん減って行く。10秒に1ぐらい減っている。火の熱量魔法では5秒で1ぐらいなのにだ。


「木の方はどうだ?」


 こちらは1分に1くらいだった。木の方が格段に減っている。こっちの方が燃費の分では優秀だ。


「次は耐久性だな」


 両方起動して試す。そして、結果は鋼製の方が格段に持った。というか、木は途中で耐え切れなくなって、コアユニットが落ちて墜落した。


「という事は良い所取りをすべきだな」


 基本は木製にして、鋼で補強する。具体的には真ん中木で周りを鋼で固定する。そして、そこに木を重ねて鋼でコーティングする。コアユニットは木製を使って、周りの留め具や固定具には鋼を使う。

 完成したので、今度はハイブリッド型を試してみる。

 今度の消費量は1分に5だった。強度も十分で、今度は強度が足らずに壊れる事は無い。


「第一段階は成功。これより第二段階」


 第二段階は簡単だ。このままではただ浮いているだけなので、後方にジェットエンジンみたいなのを付ける。余っているコアを筒状にした鋼に取り付けて噴射装置に改造する。クトゥグアみたいにレーザーは放て無いが問題無い。

 エンジンが終わったら、足場を完全に決めて固定する物を作る。それと魔力集積回路と思念操作回路を取り付ける。感じとしてはスノーボードの奴だ。ただ、こちらは完全に靴もろともふくらはぎまで包み込んで固定するけど。


「よし、完成。じゃあ、明日外で試してみるか」


 今日はもう寝る。日の出も近いし、このまま外に出たら髪の毛や肌に塩がついてしまうから、嫌だ。だから、テストは明日だ。







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