表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

1話

 





 28歳の誕生日を迎えたと同時に会社が倒産になり、無職となった。

 上司から渡されたのは退職金と誕生日プレゼントという事で5枚の宝くじ。その宝くじは100万円当たっていたので、誕生日としては良かったのだろう。

 そして、当選金を受け取って自宅に帰ると、ポストの中に封筒が入っていた。それは結構前に応募したゲームのオープンβテスター採用通知だった。

 俺はどうせならこれでストレス発散も兼ねて参加するかと決めて、家に入って自分の部屋でマシンを起動した。この家に住んでいるのは俺1人なので、気にする事無く音量を上げてプレイ出来る。

 このゲームの名前はまだ決まっていないのか、封筒の中に有ったURLを入力して、IDとパスワードまで入れて入った場所のタイトルは新たな肉体への転生(仮)と書かれている。怪しさ爆発だが、公式サイトに掲載された画像は綺麗に作りこまれていたので、問題無いだろう。それに、BGMもかなり神がかった曲が流れている。期待は出来るかも知れない。取りあえず、スタートを押してみる。


『キャラクターを作成します。指示に従ってください』


 いきなり女性の声でアナウンスが流れ出した。そして、ページが切り替わって、キャラクター作成画面が表示される。


『キャラクター作成前にガチャガチャを引けます。これはお一人様一回まで無料となっております。それ以降は1回500円となります。また、5000円で12回引けます。なお、ガチャガチャはこの時点でしか引けませんので、引く事をオススメします』


 画面にはガチャガチャが現れた。そして、その下に内容などが一部書かれていた。それによると、入っているのはそのクラスになれるクラスカード、スキルカード、装備カード、アイテムカードなどが出るようだ。


「ま、引かなきゃ損だよな」


 ボタンを押して引いてみると、ガチャガチャが回されて、一つのアイテムが出て来た。


『おめでとうございます。吸水浄化タオルでございます』


「ざけんなっ!!」


 まさか、タオルが当たるとは思わなかった。しかも、このタオルは汗や水などを吸い取って、綺麗にしてしまうという無駄に優れ物みたいだ。ただ、VRなどでは無いので、意味は無いが。


『これ以降は課金となりますが、ガチャガチャを引かれますか? それとも、キャラクター作成に移りますか?』


 こんな物が出たら引くしか無いだろう。俺はガチャガチャは引くのが好きだから。まあ、次はタオル以上に良いのが出るだろう。

 ガチャガチャを引くを選択すると、課金ページになった。取りあえず、これからの生活費などを考えて4万くらいまでは構わないだろうから、クレジット決済を選択して、自動引き落としの設定を行ってガチャガチャを引き出した。それからしばらく、ガチャガチャを引いていく。





 そして、少しの時間が経った。


『クレジットカードの限度額を超えました』


「えっ!?」


 気がついたら予想以上に引いていたようで、クレジットカードの限度額である10万円を超えてしまったようだった。ついつい目を瞑って連打してしまったのがいけなかったようだ。だが、幸い宝くじの分で残り90万は有るし、大丈夫だろう。


『キャラクター作成に移動しますか? ガチャガチャはこの場でしか引けませんので、ご注意ください』


 もちろん、はいを選択して移動する。そして、ガチャガチャが消えると、今度はアイテム一覧が表示された。


『入手カードを確認してください』


 その数、最初のも含めて合計で240+1個。大半がゴミでしか無いので検索機能を使って良いアイテムを探して行く。


「おっ!?」


 そして、見つけたのが二度に限り、ありとあらゆる願いを叶え、三度目には使用者に滅びを与える危険な魔剣にして聖剣のティルヴィング。

 これはアレか。使って死ねという事なのかも知れない。ティルヴィングといえば、渚ちゃんだが…………これはアレを探して見ても良いかも知れない。

 大量に有るカードから探すと、目的の物が見つかった。正確には違うが、遠隔操作浮遊式小型魔導砲に分類される属性の断罪者エレメントエクスキューショナーのレシピが有ったのだ。大罪では無いが、7つという指定は受けないみたいだ。火、水、風、土、雷、氷、毒、闇、光、時、空の11属性ならば全て作れるみたいだ。むしろ、こっちが良いだろう。もちろん、使用者の精神にリンクして使われる為に性能は使用者次第だ。撃つ魔力も当然使用者が支払うのだからこの辺りは仕方無い。

