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異世界配信スローライフ ~原価10円のポップコーンでボロ儲け! 現代ガジェットで悪徳商人を論破します~  作者: マロン64


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第五十五話 王都への旅路。クリスの涙

急展開!

「良し、俺たちは突入! ルルとカゲも一緒に」

 俺は怒りが収まらなかった。すべてを焼き焦がしたい。


 その一念がとんでもない結果を生み出す。

「ッ⁉ ユウキ⁉」


 俺はガルドさんの言葉を聞いて、一瞬で金色の魔力を纏わせて、洞窟に移動する。

「いかん! 完全にキングヒドラの魔力に引き込まれておる!」

「ユウキ!」


 カゲとクリスの言葉を無視して、盗賊のアジトを雷のように一瞬で進む。

 殺す、コロス。盗賊は全て殺す。

「グラアアアア!」


 自分がキングヒドラと同じ叫び声をしていると気づかずに、出会う盗賊たちを焼き焦がす。一瞬で確実に。


 ルルが焦った表情で風と雷の魔力を纏い、カゲが俺の影から追走してくる。

 だが、俺より先に盗賊は殺させない。いや、コロスのが楽しい。


「グラアアアアッハッハ!」

 俺は何が起きているかわからない盗賊たちを殺して回る。

 雷であえて、死なない程度に痺れさせ、心臓をくりぬく。

 楽しかった。力で人を殺すのが。


 雷鳴のように、洞窟内に飛びまわり、全員の顔や足を貫く。

 不思議なことに体が雷と化していた。

 最後に残ったのは、盗賊のお頭だけだった。


「ゆる、ゆるしてくれ……」

 情けないことに失禁をして、ブルブルと震えている。

 俺は、無表情で指を盗賊の頭に向ける。


「コロス」


 だが、そこに立ちはだかったのは、ルルとカゲだった。

「邪魔をするな」

「今のユウキはおかしい!」

「正気に戻るのじゃ」

「コロスぞ?」


 俺は激情に駆られていた。正義を為す。この盗賊の頭を殺す、その邪魔はさせない。

 そんな気分だった。


「くう。やるしかないの?」

「今のユウキは、ルルと我でも一瞬じゃな」

 

 俺の邪魔をするなら……。

 もう思考が殺戮に向いていた。


「ユウキ!」

 後ろから急に抱きしめられる。なんだ、俺の邪魔をするものは。

「ユウキ、お願い。優しいユウキに戻って……」


 この声は……クリスか。お前も俺の邪魔をするんだな。

「ユウキさん、もういい! 十分だ!」

 ガルドさん達も盗賊の頭の前に立つ。

「ユウキ! 貴方はキングヒドラの魔力に飲まれてる。悔しくないの! 嫌いな盗賊やキングヒドラになっちゃうよ!」


 クリスが嗚咽を流しながら、俺を離さないとしがみつく。

「俺は……キングヒドラと同じ……?」

「そうよ! 今の貴方は魔力に酔ってる。力に酔ってる」

「そんな……はずは」

「周りをみて」


 クリスに言われて、俺は金色の魔力を抑えて、周りを見る。

 死体、死体、死体。皆苦悶の顔をしながら死んでいる。

 う、うえええええ。お、俺は。俺はこんなことを、楽しんで……。


「今は盗賊だけを殺してる。だがなあ、力に酔ったら盗賊と同じように人を殺すことに快楽を感じるようになる」

 グラウルさんの言葉を聞いて、俺はうずくまる。

 う、うううううう。


「ユウキ、貴方は力を得ました。でもね、それに振り回されちゃだめです。私、ユウキを英雄みたいって言いました」

「う、う、うん」

「でもユウキには英雄は似合わない。皆に料理を作って喜んでる優しいユウキに戻って」


 俺はクリスの胸で嗚咽を流して泣く。俺はとんでもないことをしていた。

 盗賊と同じく、快楽で人を殺していた。

 後ろからルルとカゲとルルーシュも抱きしめてくれる。



「ユウキ、お主はレベルが足りない。強くなって力を制御するのじゃ」

「う、うん」

「ユウキがまたおかしくなったら、ルル達が止める」

「ご主人様のかっこいいところは大好きですが、それはキャラ違いです」


 カゲの言葉にうなずき、ルルの言葉にまた泣き、ルルーシュの言葉に吹きだす。

 何で、キャラ違いなんて知ってるんだよ。

 俺はひとしきり泣いてから顔を上げる。


「盗賊の頭は捕らえた。奴隷たちの様子を見にいこう」

「はい……」


 俺たちは歩いて、洞窟のつきあたりまで行く。

 ツンとしたアンモニア臭がする。

 そこには三人の手枷、足かせをつけられた男女がいた。


「おい! 奴隷に手は出してないんだろうなあ!」

「はいいい! そんなことはしてないでさあ!」


 奴隷たちも首を無言で縦に振る。だがどうやら奴隷の主人は盗賊の頭になっているようだった。


 盗賊に命令させて、汚れた貴族の服を着た、男女の二人と冒険者装束のエルフの女性を牢屋から出す。

 隷属の首輪という首輪がつけられていて、自由にしゃべることも動くこともできなかったらしい。


「助けてくれて礼を言う。先ほどの苛烈な金色の魔力は……そこの御仁か」

「ああ、俺はユウキだ」

「何と⁉ あの配信者のユウキ殿か」


 向こうは俺の名前を知っていた。ダック侯爵の息子と娘らしい。

ランド・フォン・ダックという二十代の男性と、クラリア・フォン・ダックという十代後半の女性だった。


「なぜ、このようなところで奴隷になっているのですか?」

「それは……バルクの街に行く途中で盗賊に捕まったのだ」

「私の父は大の配信者嫌いなのですが、私はそのファンで、兄さまを誘ってバルクの街にいく途中で盗賊に捕まったのです」


「私からも礼を言いますわ。アナリザ・オラクルンジュ。エルフの国の第三王女ですわ」


 え? 何でこんな所でエルフの王女様がいるの?

 冒険者装束だし、何となくだが強そうだ。


「私はマイルズという商人の護衛でここまで来たのだが、薬を使われて捕まったのだ」

「え? 私も途中でマイルズという商人に出会いました!」


 な⁉ まずい。キャンピングカーが!

 あいつが黒幕か!



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


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