第三十五話 遺跡の中を探索しよう。
遺跡の中は石造りというよりは青光りする独特な素材で作られた外装に覆われていた。
触ってみても危険はないが……この素材がどんな方法で作られたか気になるな。
「……何か来る!」
「ユウキは下がって!」
ルルは短剣を持って構え、カレイナは俺の首根っこを掴んで後ろに下げる。
カゲが魔物状態で構えて、唸りを上げる中、ドシンドシンと音を立てて歩いてきたのは一つ目に青光りする金属の様な体で作られた守護者のような存在だった。
「ふむ。これは遺跡を守るガーディアンじゃの」
「ピピ! 日本人のマスターを検知。マスターはここに触れてください」
「どうやら、危険は無いようだぞ」
俺はルル達を落ち着かせる。まあ大丈夫だろ。
俺は前に出て、跪いているガーディアンの頭に手を触れる。
俺から魔力が吸い取られ、少しの浮遊感を味わったと思ったら宙に浮いていた。
「ユウキ、浮いてる!」
ルルの指摘で俺も浮いていることに気づく。
「ピピ。マスターを判別。名前はユウキでよろしいか?」
「ああ、ユウキだよ」
「君の名前は?」
「私の名前は……ガーディアン一号」
うーん、ちょっと呼びづらいな。
新しく名前を付けるか。
「君の名前はこれからユウゴだ。友を護ると書いてユウゴだ」
「それは素晴らしい名前です。私の名前はユウゴ!」
ユウゴは嬉しそうに両手を挙げている。
「君の体やこの遺跡の外装は何でできているんだ?」
「ミスリル鉱石です」
「何じゃと⁉ この量のミスリル鉱石が存在するのか?」
「凄いですわ! エルグランド王国の鉱山で取れるミスリル鉱石より絶対多いですわ」
エルグランド王国の王様とイリス第一王女が叫びだす。
ミスリル鉱石ってそんなに貴重なんだ。
説明を聞くと魔力を通しやすく、加工ができれば、とても大儲けできる貴重な鉱石らしい。
「神聖の森にはミスリル鉱石の鉱山があるってことか?」
「そうです。実際には地下にミスリル鉱石の鉱山が眠っています」
「それは……とてもすごいです」
アリアーシュ男爵令嬢が目を輝かせているぞ。
神聖の森って色々とすごいんだな。
「マスターユウキ。遺跡を案内します」
「分かった」
皆を引き連れて、遺跡を歩く。
……この匂いは!
香しいたれと発酵した匂いが施設の先から漂ってきた。
「マスターユウキ。この先は前マスターが残した醤油と味噌蔵になります」
「やっぱりか! すごい! すごいぞ、古の賢者!」
流石は元日本人と言うべきか、この世界に醤油と味噌蔵を残していたとは。
そして……畑のようなところには黄金の稲穂が実っていた。
「これは……米⁉」
「そうです。水田ではなく、陸稲という作り方で作られた米です」
陸稲って何だ?
配信のコメント欄に聞いてみると……。
水田で育てられる稲とは違い、雑草も生えやすいため、管理が大変だそうだ。
後は水田栽培の技術が発達する前は畑でお米が作られていたらしい。
「ピピ。遺跡の中でお米を作っているので、病気や世話には自信がある」
「なるほどな」
実際に作られている畑を見ると、小型ガーディアンが雑草を抜いたりしている。
人工太陽の様な、照明が上に照らされている。
すごいな、古の賢者様。
他にも醤油や味噌のための大豆やカカオ豆やバナナを生産している小型ガーディアン達もいた。皆は首をひねっているが、ここは食の宝庫だ!
「マスターユウキ。この先は違う区画」
俺は期待に胸を膨らませて、その先に向かった。
「こ、これは……」
「マスターユウキなら気に入ると思った」
「ユウキ? これ何?」
ルルが聞いてくる。俺たちの手よりも細長くカメラ機能やネット機能が装備されている物。つまり……。
「これはスマホだよ」
「スマホ? とは何じゃ」
エルグランド王国の王様が不思議そうに聞いてくる。
「俺の配信をするのに、本来必要なものですよ」
「何ですって⁉ これを使えば配信ができるのですか?」
「そうだよ」
アリア―シュ男爵令嬢は鋭いな。他の皆はまだぴんと来ないらしい。
つまりこれを使えば誰でも異世界で配信ができるってことになる。
スマホは一台だけではなく、何百台、何千台と並んでいる。
配信革命が起きるってわけだ。
「とんでもないな……」
「前マスターが作り上げた物」
だが疑問が残る。前マスターがなぜ、スマホをこの世界に作り上げたのか?
まるで、配信者の俺がこの世界に転移することを知っていたようではないか。
古の賢者って本当にすごいな。
「この次は前マスターが本当に好きだったもの」
「お! それは気になるな」
次の区画に行くと、俺は納得した。
「ユウキ、これは……?」
「俺たちの世界には必ずあった、スーパー銭湯だな」
「すーぱー、せんとう?」
クリスは驚いているが俺たち日本人が愛してやまないもの。
それはお風呂だ。
俺の家にもあるお風呂がいろんな種類を楽しめるんだよ、と言うとみんなは納得する。
ここは後で堪能しよう。
他にも遺跡の中には様々なものがあった。
驚いたのは、日本のアニメや漫画が棚に並べられていた事だった。
俺の配信にも流せるようなので今度流そう。
最後に連れてこられたのは、古の賢者の個室だった。
ここからは現マスターの俺しか入れないという事で、皆には遠慮してもらう。
そこに残されていたのは分厚い日記帳だった。
丁度いい。古の賢者が何を思ってこの施設を作り、スマホをこの世に残したのか。
俺は疑問と期待を胸に日記帳をめくった。
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