 そして、レシピだからこそ、作るスキルがいる。それらを確認する為にも進める事にする。


『キャラクター作成を開始します。先ずは名前と性別を決めてください。名前の変更は出来ませんが、性別は性転換薬を入手して使用すれば可能です』


 なら男だけど、どうせなら女にしてみるか。あの子みたく、バンバン撃ちたいし。

 女性にして、名前は紅葉…………モミジで行くかクレハで行くかだが…………クレハの方が西洋ファンタジーなんだから、そっちの方がまだ良いな。クレハなら、辛うじて男の名前とも言えなくはないと思うし、これでいいや。

 決定を押すと、ページが進んだ。


『それでは、次に進みます。次は種族選択です。種族は人間族、妖精族、獣人族、魔族、神族がございます。強い種族にはそれぞれメリット、デメリットが存在しておりますので、ご注意ください。それでは、説明させて頂きます』


 人間はそのままで、全てが平均的なステータス。ただ、大きさはジャイアント、ヒューマン、ホビットと有る。ジャイアントは身体が大きく、STRやVITが強い。対して、ホビットは身体が小さく、AGIやDEXに優れている。ヒューマンは突出していない平均的なステータスだ。人間族はメリットもデメリットも特に無いが、魔導技術を持っている。


 妖精族は代表的なエルフ、ダークエルフ、ドワーフ、フェアリーなどで、エルフとダークエルフはINTやDEXが高く、精霊魔法などの魔法や弓などを得意とし、木々などの声が聞こえたりするみたいだ。ドワーフは暑さに強く、大地の声が聞こえ、STRやVITに優れ、鍛冶などにも優れている。フェアリーは小さく、VITはかなり低いが、エルフ達より強力な精霊魔法が使え、空を飛ぶ事が出来る。


 獣人族はAGIや力が高く、近接戦闘が得意な種族で、様々な種族が存在している。代表的なのは猫族、兎族、犬族などだ。


 魔族はヴァンパイアやサキュバス、デーモンと行った種族で、かなりステータスも高く、攻撃系統は魔法、物理共に強いが、太陽の下ではかなり弱体化し、月の下では強化される。弱点属性が存在し、習得出来る属性も少ない。


 神族は天使、ヴァルキュリアなどが存在している。こちらは魔族と違って、防御や補助系統の魔法や技術に優れているが、月の下ではかなり弱体化し、太陽の下では強化される。弱点属性が存在し、習得出来る属性も少ない。


 魔族、神族共に翼で飛行が可能で、互いの領域などでは問答無用で殺される場合が有ったり、入国拒否などが発生する場合も有る。


 さて、俺が選ぶのはやっぱり人間だ。エルフの魔力も捨てがたいが、やっぱり魔導技術が欲しい。ハーフエルフも良いかも知れないが、虐待されているらしいので人間のヒューマンで構わないだろう。剣も使うだろうしね。


『人間族のヒューマンに設定しました。年齢、髪の色、瞳の色、肌の色、身長、体重、バスト、ウエスト、ヒップを決定してください』


 年齢は成人である15歳、髪の色は赤色、瞳の色は水色、肌の色は白色、身長は150cm、体重は40Kg、バストは70、ウエストは48、ヒップは78にした。


『次にジョブクラスとスキルを決定します。初期の無料配布クラスは平民、農民です。クラスカードを使うと変更できます。また、スキルはポイントを消費して選ぶ事が出来、ジョブクラスを増やす事も出来ます』


 俺は所持しているクラスカードから、めぼしい物を選んで行く。先ず必要な魔導技師のクラスカードを選択する。これは絶対に必要だ。遠隔操作浮遊式小型魔導砲を作れないのだから。魔導技師の魔導器作成がないと、せっかくのレシピが無駄なのだ。

 さて、必要そうなスキルを選ぶとする。初期ポイントは50ポイント。

 ジョブクラスの習得に10点も使うが、魔導技師はカードなので消費しない。というか、ジョブクラスカードは結構有るので問題無い。

 という訳で、俺はオススメっぽく書かれていたジョブクラスを増やす物を選択しようと思う。

 そのスキルはセカンドジョブ、サードジョブ、フォースジョブ、フィフスジョブまで有った。でも、習得に10ポイント使うので、サードジョブまでで諦める。行き成りサードジョブを選んでも、セカンドジョブの分のポイントは消費されたからだ。

