第二十六話 グラリア伯爵との対談の続き
こんソロ~
「後はハイシンについても話がしたいのだが……良いかね?」
「はい」
来たな、この質問は絶対来ると思っていた。配信は軍事利用や情報伝達にも使えるだろう。元々ネット通信は軍事的に利用されている。ここは慎重に応えなければいけないな。
「ハイシンはユウキ殿の個人的なスキルだと聞いたが、スキルではない何かでそれは使えるのではないかね?」
グラリア伯爵はにこやかだがどこか圧のある表情で聞いてくる。
俺も努めてポーカーフェイスで答えた。
「それはそうですね。ですが、それを提供するかはちょっと」
「ふむ。こちらが貴族的な圧力をかけないと思っているのか?」
ルルたちの表情がこわばる。やはりグラリア伯爵も貴族だな。
だが甘い。
「グラリア伯爵がそれをするとは思えません。配信で私が圧力をかけられたと漏らし、他国に移り住むと言えば困るのはグラリア伯爵ですよ?」
俺には配信という唯一無二の切り札がある。
脅しだけで勝てるとは思わないことだ。
グラリア伯爵と無言で見つめ合う事数分。
いきなりグラリア伯爵は笑い始める。
「ふっふっふ。あーはっはっは! 素晴らしい。そこまで考えが回るとは流石、森の賢者だ」
「お褒めに預かり光栄です」
「神聖の森でなく、バルクの街に住んでもらえたらいいのだがな」
「それは申し訳ありませんが……お断りします」
「フフフ、そうであろうな」
ルルたちは一気に安堵した顔をしている。特にクリスは顕著だ。クリスは助け舟を出そうと考えていたのだろうが、まあ俺も馬鹿じゃないからな。
「ですが、通信に使える異世界のスマホというものは渡していいかもしれません」
「何だと⁉ いいのか?」
「最初は私としか繋がらない単体の通信機器にすぎませんがよろしいですか?」
「勿論だ!」
通信機能しかないスマホもママゾンで売っていた。
だいぶ安いし、俺もスマホを持っているから大丈夫だ。
ちなみに電波はないが魔力がこの世界にある以上、魔力の波というのも存在する。
それを使って通信をするとママゾンでは説明されていた。
本当にマリア様様だ。
「それで見返りとして何を頂けるのでしょうか?」
俺は抜け目なく取引する。この世界では商人だからな。
それくらいはするさ。
「むう。お金と物は……あるだろうからな。となると女子か?」
「え?」
『ユウキ?』
あ、またこのパターン? ルルとクリスとカゲとカレイナの殺気染みた物が俺に突き刺さる。あ、汗が止まりません。
「まあ冗談だがな。そうだな。遺跡の物は元々ユウキ殿に託そうと思っていたし、人材なんてどうだろう?」
よかった、許された。ルルたちはすぐに殺気を引っ込める。
「人材、ですか?」
「ああ、商業ギルドの支部長バンズとの話し合いは見ていたが、異世界レストランと露店をするのだろう? こちらもメイドたちの人数が少し多いくらいでな。希望者を見繕ってユウキ殿に使ってもらおう」
それはいいな。異世界レストランは大事業になりそうだし、
露店にも人を雇おう。
商会と異世界レストランを開く場所の話にもなった。
「できれば大通りに近い場所がいいな。その方が私も行きやすい」
「グラリア伯爵も来るのですか?」
「当然であろう。異世界の料理が食べられるのだぞ」
マジか。結構グレードの高い店になるかもな。
ファミレスくらいの感じにしようと思ってたんだけどな。
「価格は高くしたくないんですけどね」
「異世界の食材も使うのであろう? それを考えると高くならざるを得んだろう」
むう、それはそうかも。しょうがない、何か手がないか考えよう。
「それに確実に人気が出るからな。他の店より安い価格で美味しい料理を出されると困るだろう」
「……確かに」
経営って難しいな。グラリア伯爵にこういう話を聞けて良かったよ。
「異世界レストランを開く場所はまだ決まっていないんですけどね」
「それに関してはいい場所がある。大通りに面していて、ちょうど使っておるものが居なくなったところだ」
「はい?」
「ハンネスブルグ商会の場所だよ」
なるほど、結構デカそうだし、異世界レストランを作るにはぴったりだな。
「ちなみにだが……古の賢者が残した遺跡には何があると思う?」
「それは……とびっきりの何かが眠っているでしょうね」
俺はあえて言葉を濁す。個人的にはこの世界をひっくり返す技術が眠っていると思っているが、それを欲しがられても仕方ないからな。いや、どうせ配信しちゃうし、すぐばれるのか。
「ふむ。まあ遺跡調査の時はハイシンするようにな。それが何よりの調査結果になる」
「……わかりました」
やっぱり配信しなきゃダメだよな。まあ仕方ない。
ここまで話して、グラリア伯爵との対談は終わった。
今日は領主の館に泊まって行ったらどうだ? と言われて、泊まることにした。
「ふう、緊張した」
「途中ひやひやしました。でもユウキは交渉もできるんですね」
「わらわは退屈だったの」
「グラリア伯爵も抜け目ない。でも近くに護衛はいなかった」
どうやらグラリア伯爵は信用してくれていたようだ。
まあ俺の配信を見てるくらいだからな。
俺たちは領主の館のお風呂に入り、少し話してから寝た。
今日は夜の大運動会は無しだと言うと不満そうにしていたが、それぞれ部屋が用意されているからそれを利用すべきだというと従ってくれた。
夜に配信をつけて、コメント欄と会話する。
グラリア伯爵との対談はどうだった?
「うん、まあ話せることはあんまりないかな。でも異世界レストランはハンネスブルグ商会のハンネスの商館の場所を譲ってもらったぞ」
それはいいじゃん。
後は?
「神聖の森の永代使用権ももらったぞ。後は古の賢者が残した遺跡が神聖の森にあるらしい」
え?
やばw
どんな遺跡なんだろう。
「それはまだわかんないな」
今日は夜の配信あるってことは、とうとう運動会を配信する気になったのか⁉
「残念、それはありません」
ユウキはケチ。
「ルル、配信を見ずに寝なさい」
はあ、今日は料理対決やグラリア伯爵との対談とか色々あったな。
「一旦寝ます。おつソロ~」
おつソロ~
ゆっくり寝ろよ!
今日の配信も面白かった!
俺は配信を閉じて、目を閉じる。
明日からも忙しい。頑張っていこう。
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