第三十三話 リア凸が止まらない!
炎上する~
「来ちゃいました♡」
「これがわしの孫じゃ!」
グングニル男爵はまだ分かる。武人らしく、長槍を背中に背負った旅人風のコートを着ている。槍と髑髏のマークがとってもお茶目だ。いや、お茶目じゃない、海賊かよ。
アリアーシュ男爵令嬢はピンク色っぽい金髪のポニーテールを揺らした目がとても大きいモデル体型の長身の女性だ。精巧な彫刻と装飾が彫られた豪華な長剣を腰に差している。
「え? いや、リア凸はやめてくださいって言ったのに!」
「もとはと言えば逃げようとするユウキ殿が悪いのじゃ」
「逃がしませんわ♡」
ひえっ! アリアーシュ男爵令嬢の目がめっちゃ圧がある。
流石に貴族を家に入れないという手はない。
俺は、取り繕った笑顔を見せながら家の中に入れた。
家の中に入ると起きた女性陣達の目が怖い。
「ウフフ」
「フフフ、フフフ♡」
こ、怖いよ。普通に笑ってくれ。なんで俺は自分の家でこんなに委縮しなければいけないんだ。
「ほう! ここがユウキ殿の拠点か! 配信で見た通りじゃのう!」
「ここがユウキ殿と私の愛の巣ですね♡」
グングニル男爵とアリアーシュ男爵令嬢が感心している中、笑顔に圧のあるルルがアリア―シュ男爵令嬢に近寄る。
「ようこそ、ここはルル達とユウキの愛の巣」
「私もその中に入りたいのですわ♡」
「良いよ?」
「え?」
「え?」
ルルの皮を被った別人ってことはないよな?
いつもは嫉妬深いルルがこんなに聞き分けがいいなんて信じられない。
現代地球の配信はキャットファイトを期待していたのか、肩透かしを食らっていた。
あれ、ルルちゃんいつも怒るのに、今回は怒らないのか?
諦めたんじゃね? ユウキの周りに女性が集まりすぎてもう気にしてないとか。
嫉妬深いルルちゃんが好きだったのに!
ルルはお前にやらんぞ。俺のだ。
「ルル、どうしたんだ? いつも怒るのに」
「怒ってほしいの?」
「い、いやそういう訳じゃなくてだな」
「ルルは慎み深いレディ。いつもこういう時に怒ってたらユウキに逃げられるってカゲに言われた」
俺はカゲの方を見ると、カゲが口を開く。
「ユウキはまあ見た目は頼りないが中々甲斐性があるからの。いつも怒っていてはいかんぞ、と言っておいたのじゃ」
カゲ、ナイス! ただこれ以上、女性が増えられても困るんですけど!
ピンポーン!
え? またインターホンが鳴ってる。
「ここに来る途中でエルグランド王国の王様に会ったのじゃ」
「早く出た方がよろしいですわよ?」
「え? それ早く言って!」
俺は慌てて、家の扉を開ける。
豪華絢爛な服を着た王冠を被った筋骨隆々のおじさんがいた。
後ろには白と水色の冒険者装束を着た女性と護衛の騎士たちがいるではないか。
「ユウキ殿、わしも来たぞい!」
「初めまして、第一王女のイリス・フォン・エルグランドと申しますわ」
「え、ええ。初めまして。ユウキと申します」
き、来ちゃったよ! 王様と王女様が来ちゃったよ。
てかなんで王女様は冒険者装束?
王様も結構強そうだけど。
家の中に案内すると王様が感動したように家の中を見渡す。
「これがユウキ殿の家か! 配信で見た通りじゃ!」
「王様、仕事はいいのですか?」
「フフフ、わしは仕事のできる男。一か月分の執務を終わらせて、後は宰相に丸投げしてやったわい! ハッハッハ!」
「笑い事じゃない!」
それ、宰相絶対怒ってるやつじゃん。
「ルル様、初めまして。第一王女のイリスと申しますわ」
「ん。ルル。イリスもユウキと添い寝したいの?」
「ウフフ、それも楽しみにしていましたわ。勿論夜の大運動会も♡」
何で、第一王女様と夜の大運動会をするんだよ!
