第三十九話 カレーと時間加速
もちつけwww
俺たちはスーパー銭湯を出た後、神聖の森の拠点に戻り、王様とグングニル男爵たちをもてなす。
「今日はどんなものが食べられるんじゃ?」
「楽しみですわ」
「私もおなかがペコペコですわ」
エルグランド王国の王様とアリアとイリスが早く食べたいとおなかを空かせている。
ガーディアンのユウゴ達も連れてきたので、ユウゴ達にも手伝ってもらう。
「ユウゴ、野菜を一口大に切ってくれ。野菜は人参とオーク肉と玉ねぎとじゃがいもだな」
使う野菜は人参とオーク肉以外は神聖の森の拠点で取れたものだ。
最近気づいたんだが、野菜はママゾンで買ったものよりも神聖の森の拠点でとれたものの方が断然うまい。
まあ、ママゾンの物は配送で日数がかかるから鮮度が落ちるのは当たり前だが、それを除いても神聖の森の拠点で取れた野菜の方が美味いのだ。
そして、先ほどの物をしんなりするまで鍋で炒めている間に、俺はママゾンで買った炊飯器で遺跡で取れた陸稲の米を炊く。
うん、状態保存の魔法がかかっているから鮮度は取れたてだ。
玉ねぎはあめ色になるまでフライパンで炒めて、先ほどの具材と共に水に入れて、煮込んでいく。
柔らかくなってきたら、カレールーと隠し味のコーヒー牛乳を入れる。
もう何を作っているか、お分かりだろう。
そう、カレーだ。
手軽に作れるのに、日本食の中でも屈指の人気を誇る日本独自のカレーだ。
オーク肉はほろほろと崩れるくらいに煮込まれている。
最近気づいたのだが、アイテムボックスの時間加速だけ、ある範囲にかけることが可能になっていた。
有機物に使ったらあっという間に死んでしまうんじゃないかな。
時間も巻き戻せることが分かったので病人に使ったら病気の前の状態に巻き戻せるだろう。
ただ死人は蘇生できない。試しにオークの骨に使ってみたが、骨は崩れてしまった。
いわゆる魂がセットじゃないと無理なのかもしれない。
アイテムボックスチートだが戦闘に使う気はない。
あくまで料理に使いたいのだ。
カレーは時間加速によって、野菜にしっかりと火が通り、短時間で美味しいオークカレーが出来上がった。
オーク肉は前みたいに牛乳に漬け込んで熟成されたものを使っているので柔らかくて美味しい。
「ちょっと味見するか。うわっ! オーク肉の出汁? みたいなものも効いてめちゃくちゃ美味い!」
「ユウキ殿、早く運んでくれ!」
「ユウキ、ずるい」
「これは……コメントによればカレー?」
グングニル男爵とルルが不満そうに口を尖らせ、イリスはコメントを読んでいる。
皆のブーイングが凄いので、炊けた米にカレールーを掛ければ完成だ。
ちなみに、現代地球の配信のコメント欄は異世界の人にも訳された状態で見ることができる。ただマリア様が検閲しているので、兵器やあまり良くない文化はコメントごと消される。悪質なユーザーはバンされて、サブ垢を作っても見ることができないらしい。
「これは、茶色いのじゃな」
「見た目は、あまりよくありませんが、ユウキの料理がまずいはずがありません!」
「ユウキの料理はいつだって美味しかったですし……」
「わらわは気にならんのう。頂くぞ」
カゲがトップバッターでカレーをスプーンですくい、口に入れると大きな目を丸くする。
「こ、これは! 辛いのに美味い。そして野菜の甘みがたまらん!」
カゲが我を忘れて、カレーとご飯をかきこみ始める。
他の皆も恐る恐る口にして……。
「これは! 一番ですわ! ユウキ様の料理史上一番の美味さですわ!」
「香辛料がとんでもない絶妙な配分で混ぜられて、とっても美味いのう」
「これは、熟成された味がするのじゃ。ユウキ殿、何か作っているときにしたのではないか?」
エメリアと王様は涙目になってカレーを食べている。
泣くほどとは恐れ入ったぜ。
グングニル男爵の推測は時間加速の事かな?
「そうですね。なるべく早く煮込んで熟成させるために、時間加速は掛けていますよ?」
「流石森の賢者じゃのう。一家に一人ユウキ殿が欲しいのう」
「サラッと言ってますが、時間加速はとんでもない能力ですよ?」
グングニル男爵は納得してくれたが、クリスは少し呆れた顔で俺に言う。
「使えるものは料理に何だって使うよ」
「はあ、ユウキはとんでもない力を手軽に使う所がありますわ」
現代地球の配信ではチート過ぎだろ! と騒ぎになっていた。
私もユウキみたいに時間加速があれば、ビーフシチューとか一瞬で作れる!
仕事中に時間加速をかければ、体感時間も二倍⁉
いや、老化も二倍だろ。もちつけ。
もちつけって懐かしくて草。俺も落ち着く。
インターネット老人会になっている可能性が微粒子レベルで存在する。
うん、このネタも古いな。
「野菜が、とろっと口の中でとろける。オーク肉もほろほろでめちゃくちゃ美味い」
「やっぱり神聖の森の拠点で取れた野菜は美味しいですね」
あまり表情を変えないカレイナがにっこりとカレーを食べて、ガーディアンのユウゴと料理つくりを手伝ってくれていたフランシスさん達も嬉しそうに食べている。
うん、やっぱりカレーは世界を笑顔にするな。
食後にみんなでまったりしていると、異世界配信のコメント欄が加速している。
やっぱり私は神聖の森に行くわ! ヤンガス、準備しなさい!
ヤンガスだ! 嫁さんが神聖の森に行きたいって言って聞かないんだが!
ユウキさん、早く神聖の森の受け入れを開始してくれよ~。
「ユウキ殿、これは神聖の森に人が押し寄せてくるぞ」
「ユウキ殿の魅力が凄いのじゃ」
「王様とグングニル男爵もリア凸してきちゃいましたからね」
「そ、それは、宰相もやってたからじゃ! わしは王だから良いもん!」
「ユウキ殿、わしは孫をもらってくれないユウキ殿に業を煮やしたんじゃぞ」
うーん、王様もグングニル男爵もとんでもない言い訳をしているが、要するにここの料理を食べたかったのだろう。
料理を作った後、一瞬だけバルクの街に転移して、異世界配信レストランの様子を見てきたが、さらに盛況になっていた。
メイドさんたちにカレールーを渡しておいたが、皆に詰め寄られた。
「早くメイド長に代わるように言ってください!」
「私たちは忙しすぎて倒れそうですわ」
俺が配信で料理を作るたびに人が増えるらしい。
おかげで初日だけで金貨八十枚だった売り上げが今や百六十枚だ。
何故か、グラリア伯爵と伯爵夫人とその子供たちも毎日来るらしい。
それほど、俺の料理に飢えているのか。困ったな。
これは神聖の森の拠点づくりを急いだほうがよさそうだ。
早く拠点を作ろう。
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