第四十二話 遺跡の周りの魔物を討伐する
この世界のオークは悪くないのです。
「ユウキさん、俺たちも来ちゃいましたよ」
「まだ冒険者ギルドも商業ギルドもないと聞いたからのう」
冒険者ギルドの支部長のバルガスさんと商業ギルドのバンズさんもユウキランドに来てくれた。
ちなみに手の空いていたクリスが案内してくれている。
うう、自分でユウキランドっていうのは結構恥ずかしいな。
コメント欄はベタな名前に嬉しそうにしているけど。
冒険者ギルドと商業ギルドもまだないので二人の要望通りに基礎はコンクリートで作り、建物はミスリル鉱石で作る。
勝手に採掘されないように、状態保存魔法をかけてある。これも遺跡の機能だな。
段々とユウキランドに来る人達が増えてきた。
建設ラッシュが進む中、カゲが俺の影から出てきた。
「ユウキ、ユウキランドに魔物の群れが向かってきておるぞ」
「マジか。どんな魔物だ?」
「ワイバーンとそれに追い立てられたオークたちが多いのう」
それって結構ピンチじゃないか?
異世界配信の方のコメント欄がざわつく。
ワイバーンだと? 神聖の森にはそんな危険な魔物がいるのか?
オークの群れはいきなり戦うにはきつい相手だ。
俺はガーディアンのユウゴに何とかならないか聞く。
「ユウゴ、魔物の群れが来ているらしい。防衛する設備はあるか?」
「ピピ。マスターユウキのスキルを使えば無傷で捕まえられます」
「俺のスキル?」
俺のスキルと言えば……アイテムボックスと簡易クラフトと転移魔法と翻訳魔法くらいか。いや、最近使ってなかったけど魔物と話すスキルもあるんだよな?
「ピピ。マスターユウキの転移魔法とアイテムボックスを組み合わせて、無傷で捕まえられる。その後、対話すればいい」
「その手があったか!」
「なるほどのう。ユウキランドは鉄壁じゃな」
俺は取り急ぎ、ユウキランドの地下に襲ってきた魔物を収容する施設を作る。
勿論、ミスリル鉱石で作られた頑丈な闘技場の様な所だ。
遺跡の機能でユウキランドの中と外を監視する機能を使う。
確かに三頭のワイバーンが十頭のオークたちを追い立てている。
「そろそろ、ユウキランドに着くのじゃ!」
カゲは焦っているようだが……。
「大丈夫だよ。カゲ」
オークたちがユウキランドの敷地内に入った瞬間、アイテムボックスの機能で取り込まれてユウキランドの地下の収容所に転移される。
ワイバーンは空をUターンし、突如消えたオークたちを探している。
ワイバーンたちの所にカゲと他の冒険者たちと共に転移する。
『グギャア! オークたちはどこに消えた?』
『危険だ! ここは危険だ!』
ワイバーンたちが鳴いている中、俺はワイバーンに語りかける。
『お前たち、何が目的でここに来た!』
『人間だ! 人間がオラたちと同じ言葉をしゃべってるぞ!』
『オラたちはオークを食べるために来たんだぞ』
やっぱりオーク狙いか。ワイバーンも生きるためには仕方ないんだろうな。
『オークより美味い食料を渡すと言ったらどうだ?』
『人間の言うこと信用できない!』
『お前たちを食べる!』
うーん、対話は失敗か?
そうこうしているうちにワイバーンが火球を口に溜めて、空から攻撃を仕掛けてくる。
だが……それはお見通しだ。
「アイテムボックスで火球を収納!」
『グギャア⁉ オラの火が消えた!』
ワイバーンが放った火球はアイテムボックスで収納する。
そして驚いているワイバーンに火球を返す。
空中にホバリングしていたワイバーンに火球が襲い掛かる!
