17話
レティシアのレベル記入を忘れておりました。
レティシアを自宅に連れ込んで、リビングにあるテーブルに座らせている。レティシアの荷物は既に空き部屋に運んである。今は一通り家の設備を案内したあとだ。テーブルの上には俺が作った唐揚げと炊きたての白ご飯が並んでいる。
ご飯は鍋で炊いたので少し焦げているが、問題ないだろう。
「美味いわ~~」
「そうだね」
「やっぱ日本人は米やね」
「レティシアはやっぱり日本って国を知ってるの?」
一応、確認してやるか。日本人なのは確定しているがな。
「母国やからね。それにこの料理を知ってるって事はクレハちゃんもうちと同じやろ?」
「そうだよ。アタシは元日本人だ。だから、これからよろしくね」
「うん。こちらこそ、よろしくや。それで、家事の事なんやけど、うち…………家事が録に出来へんねん。前も女の子やったんやけど、両親がおったし、こっちの両親には戦闘技術を叩き込まれる為に修行三昧やったし。今も武者修行してこいって、放り出されてん。もちろん、サボる気はないよ? 悪いけど、教えてくれへんかな? 戦闘は自信あんねんけどね…………」
まあ、ちゃんと覚えようとするだけましか。それに戦闘面の方が期待できるし。
「じゃあ、教えていくから。冬まで一ヶ月切ったけど大丈夫よ。スパルタで教えてあげる」
「えっと、お手やわらかにお願いするで?」
「イ・ヤ・ヨ」
「うぅ…………」
「それと、一つだけ言っておく事があるんだけど、いい?」
「なっ、なんや?」
「隠しておくのもフェアじゃないし、面倒な事なると嫌だから先に言っておく。アタシは元男で、男の身体に戻ろうとしている」
こればっかりは教えておかないと駄目だからな。
「そうなんや…………つまり、男の人やったんやな…………」
「興味本位でやってみたら、いきなり転生だったし…………」
「それは災難やったね。あっ、でもその喋り方は? いや、全然違和感はないんやけど…………」
「これは記憶がもどるまでのせいかな。あと、できる限り違和感がないようにね」
どこから変な事になるか分からいし、それに男言葉を出したらエメリナ先生に無茶苦茶怒られて、OHANASHIされた。
「まあ、それに今は女の子の身体だからどうこうするつもりはないから安心していいよ。だから、下着姿とかで歩き回らないでね。あと、ちゃんとお風呂は別々にするから」
「いや、別に一緒で構わへんよ。だって、今は同い年の女の子やしね。それに髪の毛とか洗って欲しいし、むしろ一緒に入ろうや」
「え、遠慮する…………」
「ええっ!! なんでやの。一緒に入ろうや。洗いっ子しようや」
何言ってんのこいつ…………いや、ある意味正しいのかな。今は女の子同士だし。
「まあ、その辺は今度にしよう。ちなみにレティのレベルは?」
「うちは格闘家のレベル8だけや。ただ、セカンドジョブは持ってんねんけど、いい職業にはついてへんねん。後のレアスキルは金剛力と身体加速やね。後は格闘家関係や」
なんか、前衛にもってこいのスキルだな。金剛力はおそらく力関係だろうし、身体加速は身体を素早く動かせるのかもしれない。そうなると、力と速さが合わさっているのだからかなりえぐい破壊力になりそうだ。
「オススメな職とかある? 一つはいけるんやけど、いまいちピンとこうへんねんな」
「なら、魔導師になるといい。そっちは魔導器が有れば比較的簡単になれるし。魔導器なら作れるから」
「ほんまか!!」
「もちろん、もらうものは貰うけどね」
「それは仕方ないな。でも、うちはお金とかないし…………そや。それじゃあ、身体で支払うわ。それでええや?」
「いや、まあ…………それでいいか」
「やった♪」
喜んでいるレティシア。まあ、こっちとしてもその方が楽か。
「んじゃ、お金渡すから家具とか買っておいで」
「ごめんな。必ず返すから」
「気にしなくていい。その分、こき使うから」
「了解や」
俺はレティシアにお金を渡して農具などの買い物を頼む。こっちはその間にやりたい事がある。主な目的は畑を作る事と防壁かな。それと、ちょっとした道具も作らないといけない。どうなるかは分からないけど、安全に稲を栽培できるようにしなければいけない。これはとっても重要な事だ。