第四十四話 バルクの街の異世界配信レストランの様子
俺はバルクの街の異世界配信レストランの様子が気になった。
久々に覗いてくるか。
「王様、バルクの街まで送りますよ」
「むう。転移魔法か。早く王都に来て欲しいのじゃ」
「それはそうですけど、ちょっと忙しくて」
「ユウキ殿に会いたいと思っている貴族たちは多いのじゃぞ」
それは、そうだろうけど何て言われるか不安なんだよな。
ユウキ商会の方もやって行かないといけないしな。
現在抱えている案件を整理しよう。
・ユウキランドの運営。
・遺跡の活用。スーパー銭湯をみんなに使ってもらいたい。
・スマホの扱いをどうするか。ユウキ商会で売り出すとして値段の設定や犯罪に使われないための仕組みを考える。
・異世界配信レストランの様子を見る。
・露店の運営をどうするか。
・ドワッフさん達と新しい酒の販売をどうするか。
・ミスリル鉱石をどう扱うか。
・シチランオークの食肉センターと神聖の森でとれた野菜の販売。
・コボルト達の仕事をどうするか。
ざっと挙げただけでもこれだけある。
スローライフって何だろう……。
俺が遠い目をしていると、バルガスさんとバンズさんが声を掛けてくる。
「わしも一度戻れるならそうしようかの」
「私は残りますよ。冒険者ギルドの建設は急務ですし」
冒険者ギルドの建物はもう建ててある。
後は移住者から受付嬢を募ったり、ギルドの職員を雇ってもらう必要がある。
そこら辺は冒険者ギルドの支部長バルガスさんに頼むことにした。
俺は王様のお付きの騎士たちとイリス第一王女にも声をかける。
幸い今回は一緒に帰るようだ。
「また来ますからね?」
イリス第一王女の圧は相変わらず健在だった。
ちなみにアリアはルルと一緒に警備をしている。
グングニル男爵は帰るようだが、アリアは良いのか?
「わしの孫はもうユウキ殿とくっつくつもりのようじゃぞ」
「それは……」
俺は転移魔法を何回かに分けて行おうとしていたが、王様に止められる。
「わしらをアイテムボックスに入れればいいのじゃ」
「え? それはさすがに危険な気が……」
「大丈夫です。私が試しましょう」
お付きの女性騎士のクラナさんが試す役を買って出てくる。
罪悪感はあるが……仕方ない。
「ついでに私に時間巻き戻しをかけてもらってもいいんだぞ?」
「いや、それはもっとまずいでしょう!」
「むう」
クラナさんも女性なんだな。十分綺麗だと思うのだが。
それをクラナさんに言うと、頬を上気させて嬉しそうな顔をする。
「私も騎士団長の役を辞任して、ユウキランドに住もうかな……」
「ならん! わしだってとっとと王を代わりたいのじゃ!」
「私はユウキに嫁ぐ気ですわ!」
クラナさんと王様がイリスに羨ましそうな顔を向ける。
あー収拾がつかん!
「そろそろやりますよ。アイテムボックスにクラナさんを収納!」
クラナさんの姿が消えて、アイテムボックスに収納される。
十秒ほどしてからクラナさんを出す。
よかった。クラナさんは無事だ。
「どうでした?」
「一瞬の出来事と変わらなかったな。しかも何故かすごく暖かくて心地よかった」
クラナさん曰く、赤子としてお母さんのお腹にいる感じだったらしい。
それ、王様たちも感じるんだぞ! 恥ずかしすぎる。
「これで良いじゃろう。さあ、バルクの街に行くぞ」
俺は恥ずかしい気持ちになりながら王様たちとバンズさんを収納する。
そして、バルクの街に転移!
