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異世界配信スローライフ ~原価10円のポップコーンでボロ儲け! 現代ガジェットで悪徳商人を論破します~  作者: マロン64


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第八話 弾ける塩味とキャラメル

 実はママゾンで使える通貨がスパチャだけでは拙いことになるのは目に見えている。

 俺の配信の人気が落ちたときや配信ができないときにスパチャで買っていた品物が買えなくなってしまう。


 それでは困るので街で売っていた品物も物色しておいた。

 目を付けたのは家畜の餌様に売られていた硬いトウモロコシだ。

 俺の記憶が正しければこれからポップコーンができるはずだ。


 ルルに頼みこんで金貨一枚で帰るだけ買っておいた。

 元値が一本銅貨五枚だったので二千本は買ってある。

 しばらくはこれで稼げるはずだ。


「ぽっぽこーん?」


 ルルの一言にコメント欄は大盛り上がりだ。


 ポップコーンが言えないルルちゃん可愛すぎwww。

 ぽっぽこーん! どんなぽっぽがコーンになるのかな。

 それ以上はまずいぞwww


 もはやスパチャが止め止めもなく送られてくる。

 スパチャ総額が百万円を超えたぞ。


 パンパカパパーン!

 突然俺の頭にファンファーレが鳴り響く。

 どうやら配信にも流れているようだ。


『ママゾンに異世界の金貨をチャージできるようになりました』

「ふおおお! これはすごい。やっと来たか!」


 コメント欄も嬉しそうだ。

 ルルはよくわかってなさそうだ。


 これで最初に話した問題が無くなりそうだ。


 俺たちは宿の飯を食べることにした。

 宿の飯は硬い黒パンと野菜くずと固い鶏肉を煮込んだスープだった。

 メインはオーク肉のステーキ。オーク肉は良いんだが、香辛料がないのがきつい。


 塩と胡椒すらないのだ。飯が上手いと言われている宿でこれか。焼き加減は良いんだがな。しょうがないのでキャンプ用品からミックスソルトを取り出してがりがりと音を出して掛ける。


 あ、ルルが気づいた。

「ユウキ! それ何!」

「ん~肉とスープがおいしくなる魔法の粉かな」

「かけて!」


 ルルのスープとオーク肉のステーキにもかけてやる。

 ルルはクンクンと匂いを嗅いで、ゴクリと唾をのむ。


 あれ、周りの冒険者たちの視線も集まってるな。

 ルルがオーク肉のステーキを食べた瞬間、冒険者たちの目が血走ってる。


「ん~! しょっぱいのに香ばしい味がオーク肉に合う!」

 

 ルルの一言に冒険者たちが我先にと声を掛けてくる。

「俺の肉にもかけてくれ! 金なら払う!」

「おい! ずるいぞ! 俺は銀貨五枚払うからくれ!」


「落ち着いてください。これは明日行商で売る品なので大銀貨二枚はかかりますよ?」

「お、おう。大銀貨二枚か、たけえな」

「ただし、ここにいる皆さんには大銀貨一枚で渡しましょう」

「何でその値段なんだ?」

「皆さんには他の冒険者にも声をかけてほしいのです。私は明日露店を出すので、その時に人を集めてもらえればいいんです」


 冒険者たちはニコニコで引き受けてくれた。

 この世界は口コミしか宣伝方法はなさそうだからな。

 この人達に広告塔になってもらって、明日も受けさせてもらおう。

 ちなみにこれはスパチャで買ったものではない。

 何故なら、俺はキャンプ用品を自由に出せるという能力を持っているからだ。

 ミックスソルトもキャンプ用品の範囲内に入るらしい。

 つまりミックスソルトは無料なのだ。


 大銀貨一枚を十人の冒険者から払ってもらう。これで金貨一枚は稼げたな。


 しっかり瓶詰めされたミックスソルトを人数分渡すとみんなにこにこしてる。

「あんた商人か? 宿にもそのミックスソルトを下ろしてくれないか?」

「良いですよ。どのくらい欲しいですか?」

「金貨一枚分でどれくらい出せる?」


 俺は値付けを考える。さっきは大銀貨二枚で一瓶渡すと言ったからひとまず五瓶かな。

「それなら五瓶の所を一個増やして六瓶にしましょう」

「おお、それは嬉しいな。俺はこの宿屋の料理人のポルコだ」

「アタシはマーサだよ。主人は珍しい調味料や、料理に目がないんだ。何かあったら教えてやってくれよ」


 ポルコと握手を交わす。

 この宿にいる内は現代料理を教えてあげよう。


 後この世界の野菜はとにかくおいしくない。

 神聖の森で野菜を作ることも考えよう。


 俺たちはホクホク顔で二階の部屋に戻り、お互い別のベッドで横になる。

 結構ベッドが硬いな。俺は持ってきていた寝袋で寝ることにしたのだが。


「ずるい。ルルもそっちで寝る」

「ルル、これ一人用の寝袋だぞ?」

「いいの」


 何故かルルが俺の寝袋に入ってきて密着してくる。

 ルルは胸が大きいからすごくあそこが興奮するのだ。 

 俺は背を向けて寝ようとするがルルが嫌がる。

 

