11話
生産成功率を1回だけ絶対に成功する薬を飲んで遠隔操作浮遊式小型魔導砲を開始する。金属をレシピに沿ったパーツへと組み替えて行く。少しでも形が変われば違和感に襲われるので、それが無くなるまで修正する。金属の加工には手に高温の火属性魔力を纏わせれば出来る。
パーツの整形が終わったら、今度は魔力回路を刻んでいく。これも精密作業で何度も失敗しては最初からやり直す。
有る程度出来たら、火属性魔力結晶に操作術式を刻んで台座に嵌め、魔力回路を引いていく。結晶の下半分に埋めて、魔力回路が赤い光の線が滞り無く進めばコアユニットの完成だ。
次にコアユニットを中心に魔力集積回路を取り付けて接続し、魔導融合炉を作り上げる。これは空気中に漂っている魔力とマスターから供給される魔力、結晶が持つ魔力を融合して膨大な魔力を生み出す装置だ。
これで基礎部分が出来たら浮遊術式を刻んだパーツで魔導融合炉を覆う。もちろん、回廊は接続する。これで浮遊する事になる。
試しに起動してみると、確かに浮いた。
「おいで」
呼ぶとフラフラとやって来る。まだ未完成だが、浮遊という事は成功している。
「続き、続き」
マジックポイントポーションを飲みながら作業に戻る。
後は高速移動と結晶体のように障壁を展開する事、砲撃だ。レーザーのように火属性魔法を圧縮して放つ術式を刻んだ砲身を作る。これを縦になるように二箇所に設置。片方は推進力を産み出し、片方は砲撃するようにする。どちらでも使用は可能だ。その周りには自己修復と自動防御装置を取り付ける。勝手に高出力障壁を全面に展開できるようになる。これで突撃させても、盾として使っても問題無い。砲撃時などは元から内側からの砲撃には問題無く障壁が透過するように設定してある。
「出来た~~~~~~」
徹夜してどうにか完成。周りには大量の空き瓶が転がっている。
「後は出力調整と契約だけ…………取りあえず寝る」
そのままそこで眠ってしまう。
次の日、起きたら日課の訓練をして朝食を食べたら、出力調整を行う。理論上は耐久力も問題無い。
「さて、実験だけど、先ずは契約だね」
七つの大罪のような結晶をイメージして作ったので、見た目は同じ物だ。ただ、中身は違うけどね。ちなみに色は赤だ。
さて、契約の為に皮膚を噛んで血を流し、魔法陣を描く。そして、さらに血を遠隔操作浮遊式小型魔導砲へと塗りつけて綴りを書く。すると、淡く光りだす。
「マスター登録。使用者はクレハ。君の識別名称はクトゥグア」
そして、召喚の呪文を唱える。意味はない!!
「意味は無いはず…………なんだけど、心なしか出力が上がった? まさかね~~~」
取りあえず、放置して動かしてみる。なんか、鳥のような紋章が有るのも気にしない。
「行け!!」
目の前で浮遊していたクトゥグアは一瞬で視界から消えた。
「というか、紅葉は光の速度で動くアレをどうやって操作してたんだ? 逆に回避するアイツ等は…………化け物め」
呼び戻すのはわからいので、再召喚すると直ぐ近くに現れる。
「精神操作も問題は無いようだね。でも、速度はリミッターをつけておくか。じゃあ、クトゥグア。あの岩に向かって砲撃」
指示を出すとクトゥグアが赤い閃光を一瞬だけ放った。すると、岩が有った場所にはクレーターが出来ていた。それは海の方まで出来ていて、一部が割れていた。
「痛ぅ~~~~~~~~~~~~~~~~」
そして、俺は激痛に襲われ、感覚が狂ってくる。これは魔力枯渇の症状だ。だからマジックポイントポーションを飲んで回復させる。
「出力が高すぎるわっ!!!」
頭を押さえながらつい叫んでしまう。しかし、流石はクトゥグア。流石は戦略級破壊魔法兵器。こちらでは魔術では無く魔法だった。しかし、これは戦略級破壊旧神兵器とかの方があってそうだ。
「はい、リミッターをつけようね~~~」
リミッターをクトゥグアに設けて、余る魔力を逆に障壁に充てると同時に俺の魔力消費を抑えるようにする。さらにある魔導知識で自動防御術式拡散砲撃術式も入れておいた。むしろ、魔力タンクとしても使える素晴らしいアイテムが出来た。
「この指輪も含んで、アタシの戦力は十分だね」
貰った魔力増幅の指輪に追加で肉体強化の術式を刻んでおいた。身体能力…………視力が50%上昇する。それでも、クトゥグアの速度を見逃す。
「さて、練習しましょうか」
精神操作でイメージした通りに動かして行く。それを繰り返して身体に教え込んでいく。5時間も練習すると自由に動かせるようになってきた。流石は戦闘の才能と天賦の才。でも、クトゥグアと同時に他の動作をすると狂うし、しょっちゅう頭痛に襲われる。こればかりは練習して慣れるしかないようだ。でも、目的の為には耐えて物にしてみせる。やっぱ、ティルヴィング持って、七つの大罪を揃えた最終兵器紅葉はかっこいいしね。