第二十九話 異世界配信レストランのプレオープン
尻尾ぺちぺちw
あれから、レストランのプレオープンの日まで忙しかった。
メニュー作りやちゃんとフランシスさん達メイド軍団が料理を作れるように監修する必要があったのだ。
メニューはこんな感じだ。
・オーク肉のステーキ(血抜きをして、牛乳で熟成済み)。
・キャベツとオークソーセージのポトフ。
・オーク肉の角煮。
・包み焼きピザ。
・オーク肉のホワイトグラタン。
・から揚げ定食。
・ふわふわ卵でとじたカツ丼。
・オーク出汁のラーメン。
・オークのモツ煮。
ふんだんにオークが使われているのでコビーさん達やヤンガスさんや知り合いの冒険者さん達に声をかけて、大量にオークを狩ってきてもらった。
勿論血抜きや使わない内臓は慎重に解体して捨てることもしてもらう。
食べられる心臓や内臓は、オークのモツ煮にしようかと迷い、メニューに加えることにした。赤味噌で煮込みたかったのだが、白味噌の方が評判が良かった。
むう、俺は岐阜生まれだから赤味噌にしたかったんだけどな。
食材はいくらあっても腐らないのでバンバン依頼を出した。
まあ異世界配信レストランが開店すれば元は取れるだろう。
「ユウキさん、いつになったら異世界配信レストランは開店するんだ⁉」
「もう待てないわよ! から揚げにかつ丼、あれは食の悪魔が作り出した料理に違いないわ!」
「ユウキさんの配信見ながら、固いパンをかじるのはもう嫌なんだ! 頼む、早く!」
街の人たちのボルテージは最高潮に上がっていた。
俺が異世界配信レストランを開店する日を配信で言ったら、誇張なく、バルクの街が歓喜の声で揺れていた。
異世界配信のコメント欄ではカオスが広がっていた。
頼む、宰相! わしは異世界配信レストランに行きたいのだ!
ダメです! 私は一か月の休みを取らせていただきます。これは有給なので異議は認められません。王様より先に食べさせていただきますね!
私のお陰で、レストランのオープンにこぎつけたのだから、勿論私は招待するよな?
むう、私は西の領地で異世界配信レストランに行けないわ。これはユウキを私の婿にするしかないわね。
何かエルグランド王国の王様と宰相が張り合ってるし、グラリア伯爵はプレオープンの日に呼ぶように圧力をかけている。
最後のコメントの人は……?
「ユウキ様、この方はエルグランド王国の女爵で侯爵のマーマリア・フォン・ザイオン様です」
なんか、恐ろしいことを画策してるよ⁉ めっちゃ美人らしくて、ルルとカゲの尻尾攻撃が止まりません。
例に漏れず、貴族の方たちは自分の本名でコメントをしているので、丸わかりだ。
そろそろ個人情報のリテラシーについて教えた方がいいかもな。
しかも宰相が一か月休みを取るってことは、プレオープンの日に呼んだ方がいいかもな。グラリア伯爵は来る気満々だし、うちのレストラン、めっちゃ格式高くなりそう。
値段設定だが、バンズさんと協議の結果、周りのレストランより、三割増しの値段にした。これは手軽に食べたい庶民と貴族のお客さんと既存のレストランに配慮した形になる。
元々原価はママゾンの食材に頼っている部分が大きい。
スパチャによって、スキルを買った時に千四百万円から七百万円に減ったお金はまた千五百万円にまで回復している。
ハンネスブルグ商会のハンネスをとっちめた報奨金は金貨百枚だった。金貨一枚で十万円だから一千万円だな。
合わせて、貯蓄は二千五百万円になった。
後、ドワッフの勧めでお酒も出すことになったんだ。
夜の営業の時のみ、冷えたビールとか手ごろで美味しいコンビニワインとか焼酎とかブランデーとかも用意してある。
ドワッフさんは酒だけでもいいわい! と言っていた。
これは異世界配信居酒屋の開店もしなきゃダメか?
