第七話 バルクの街
俺たちはまず、ルルが倒したオークを冒険者ギルドに売りに行く。
石畳で覆われた道を進み、剣と盾が目印の冒険者ギルドに入る。
冒険者ギルドに入ると顔が山賊みたいなガタイのいいおっちゃんに絡まれる。
こ、これは異世界テンプレの冒険者に舐められるパターンか?
コメント欄は盛り上がっている。
ワクワク。
さあ、ユウキはどう対応するんだ?
「ルル! 一日戻らないと騒ぎになってたが大丈夫だったか⁉」
「大丈夫。ユウキが助けてくれた」
「ユウキ? ああ、このあんちゃんか。ルルを助けてくれて礼を言う」
「お、おう。成り行きでな。助けられてよかったよ」
あれ? 普通にいい人だ。っていうかルルは愛されてるな。
話を聞いてみるとルルはバルクの街では珍しい獣人で、健気に頑張っているので人気が高いのだという。
ルルは尻尾をユウキにバンバンぶつけて照れていた。
「ルルはすごいんだぜ。Bランクの冒険者では珍しいソロで斥候や狩りがうまいんだ」
「俺が見たときは血を流して倒れてたからびっくりしたよ」
「何だって⁉ 誰にやられたんだ」
「獣人狩り。でもシャドウライガーが助けてくれた」
それを聞いて山賊みたいなおっちゃんが頷く。
「神聖の森のシャドウライガーは守り神みたいなもんだからな。だが獣人狩りには気を付けろよ」
「うん」
山賊みたいなおっちゃんはガンドというらしい。
ユウキは冒険者になるのかと言われて、行商をすると伝えておいた。
後で見に行くと返事がもらえたので期待する。
ギルドの受付に行くと、異世界テンプレの美人なお姉さんが立っていた。
赤毛のショートだが、泣きほくろがある切れ長の目の美人さんだ。
「初めまして、アンナです。ルルちゃんを助けてくれたユウキさんですね。ガンドさんとの話は聞こえていました」
「それはよかった。ルルが狩ったオークの買取をお願いしたいんだが」
「こちらのカウンターでお願いします」
アンナさんは表裏のない笑顔で俺を眩しく見ている。
いや俺は全然フツメンだぞ? ルルを助けただけでそんなに好かれることをしていないんだがな。
コメント欄はアンナさんの美貌にお祭り状態だ。
異世界の受付嬢は美人だな!
すごいな、これ。普通にモデルさんや女優さんになってておかしくないぞ。
オークの死体はどこにあるかと聞かれたので、俺のアイテムボックスに入っていると言われると驚かれる。
「すごいですね! オークの死体が入るほどのアイテムボックスはまず貴重です! 普通はそんなに入りません」
まあ、俺の場合は金銭チートだからな。
マリア様様だぜ。
ギルドの解体場でオークの死体を出すと更に驚かれる。
「保存状態がめちゃくちゃいいですね!」
「これなら良い値がつくぜ! ルルの嬢ちゃんが倒したのか?」
「そう」
ルルが褒められると何だか俺も気分がいいな。
オークは金貨二枚の所を保存状態の良さから金貨五枚まで値段をあげてもらえた。
ルルに金貨五枚を渡すと、俺に三枚くれた。
「これはルルが倒したオークのお金だぞ?」
「良いの。ユウキに貸す」
ルルを全力で撫でる。心づかいが嬉しすぎる。
ルルはふにゃ~としていて可愛い。
気づいたら、周りからめちゃくちゃ暖かい目で見られていた。
その後は俺も一応冒険者の登録をした方がいいと勧められて登録をすることにした。
辺境の村から来た商人希望の男と書いておく。
あってよかった翻訳機能(文字解読)。
冒険者のカードに登録する前に針に指をさして血を垂らす。
なんでこれで登録できるのかさっぱりだが、これもテンプレだな。
「これで犯罪歴がないことが確認できました」
なるほど、犯罪歴がある場合はこの時点で分かるんだな。
登録料は大銀貨五枚。
通貨は銅貨が日本円で一円。大銅貨が十円。銀貨が百円。
大銀貨が千円。金貨が一万円。大金貨が十万円。
白金貨が百万円。大白金貨が一千万円。
勿論偽造はご法度。魔法で処理をされていて偽造できないようになっているらしい。
これで金貨二枚と大銀貨五枚になった。
「これでステータスを見れるようになります」
「なるほど、ありがとう。ステータス」
◇ユウキ・シタラ
◇性別 男
◇種族 人間
◇年齢 25
◇職業 配信者
◇レベル1
◇体力G
◇魔力E
◇固有スキル【配信】
◇一般スキル
◇アイテムボックスレベル2
◇生活魔法セット
◇翻訳機能(文字解読)
◇二つ名
◇配信者
◇ソロキャンパ―
俺のステータスはアンナさんも見えているのか驚いた顔をする。
「ハイシンシャ、って何ですか?」
「まあ、それに関しては秘密だ」
「そ、そうですよね。冒険者に秘密はつきものです」
アンナさんの驚いた顔が可愛かった。
コメント欄はアンナさんにプレゼントを買ってあげて! と言ってスパチャがまた飛び始めている。
流石に初対面でプレゼントは買わないぞ。というか商人がメインだからどれくらい冒険者ギルドに来るかわからん。
俺たちはスラとライムの従魔登録も済ませる。
スラとライムはプルプル震えて嬉しそうだった。
さあ、商業ギルドに行こう。
こちらは天秤の目印の建物だった。
中に入ると様々な商人とたくさんの受付が並んでいる。
金髪ロングの猫目の美人な受付嬢と目が合った。
この人にするか。
「済まない。今日から商人になりたいんだが」
「商業ギルドへの登録ですね。商業ギルドのランクについてはご存じですか?」
「教えてくれ」
商業ギルドの商人のランクは最初はブロンズランク、シルバーランク、ゴールドランクと上がって行き、プラチナランク、その上にブラックランクとなるらしい。これは冒険者ギルドでも同じランクになっている。
この世界は意外と冒険者と商人を兼任している人は多いらしい。
同時にブラックランクなんて人も大昔にはいたらしいな。
この世界では小さくてもアイテムボックスを持っている人は多いみたいだ。
それで冒険のついでに行商をする人もいるのだろう。
商業ギルドでは会員料として年間金貨一枚が必要になる。
これはランクが上がるごとに高くなるが、その分商業ギルドの覚えもよくなり、何かがあった時の後ろ盾やトラブル解決にも尽力してくれるらしい。
露店を出す費用は一日大銀貨一枚。
お店を出すためにはゴールドランクにならないと駄目らしい。
まあ、商人はほどほどにする予定なので店は持つ予定はない。
俺は登録料として金貨一枚を出す。
今日はまだ露店を出す気はない。明日からだ。
俺は丁寧な説明に感謝しながら、受付嬢に礼を言って、商業ギルドを後にした。
おすすめの宿も聞いておいたが、中くらいのランクで、飯が上手い宿として人気な剣とフォークという宿に向かった。
剣とフォークが交差した目印の宿だ。
受付のおばちゃんに一泊大銀貨五枚だと言われた。
「ユウキ、私が払う」
「ルル、ありがとな」
コメント欄はルルちゃんのヒモ男として名をはせている俺だ。
かなり罪悪感があるが、仕方ない。
俺はルルの希望で二人部屋を取り、飯まで待つことにした。
「ユウキ、何売るの」
「そうだな、ルルには説明しておくか」
次話、初行商の品物は?