 ルルはにこりと笑うと俺に囁く。


「ユウキなら、良いよ?」

「いやいや、ルルは自分を大事にしなさい。他の男にしたらすぐに食べられちゃうぞ?」

「ユウキにしかしないのに……」


 俺はルルをなだめすかして、眠りについた。


 俺は翌日商業ギルドに露店代を払って、行商の準備をする。

 俺が扱う品物はポップコーンとミックスソルトだけではない。

 冒険者が使う物用にワンタッチテントと寝袋も準備してある。


 俺はルルと一緒に簡単なこの世界の文字で書いたポップも用意して、後はスキレットと鍋のふたを用意して準備する。

 俺がポップコーンを作る係でルルには教え込んで、商を売る係をしてもらう。


 硬いトウモロコシは宿で身を取ってある。

 これはアイテムボックスを使って身を分けると念じると簡単にできた。

 最初はナイフでそいでいたのだがコメント欄が異世界ならできるんじゃね? と教えてくれた形だ。


 俺たちの露店には昨日、ミックスソルトを売った冒険者からの口コミで人が集まりつつある。

 

 他にも人がまばらに集まってきた。始める頃合いか。

「さあさあ、この露店では世にも珍しいお菓子が食べられるよ!」

「お菓子って何だ?」

「さあな」


 周りの人たちが興味深そうに見守る中、俺はスキレットに油を敷いてキャンプ用のガスバーナーで炙り始める。

 

 スキレットの中でトウモロコシが膨らみ、音を立てはじめる。


 バン、バン、バン!

 

 この音を聞くや否や、周りの冒険者たちやルルが騒ぎになる。

「ユウキ! 敵がいる!」

「何だ⁉ 爆裂魔法を使ってる奴がいるのか⁉」


 この音を聞きつけて、衛兵や他の人も集まってくる。

「敵襲! 敵襲!」


 広場が騒ぎになるが、俺やコメント欄はにっこにっこだ。

「皆さん、落ち着いてください。音の出どころはこの鍋の中です」


 これが異世界あるあるのポッポコーンの反応かwww。

 外国人みたいないいリアクションするなwww。


 一人の衛兵長が、疑問符を浮かべながら恐る恐る近寄ってくる。

「? 確かに音はそこから出ているな。これは爆裂魔法ではないのか?」

「これはぽっぽこーんというお菓子を作るときに出る音です」


 鍋のふたを開けると大量の白いポップコーンができている。

 なぜ、ぽっぽこーんという名前にしたかと言うとルルがずっとその名前でしか言えなかったため、この世界の住人にはポップコーンは言いづらいのではないかという結論に至ったからだ。


「これにここで売っているミックスソルトを掛けて……。ルル、食べてみて!」

「うん。もぐもぐ。しょっぱくていつまでも食べたくなる味!」

「そうだろう? こっちのソースも掛けてみて」

「? こっちは……甘くて、トロっとしたソースとぽっぽこーんが合う!」


 ルルの長文コメントは中々聞けないな。

 衛兵長はヤンガスというらしい。


「ヤンガスさんも食べてみてください」

「何? 金は払わんぞ」

「試食も兼ねてです」


 ヤンガスさんも恐る恐る、ミックスソルト味のポップコーンを食べて驚く。

「こ、これは‼ 適度な塩味と食感が良くていつまでも食べていたい味だ!」


 ヤンガスさんはミックスソルト味がお気に召したようだ。

 その反応を見て、周りの冒険者たちが集まってくる。

 あれは……昨日宿にいた冒険者の一組のコビーさん達だ。


「約束通り、仲間に紹介しておいたぜ。俺たちにもぽっぽこーんとミックスソルトを売ってくれ!」


 ぽっぽこーんはママゾンで仕入れた紙袋にいっぱい入れて、銀貨三枚とした。

 ミックスソルト味は銀貨三枚、キャラメルコ―ン味は銀貨五枚だ。


 これなら子供でもなんとか買える値段になっている。

 異世界の子供は日ごろから働いているのである程度の金は持っているらしい。


 ぽっぽこーんは飛ぶように売れた。


「しょっぱい味も甘いぽっぽこーんも美味しい!」

 勝ってくれた子供たちは袋一杯のポップコーンを食べてご満悦だ。


 コビーさん達が臨時で取り仕切って、行列をさばいてくれた。


 バン、バン、バン!

 ポップコーンが弾ける音と甘い香りがいい客寄せになっているようだ。

 

 明日はポップコーンを焼く人を増やさないと駄目だな。

 

 ユウキ、裏路地から怪しい連中がこっちを見ているよ。

 あれは、難癖付けてきそうなやつらだな。


 コメント欄が教えてくれた。

 明日は集音マイクとプロジェクターを買っておくか。

 何をするかは明日のお楽しみだ。


 ぽっぽこーんは五十組ほど売れた。

 ミックスソルトやワンタッチテントも売り出したいのだがそっちは眺めるだけの人が多い。明日は人を雇うことを視野に入れる。


 ヤンガスさんはこの通りに人が集まりすぎているので、商業ギルドに場所をもっと良いところに変えてもらえないか聞いてみろと言ってくれた。


「ありがとうございます。ヤンガスさん。余ったぽっぽこーんです」

「ダメだ。わいろは受け取れない」

「違います。これは余り物なので、ご家族にあげてください」

「むう、だが……」


 俺はヤンガスさんに好感を持った。

 渋るヤンガスさんを説得し、ぽっぽこーんを渡しておいた。


 次話、商業ギルドの禿とチンピラたち。



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