こうして、俺たちはプレオープンの日を迎えた。
お客様はグラリア伯爵を始めとした、貴族のお客様だ。
配信を切りましょうか? と言ったら、とんでもない! 是非してくれと頼まれた。
オーガス子爵という美食家のバルクの街に住む貴族や昔武で鳴らしたグングニル男爵という無骨で身長の高いおじい様貴族もいる。
極めつけはエルグランド王国の宰相、カンカール様も来ていた。
「王様に良い自慢ができます」
席に着席してもらい、メニューをメイド長のフランシスさんに聞いてもらう。
「メニューはいかがなされますか?」
「私はから揚げ定食を頂こう。後は冷えた酒も」
「わ、私はオークラーメンとやらを頂こう!」
「ふむ、知らないメニューばかりだな。オーク肉のステーキとホワイトグラタンを頂こう。良いワインも頼む」
「この時を楽しみにしていたよ。ユウキさん。それではかつ丼とオークのモツ煮を注文しようかな」
上からグラリア伯爵、オーガス子爵、グングニル男爵、カンカール様が注文する。
「かしこまりました! オーダー入ります! から揚げ定食、オークラーメン、オーク肉のステーキとホワイトグラタン、かつ丼とオークのモツ煮!」
厨房は慌ただしく動き始める。俺はこの店のオーナーとして場を持たせなければいけないのでこの場に残る。
みんな、すぐに手順を覚えてくれたので大丈夫だろう。
「それにしても、この店のメイド服は全員統一されているのだな」
「はい、私の居た世界では、これを制服と呼び、統一感と清潔感を出していました」
今回メイド十数人には白と黒を基調としたメイド服にピンク色のリボンをつけさせていた。メイドさん達はノリノリで服を着てくれたぞ。
グラリア伯爵は満足そうに頷く。
「き、聞きたいことがあるんだな。オーク出汁のラーメンはどういう料理なんだな?」
「そうですね、オークの骨から出汁を取って、私の世界の調味料を入れて、うまみとパンチのある味に仕上げた麺料理です」
骨から出汁を取るのは苦労するだろうと思ったのだが、豚骨みたいに臭みがそれほどでなかった。臭み消しの野菜も入れて煮込むとまろやかな豚骨スープよりもコクと旨味が強いスープに仕上がった。
チャーシューにはオーク肉の角煮を使用しているぞ。
麺は硬めの細麺を使用している。
初めてラーメンを食べる人も進んで食べられるものに仕上がった。
メンマと味玉も用意すれば、ラーメンの完成だ。
オーガス子爵は、喉をゴクリと鳴らして、そわそわしている。
「ふむ、わしはオーク肉のステーキとホワイトグラタンが楽しみじゃわい。ワインにも合うのだろう?」
「そうですね。とびっきりのワインを用意していますよ」
今回は肉料理がメインなので、家族のマートなコンビニのコノスルというチリ産の赤ワインを用意している。肉料理との相性が抜群で800円前後で買えるワインだ。
メイドさんたちにも飲んでもらい、これが安いなんて信じられません! と言われているぞ。
グングニル男爵はワインも好きなんだろう。気に入ってもらえるといいな。
「ユウキさん、私が頼んだかつ丼は配信で見たが、オークのモツ煮はどんな料理なんだ?」
「私の世界の味噌という調味料を使って、オークのモツ、つまり内臓を臭みやぬめりを取った後、煮込んだ、一品となります。カンカール様、私の事はさん付けではなく呼び捨てでお呼びください」
「ユウキさんは貴族へ取り立てられるのはほぼ確定事項だ。それを考えるとさん付けをしてもいいだろう?」
配信の視聴者たちはコメントで盛り上がる。
すげえ、ユウキ、とうとう貴族かよ。
異世界配信成り上がり物語だな。
たまにざまあもしてるし、納得だぜ。
現代地球の配信や異世界配信の方もすごく盛り上がってる。
俺は成り上がりたいわけじゃないけどな。ああ、神聖の森の遺跡も気になるな。
「お待たせいたしました。注文の品をお持ちしました」
大きな、貴族用の長テーブルにそれぞれの注文の品が運ばれる。
よくできている。メイドさんたちの仕事ぶりは完璧だな。
次話、貴族たちの反応はいかに⁉
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