そんなことしたら絶対面倒なことになる。
てか異世界配信の方で炎上する。
メイド長のフランシスさん達はてきぱきと動き、来た四人に冷えたスイカを準備している。てか、流石に家が狭い。どうにかできないかな。
『アイテムボックスと簡易クラフトの連携で、家の空間を広げられますよ?』
「お、それいいね。マリア様」
俺はこの家の空間を五倍くらいに拡張する。
急にこの家の奥行きが五倍に広がるもんだから、四人が騒ぎ出す。
「ユウキ殿、これは何なのだ⁉」
「古の賢者の御業ですわ!」
「ユウキ殿?」
「凄いですわ! こんな魔法見たことありません!」
グングニル男爵とアリアーシュ男爵令嬢と王様とイリス第一王女が騒ぎだす。
他の皆は俺を呆れたように見ている。
「ユウキ、これ、アイテムボックスと簡易クラフトを連携して空間を広げたの?」
「そうだぞ。この家をアイテムボックスに登録して、中身の空間を五倍にしたんだ」
カレイナが聞いてくれたので、ここぞとばかりに説明する。
ハッハッハ。これが古の賢者の力!
「ユウキ、自重してください、といつも言っているのに」
「ユウキはすごいが馬鹿じゃのう」
え、何で?
「ユウキ殿、これは王城にもかけられるのか?」
「私の部屋にもかけてほしいですわ!」
王様とイリス第一王女が目を輝かせて聞いてくる。
あ、そういう事ね。
「王城には、いつ行けるかわかりませんので……」
「ユウキ殿は転移魔法があるから、王都に一度来てくれれば何回でも来れるじゃろう?」
「そうですわ! 私との式もそのタイミングで挙げましょう!」
い、嫌だよ! てか何の式! 怖いから聞かないことにしよう。
「さ、さあ、神聖の森で取れたスイカを皆さんに振舞いましょう!」
「逃げた」
「ユウキは考えなしじゃのう」
「逃げてももう意味ないのに……」
ルルとカゲとフランシスさんにも憐みの目で見られる。
冷えたスイカを切ると四人が目を輝かせる。
「配信で見るよりも綺麗じゃのう」
「宝石のようですわ」
「これは……国宝にしてもよいか?」
「これだけ身が大きいのに種がないのは凄いですわね」
かぶりつくのは流石に行儀が悪いのでスプーンで一口大に切り抜いて、冷やした生クリームを盛ってパフェにする。
あ、庭で育ってる他の果物も使おう。
パフェにする前に、俺は急いで庭の成っている果物を収穫する。
ルル達はいいが、流石にグングニル男爵とアリアーシュ男爵令嬢と王様とイリス第一王女が働くのは止めた。
何故だか不満そうだ。
「わしらはただ働きというのも良くないじゃろう」
「そうですわ。これくらい私もできます」
「ふむ、服を変えればよいのじゃろう? 作業しやすい服は持ってきてあるぞ」
「私は冒険者装束なので大丈夫ですわ」
四人が働きたいと言ってきかないので、騎士たちを見ると無言で首を横に振られる。
ああ、炎上する~。
服を着替えてもらい、四人にも収穫を手伝ってもらう。
折角なので、生で食べてもらうことにした。
柿は硬すぎず柔らかすぎず、種のないベストコンディションだった。
いちごやシャインマスカット、柿を収穫する。
にんにくやニラもとっておいた。
じゃがいももいい感じだ。
アイテム冷蔵庫で時間加速で冷やし、たっぷりの生クリームと色とりどりの果実を盛りつければ完成だ。
「宝石箱みたいです」
「これ、食べていいの?」
「わらわも食べるのに罪悪感があるのう」
「ユウキ、天才」
「ユウキ様の料理は盛り付けもきれいですわ~」
クリス、ルル、カゲ、カレイナ、エメリアが嬉しそうに言う。
さあ、森の宝石箱の実食だ!
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