第二十三話 料理対決本番! 後編!
敵機襲来! 目標、聖女エメリア!
「まだ俺のターンは終わってないぜ。こっちも食べて見な」
俺は観客代表のパン屋の手伝いをしている青年に料理を勧める。
「おい、俺の方の料理から食べろ!」
ハンネスがまたいちゃもんを付けやがる。
ため息をつく俺と、仕方なくハンネスの料理を口にする青年。
ガブッ!
「か、固いし、臭みが残ってる。味は悪くないんだが」
青年は何とかオーク肉のステーキをかみ切り、水で流し込む。
香辛料でどうにかした所で血抜きをしていないオーク肉はまずいに決まってる。
「俺の料理はオーク肉のホワイトグラタンだ」
それを聞いて、顔を青くする青年。
「いくらユウキさんでもオーク肉は美味しくないんじゃあ……」
「良いから食べてみろ」
青年はまず、茶色のグラタンソースを口にする。
パクッ。とろ~。
「この茶色いソースめちゃくちゃ美味い! 小麦粉の香りもいい!」
「それとマカロニとオーク肉を絡めるんだ」
青年はフォークでオーク肉とマカロニを刺してソースを絡める。
フフフ、この時点で柔らかいことに気づいていないようだ。
「これ、本当にオーク肉なのか⁉ めちゃくちゃ柔らかいし、癖がない。トロっとして口の中でとろける!」
「このオーク肉は、倒した後、ちゃんと血抜きをして、内臓を取ったものだ。それに牛乳に漬け込んで柔らかくしてるから、めちゃくちゃ美味い」
「すごい、これならいくらでも食べられる!」
「最初のパンのソーセージもオーク肉だぞ?」
「え? マジか!」
広場の人たちはこの時点でもう俺の調理場の方に並び始める。
ハンネスの方の調理場には使用人しかいない。
ハンネスに協力していた商人たちは項垂れている。
もう勝敗は決まったな。
「何故だ⁉ わ、私は……高級な小麦粉を使っているのに!」
「お前の驕りが仇となったな。高級な食材ではなく、どんな食材にも工夫すれば美味しくなる。さあ、皆! 俺の料理を食べていってくれ!」
わああああ!
ユウキさんの料理が食べれるぜ!
包み焼きピザ、早く食べたい!
オーク肉のホワイトグラタンも食いたいぜ!
冒険者の料理人と共にいそいそと料理を作り始める。
チーズって何なんだ! めちゃくちゃ美味い。
ああ、笑顔が止まらない。
「ユウキ、私たちの分も作って!」
ルルが食べたいというので、ルルたちの分も作る。
「わらわは牛の乳を侮っていたのじゃな」
「ユウキ、美味すぎますわ!」
カゲとキルリアさんが包み焼きピザを食べて、目を丸くしている。
「オーク肉がこんなに美味しいなんて!」
「これは食の革命だ!」
カレイナとコビーさんは口を茶色くしながらがっつくように食べている。
誰もとらないから安心して。
広場の人たちは、皆笑顔で俺の料理を食べている。
皆の笑顔が嬉しい。
異世界配信の方は用事があって食べられない人たちの怨嗟の声に溢れている。
ぐおおおおお! 何故、わしは王城で書類仕事をしているのだ!
私はバルクの街の領主なのに、仕事で行けない! はッ、ユウキ殿を館に呼べばいいのだ!
現代地球の配信はそれを見て笑っていた。
エルグランド王国の王様居て草。
領主様も見てて草原生える。
もう、神聖の森に来てもらった方がいいだろwww
俺も昼飯にあれ作ろう。あれ、パン窯って一般家庭にありますか?
オーブントースタ―で代用しなさい。
あれ? なんか後で領主様と王様に呼ばれそうな気がする。
てか、意外に王様も領主様もフレンドリーだな。
広場での料理対決は満票で俺の料理に決まった。
ハンネスの料理は誰も口をつけていない。
「ば、馬鹿な……高級な小麦粉を使ったのに……どうしてクズ粉なんかに……」
「お前には料理への愛が足りない。具材は高級じゃなくても工夫すれば美味しくなるんだぞ」
この言葉は街の料理人にもささったみたいだ。
「さあ、ぽっぽこーんや他のレシピは俺の物だし、お前はバルクの街から出ていくことで良いんだな?」
ハンネスに詰め寄ると項垂れて首を垂れた。
これでバルクの街の小麦粉は安く流通されるようになるだろう。
あれ、衛兵長のヤンガスさんが出てきた。
「ハンネス、貴様には脱税とレシピの虚偽申告の疑いがある。ひっ捕らえよ!」
「ひぃ!」
あれ、捕まっちゃった。
後で顛末を聞いたところ、小麦を安く買い叩き、高値で売って、払うべき税は虚偽申告していたらしい。そりゃ捕まるわ。
コメント欄の領主様はコメント欄での街の悪評を聞いて、調べたところ脱税が見つかったそうだ。配信って結構役立つな。
さあ、みんなで宴だ!
俺は特別に現代日本の酒を広場の人や手伝ってくれた冒険者に振舞う。
「乾杯!」
「チアーズ!」
あれ、乾杯の音頭が違う。まあこれも異世界交流だな。
「ユウキ、心配したんだから」
「ユウキ、奴隷契約なんて結ぼうとしないでください」
「今日はお説教」
ルルとクリスはふくれっ面でカレイナは何だか圧がある。
あれ? 説教はクリスの役では?
「私も追加で説教します」
ああ、逃げられなかったよ。
俺は冷えたビールを三人に渡す。
酔わせて逃げよう。
「俺たちにも酒をくれ!」
「私も飲みたい!」
「……俺も」
「今日は宴ですわ!」
「冷えたエール!」
残念、これはビールなのだ。
ぐびぐび、ぷは~!
一仕事終えた後のビールが美味い!
「何じゃあ。この酒は!」
あれ、髭もじゃの筋骨隆々のおっさんが気勢を上げてる。
あれは……ドワーフ?
俺はドワーフらしき人に近づく。
ドワーフらしき人は俺に興奮した様子で話しかけてくる。
「ユウキさん、この酒は何じゃあ!」
「落ち着いてください。お名前は?」
「わしはドワッフじゃ」
話を聞くとやっぱりドワーフらしい。
冷たいビールの、のどごしと味のキレに感動したらしい。
「ユウキさん、どこでこの酒を造っているんじゃ?」
「ん~。異世界かな」
「なんじゃあ、そりゃあ!」
どうやら名前は知っていても配信は見てないらしい。
でも、酒造りや鍛冶ができる職人は欲しいと思っていたんだ。
「ドワッフさん、神聖の森に来たら、もっと酒を飲めるぞ?」
俺はその言葉を言ったことを後悔する。
「何だって⁉ 俺も神聖の森に住む!」
「ユウキさんの配信に映りたい!」
「僕も行く~!」
俺は広場の人たちに詰め寄られる。
まずい、うかつなことを言った。
「ウフフ、旦那様♡ 私も行きますわ」
ひえっ! 後ろから敵機襲来!
俺はギギギと後ろを向く。そこには金髪をドリルのように巻いたとてもセクシーな修道服の女性がいた。
ああ、聖女エメリア様だよね? ついちゃったんだ……。
次話、聖女エメリア襲来! 領主様も来ちゃう。
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