 そして、俺が追加で選んだのは戦術家と魔導師だ。それぞれのクラス効果はこんな感じ。


【魔導技師】

 ・魔導器の設計、生産を行う職業。

 ・INT、DEXに補正が付く。

 ・《魔導知識》《魔導器生産》のスキルを入手。

 ・LvUP毎に知識が増え、魔導器の生産成功率が上昇する。


【戦術家】

 ・戦闘時に部隊の配置や移動などの戦闘行動を行う上で重要な作戦を決める職業。

 ・INT、DEXに補正が付く。

 ・《戦術眼》《部隊運用》のスキルを入手。

 ・LvUP毎にスキルの効果が上昇する。


【魔導師】

 ・魔導技術を使って作成された魔導器を使って戦う職業。

 ・《魔導器召喚》《魔力回復(小)》《魔力操作》のスキルを入手。

 ・LvUP毎にスキルの効果が上昇する。


 魔導技師は説明した通り。魔導師は遠隔操作浮遊式小型魔導砲で戦う為に必要だ。取りあえずはこの三つで良いと思う。

 さて、残りポイントは20点だから、それで必要そうなスキルを取っていく。取るスキルは《分割思考》10ポイント。これが無ければ魔導砲を多数あの子のように操るとか出来ないと思う。残念ながらスキルカードは無かった。

 スキルカード自体が少ないのも理由ではあるけど、スキルは結構強い。

 次に得たのは才能系のスキルで、《戦闘の才能》を10ポイントで習得した。こちらはあの子のように成長しやすいようにだ。

 これでポイントは使い切ったので、スキルカードを使っていく。スキルカードで手に入れるスキルは《天賦の才》《獲得経験値上昇》だ。この二つはかなりランクの高い物だ。

 それと、要らないスキルカードはポイントと交換出来たので、そちらで《老化遅延》《寿命増加》《第六感》《体力回復(中)》《魔力回復(中)》を手に入れた。


『所持アイテムが多すぎます。召喚器として契約出来る装備アイテムは3つまでです。それ以外の装備は売却するか、破棄してください』


「非道いなっ!!」


 仕方無いのでティルヴィングと…………魔導銃を選択する。だって、近接戦闘は殆ど想定していないし怖いじゃねえかよ。銃なら近づく前にどうにか出来るだろうしね。どうせなら、妹のようにしてみるか。二丁拳銃黒と白を探してみる。流石に同じのは無かったけど、デザートイーグルみたいな黒と銀の銃は有った。その中でも威力が高くてレア度の高い物を選んでおく。その銃はステンノとエウリュアレの名前が付いていた。ゴルゴーン三姉妹だけど、気にしない。弾丸は魔力で生成でき、マガジンも貯め込んでおける。他にも色々と売って、四次元ポーチを購入してその中に入れてしまう。大概の魔導砲の素材だけは残しておいた。足りない素材はあるけど、重要度の高い素材は売ったお金で全て手に入れた。


『設定が完了しました。ステータスの最終確認を行います。修正が無ければ完了を押してください』


【ステータス】

 Name:クレハ

 Class1:魔導技師Lv.1

 Class2:戦術家Lv.1

 Class3:魔導師Lv.1

 HP:100/100

 MP:300/300

 Str:10

 Agi:10

 Vit:10

 Int:10+20

 Dex:10+20

 Luk:10

【パッシブスキル】

 《魔導知識Lv.1》《戦術眼Lv.1》《部隊運用Lv.1》《魔力回復(小)》《魔力操作Lv.1》《分割思考Lv.1》《戦闘の才能Lv.MAX》《天賦の才Lv.MAX》《獲得経験値上昇Lv.MAX》《老化遅延Lv.MAX》《寿命増加Lv.1》《第六感Lv.1》《体力回復(中)Lv.1》《魔力回復(中)Lv.2》

【アクティブスキル】

 《魔導器召喚Lv.MAX》《魔導器生産Lv.1》

【装備】

 ティルヴィング(剣)

 ステンノ(銃)

 エウリュアレ(銃)

 麻の服(女性用上下セット)

 革の靴


 アクティブ系が全然無いが、別に良いか。取りあえず、決定を押して進めておく。


『それでは、ゲームを始めますが、よろしいでしょうか?』


 はい、いいえの選択が出たので“はい”を選択する。


『本当によろしいですか?』


 “はい”を選択する。


『本当の本当によろしいですか? 後悔しませんか?』


 面倒だし“はい”を連射する。


『同意を得られましたので、これより転移及び肉体の再構成を行います。それでは新しい人生をお楽しみください』


 その声と共に画面が変わった瞬間。俺の意識は消えた。














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