ワイバーンの一頭は火に包まれる。
すぐに火は消えるが、やけどを負ったワイバーンは俺のことを警戒しているようだ。
『グギャア! 魔法使いか!』
『お前たちが攻撃するなら容赦しないぞ』
「まだるっこしいのう。わらわがやる」
カゲはシャドウライガーの姿に変化すると、木々を飛び移り、大きく跳んでワイバーンに跳び掛かる。
爪を立てて、ワイバーンを引きずり下ろし、頭を容赦なく攻撃する。
他の冒険者たちも弓矢や、水属性の魔法を使ってワイバーンを攻撃する。
『どうだ? 俺たちはいつでもお前たちを倒せる』
『わかった! オラたちは降参する!』
他の二頭のワイバーンは地面に降りてきて、首を垂れる。
ふむ。これでどうにかなったな。
もう一頭のカゲが攻撃していたワイバーンも震えてうずくまっている。
『お前たちが従うならこれ以上、攻撃しない』
『降伏する!』
『恐ろしい魔法使い……』
コメント欄は歓声に沸いていた!
ユウキさんのアイテムボックス、チート過ぎだろ!
誰も勝てねえよ。あんなチート。
何でも入るアイテムボックスってあんなに強いんだな。
ユウキランドの地下に作った魔物たちの収容所に一緒に転移する。
残念ながら普通のオークとは意思疎通ができなかった。
だが、ここで俺はいいことを思いついた。
「オークたちに美味い物を食わせて、食肉センターにしたらどうだろう?」
「わらわはいいと思うがな。オークは単一生殖動物で放っておけば勝手に群れをつくり、人間を襲うのだ」
単一生殖動物ってことは無限に増えるのか?
うーん、それだったらバルクの街でオークが名産だったのもうなずける。
この世界の人たちは、オークを全然憎んでいなかったから不思議だったのだ。
なんせ、ファンタジーのお約束ではオークは人間の女を攫い、種付けするというのが当たり前だったからな。
試しにオークに神聖の森で取れた野菜を渡してみる。
あ、カゲがシャドウライガーの姿で脅しているから襲ってこないぞ。
オークたちは不思議そうな顔をした後、神聖の森で取れたトマトにかぶりつく。
「……!」
あ、すごいうまそうに食ってる。スイカとかもいいかも。
すると驚くことが起きた。目の前でオークが光り、十頭のオークが二十頭に増えたのだ。
増えたオークは肌をポリポリとかきながら不思議そうな顔をしている。
コメント欄は考察に入っていた。
これは……神聖の森で取れた野菜のお陰で魔力が増えたってことか?
それなら神聖の森で取れた物なら何でも分身するんじゃないか?
米や醤油や味噌を食わせたたどんな味になるんだろう?
肉じゃなくて野菜でいいなら、肉質がどんどん良くなるぞ!
連れてきたワイバーンは驚いた様子でこの事態を見守っていた。
『グギャア、あのオーク共は美味そうだ』
『ユウキよ。肉をくれるなら我らも働くぞ』
『マジか。じゃあ一頭のオークを解体しようか』
俺は冒険者たちに頼んでオークを一頭倒す。
だが、不思議なことにオークは抵抗しなかった。
純粋無垢なオークの目が、とても悲しい……。
「う、罪悪感が半端ない」
「しょうがないのう。これも弱肉強食じゃ」
「こんなに倒しがいのないオークは初めてですぞ」
「神聖の森ではオークを飼うことができるのか……」
冒険者ギルドの支部長のバルガスさんと商業ギルドのバンズさんが驚いた声を出していた。
解体は俺のアイテムボックスで行う。
最近気づいたのだが、死んだ個体は中で解体できるのだ。
勿論血抜きやいらない内臓はゴミ箱という機能で捨てられる。
捌いたオーク肉を試しにステーキにする。
バターで熱したフライパンで塩コショウをかけて焼いただけだなのだが……。
「何じゃ! この肉は! トマトの様な自然な甘みと脂がたまらん!」
「こんな美味いオーク肉は初めてじゃあ!」
「美味い、もう言葉はいらん!」
カゲとバルガスさんとバンズさんはオーク肉にかぶりついている。
俺も一口食べてみる。うん、トマトの様な自然な甘みと柔らかすぎない肉質がいい。
周りの冒険者たちにも振舞うと目から鱗が落ちたような衝撃を受けていた。
「ユウキさん! これはユウキランドの名産になるぞ!」
「オーク肉の食肉センターを作ろう!」
ワイバーンたちも一心不乱にオーク肉のステーキを食べていた。
『これが毎日食えるなら、オラたちは喜んで働こう!』
『うむ。オラも何でもするぞ!』
やっちゃうか? ワイバーン便!
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