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13話

 






 稲を求めて三千里…………は行って無いけど、チェリム森林のかなり奥までやって来た。もちろん、地図で見たら前半部分ではあるのだろうけど。ここまでかかった時間が5時間。下手したら野宿コースだ。決して、決して迷ったわけじゃないんだからな!!


「おおっ!! 有ったっ!! これだっ!」


 見つけた群生地は沼っぽい所だった。田んぼみたいな感じだ。そこに大量になっていた。誰もとってないからかも知れない。だけど、育てる分も考えて、多めに取っておく。すると、普通の稲には感じないいい匂いがして来た。気を良くして、どんどん取っていく。

 十分な量を採取して帰ろうとした時、奥の方からどどどどどっと木々を押し倒して突き進んで来るような音が響いた。


「マジックソナー」


 急いでソナーを発動させると、小さめの生物が群れでこちらに向かって急速接近中だった。


「やばっ…………」


 俺は急いで逃げる。小さいくせに木々を押し倒すとかどれだけ危険か分かりはしない。

 全力で逃げると、その群れは稲の群生地で半分が止まり、残り半分が俺を追ってきた。


「ああ、めんどいな…………」


 ソナーで調べた感じ、こちらに直進で突き進んで来る。ならば、狩り易い場所に誘導するまでだ。幸い、ソナーでいい感じの所が有った。それは何かが通った後なのか、大地がえぐれて通路のような大きな溝が出来ている。高さも程よい感じだ。そこをジャンプで超えて、餌を溝に落とす。そして、俺自身は近くにある木の上から、クトゥグアをチャージしながら、ステンノを構える。

 少しして、木々を倒しながら現れたのは体調1メートルを超える巨大な兎だった。そいつらはこちらの狙い通り、一目散に溝へと飛び込んだ。そして、稲を貪って行く。そして、一部がこちらに気づいて動き出す。


「撃て」


 だが、それより早く、クトゥグアの赤いレーザーが兎を貫いて行く。斜めから放たれたレーザーは他の兎も貫通して行く。しかし、兎に空いた穴は10センチぐらいの小さな穴だ。リミッターが正常に聞いている。

 そして、俺はステンノから次々と弾丸を発射して行く。レベルアップの御蔭で何とか連射出来るようになった。ステンノの弾丸を打ち尽くす頃には流石の兎達もこちらに向かってくる。

 そして、俺は溝の上を木から飛んで移動する。空中に居る時はステンノを仕舞って、エウリュアレを取り出して発泡する。エウリュアレの反動で対空時間を上げつつ、殺して移動する。反対側に着地すると、あちらに向かっていた兎達は反転して、こちらを向く。

 そこに残しておいたクトゥグアが後方からレーザーを放って纏めて数体を蹴散らす。

 それに驚いている間にまた木に登って、マガジンを交換してエウリュアレを放つ。兎達は両サイドからの攻撃に右往左往する。実際は交互に放っているのだ。まだ同時操作はできないし。だが、大きくても知性がろくにない兎ではそれは理解出来ない。

 よって、兎達は二手に別れる事になるのだが、こちらに有る程度接近すると俺は向こうに飛ぶ。そして、その間に援護射撃の指示を出してだ。

 次第に溝から登れなくなって来る兎が増えて行く。こうなると撤退するしかないのだが、兎はしぶとく抵抗して来る。


「アオーーーーンッ!!!」


 そして、森の中に狼か犬の遠吠えが聞こえた。そして、状況が劇的に変化したのは兎達だ。兎達は急いで逃げようとする。しかし、森から多数の狼に率いられた野犬が飛び出して来て、兎達に襲いかかる。兎達も大きいが、そいつらは通常サイズだ。ただ、多勢に無勢なのか、次々に噛み付かれて、抉られて死んで行く。もちろん、野犬の被害もデカイが、それほどまでに数が違った。


「チャンスっ!」


 マガジンを取り替えて、リーダーみたいな狼をステンノで狙う。狼は溝の上から下を見ている。俺は頭をよく狙って、引き金を引いた。発射された弾丸は狼が咄嗟に首を振って下がった為に掠った程度だった。だが、立て続けに発泡して体勢が整っていない所を一気に銃弾を打ち込んで行く。動かなくなったら、とどめにクトゥグアのレーザーを放つ。これによって、完全に狼のリーダーは動かなくなった。

 そして、統制を失った野犬は目の前の肉である兎に集中していく。こうなると後は簡単だ。乱戦になっている所に弾丸やレーザーを打ち込めば良いのだから。

 それから程なくして溝には兎達と野犬達の死体が多数転がっていた。俺はそれを解体せずにアイテムストレージに放り込んで、この場を後にする。むせ返るようなおびただしい血の匂いで狼と野犬は引き寄せられたようだから、この場を離れた方が得策だろうという判断だ。

 急いで森を走っていると川が有った。そこでこのまま潜って匂いを消す。直ぐに出て、村を目指して帰った。兎達もあの稲からした良い匂いで辿って来た可能性があるからだ。

 それが成功したのかはわからないが、無事に我が家に到達出来た。その後は稲をしっかりと保存して、お風呂に入って眠りに着いた。







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