すぐに王様たちをアイテムボックスから出す。
「すごいのう。一瞬の事じゃったが、子供の頃を思い出したぞい」
「凄いですわ! ユウキに抱きしめられているような気分でした」
「二度目だったが、うん。いい」
王様とイリスがはしゃぎ、クラナさんは目を潤ませてこちらを見てくる。
絶対もう女性は増やさない。
俺はその視線をスルーしながら、バンズさんに話しかける。
「さあ、俺は異世界配信レストランの様子を見に行きます」
「うむ。わしも見に行こう」
王様たちとはここでお別れだ。少し寂しい気持ちもあったが、どうせ配信は見られているのだ。
シチランオークも一頭解体して持ってきた。
俺はバルクの街を歩きながら、バンズさんと話す。
前よりも多種多様な人種の人たちが増えた気がする。
耳長のイケメン男性が冒険者の女の人を口説き、獣人族の女性がそれを呆れた様子で見ている。八百屋のおばさんが俺に気づき、声を掛けてくる。
相変わらず石造りの古びた建物が多い。
だが、俺はこの空気が好きだった。異世界って感じがするんだ。
この世界も例に漏れず、中世ヨーロッパの街並みだ。
木造と石造りの二階建ての建物が多い。たまに木造の建物もある。
バンズさんと歩いていると異世界配信レストランが見えてきた。
元ハンネスブルグ商会の建物を建て替えて作ったものだ。
今は日本時間で現在昼の二時頃だ。
客足は一旦落ち着いている。
俺が店内に入るとメイドたちの挨拶が聞こえてくる。
「いらっしゃいませ! あれ、ご主人様! 商業ギルドのバンズさんも!」
「よう、フランシスさん。異世界配信レストランの様子を見に来たんだ」
「それなら食事にしていってください」
他のメイドたちも厨房やホールから顔を見せ、嬉しそうに声を掛けてくる。
残っていたお客さんたちも歓声を挙げていた。
「何と! 異世界配信レストランのオーナーのユウキさんじゃないか!」
「ここのカレーが本当に美味しくて、いつも食べに来てるのよ」
「何言っているんだ! 他のメニューもめちゃくちゃ美味いんだ。でもそろそろ新しいメニューを出してほしいな」
ふむ。メニューを一通り制覇した猛者もいるらしい。
冒険者のようだが、鎧に傷はあるが、丁寧に手入れされていて強そうだ。
「貴方の名前は?」
「私か? 私はオレンだ。一応Aランク冒険者をやっている」
オレンジ色の髪をショートボブに切りそろえた綺麗な長身の女性だった。
オレンさんがこちらに来て話そうと言うので、一緒のテーブルに座る。
「ユウキさんの配信は見ているぞ! いつも料理を再現しようとするのだが、調味料や米がなくてな。再現できず、ここのレストランに来ているというわけだ」
それは嬉しいな。だが何かオレンさんの目がキラキラしていた。
「私の推し? は間違いなくユウキさんだ! 現代地球? のコメント欄も好きで見ている。私と同じような推しを探す人は多いんだぞ」
「それは嬉しい。オレンさんは冒険者だろ? どんな魔物を討伐しているんだ?」
「そうだな。最近だと、グレートモスというAランクの魔物と戦ったぞ」
全長五メートルはある蛾の魔物らしい。
金色の糸を吐く魔物で魔法や、鱗粉で攻撃してくるのでとても強いのだそうだ。
だが殺しはしないらしい。
「あいつは人間に害を及ぼす魔物ではないのだ。だが奴の糸から作った服はとても綺麗で人気がある。対策していけば、ただの蛾だ。だから糸だけ取って帰ってくるのさ」
それはいいな。どうやら知能も高いらしく、向こうもしばらく戦闘をすると自分の住んでいる山に戻るらしい。
「ユウキさんさえよければ、グレートモスのテイムを狙うのもありだな」
「それは、いいかもな」
その他にも早く配信用のスマホを売り出してほしいという話も聞いた。
冒険の様子を配信したいのだという。
「オレンさんさえ、良ければ、スマホを使うテスターになってくれないか?」
「うむ? テスターとはなんだ?」
「お金は払ってもらうが優先的にスマホを渡す。それを使って配信をしながら問題点を洗い出してほしい」
オレンさんは嬉しそうにその言葉に応える。
「それはいいな! ユウキさんもよければ一緒に冒険に来て欲しいんだが」
「うーん。それは……」
そこは保留しておいた。
オレンさんのアカウントを作り、スマホの使い方を指導する。
遺跡のスマホは自動で浮いて、カメラが追尾するシステムがあるのだ。
これならカメラの使い方がわからない異世界人でも配信できる。
「ユウキさん、このスマホはすごいな!」
「すごいですよ! 私のスマホも欲しいですな」
商業ギルドのバンズさんも欲しがったので、一個金貨十枚で契約した。
最初は高めに設定して、後から安くしていく方針だ。
異世界配信レストランでは久しぶりに山盛りのご飯とオーク肉の角煮とモツ煮を楽しんだ。メイドたちにシチランオークを渡すと歓声を挙げられた。
一頭ごと渡したけど、多分持って一週間だな。
異世界配信レストランの売り上げは未だ右肩上がりだ。
一日に金貨二百枚を売り上げることもあるらしい。
シチランオークと神聖の森で取れた野菜は露店にも売り出すことにしよう。
次は露店の様子を見つつ、オレンさんの冒険者配信をプロデュースしようかな!
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